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騎士ゲール・ホッドによる討伐伝 ~あるいは、一人の騎士が英雄になるまでのサーガ~  作者: よぎそーと
四章

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47 地上戦、地形効果を出来るだけ利用しつつ

 山を登ってくる敵。

 風によってこの動きはゲール達も掴んでいる。

 その動きを見て、ゲールはほくそ笑む。

「上手くいってる」



 敵は数が多い。

 その主力は繁殖力に富んだゴブリンであろうが。

 大勢で攻め寄せられては一溜まりもない。

 対するゲール達は小数、まともにやれば勝ち目はない。

 敵に多大な損害を与える事が出来てもだ。

 最終的に数に押し潰される。



 これに対処するために、ゲールは上手く敵を集める事にした。

 その為に派手に戦った。

 自分の位置が敵に伝わるように。

 そうしないと、大勢の敵を正面から相手にする事になる。



 そんなゲール達の居場所を目指して怪物の群れが進んでいく。

 その多くはゴブリンである。

 最も弱く、しかし数が多いこの小柄な人型妖精は、使い捨ての私兵としては実に使い勝手が良い。

 そこは率いる者達も分かってるようで、真っ正面に広く展開させている。

 敵を正面だけでなく左右から包み込むためだ。

 そうすれば弱いゴブリンでも敵をすりつぶせる。

 ゴブリンの損害も大きくなるが、そこは気にする必要は無い。

 死んでもすぐに補充が出来るほど多いのだから。



 今回もそんな一般的な用法に従い、敵はゴブリンを大量に進めていく。

 山覆うように埋め尽くすゴブリン。

 それらは邪魔する木々の間を縫ってひたすら斜面を登る。

 そんなゴブリンに邪な森が牙をむく。



 そこに踏み入ったゴブリンは、足下から突き上げてくる鋭いトゲに串刺しにされていった。

 妖樹の根っこが接近したゴブリンを地面の中から突き上げたのだ。

 大量のゴブリンが、木々の間で死んでいく。

 突き刺さった根っこに養分を吸われて干からびながら。



 森の中にあってやけに開けた場所。

 様々な花の咲いてるそこに踏みこんだゴブリンは、バタバタと倒れていった。

 死んだわけではない。

 花粉を吸って意識が朦朧としただけだ。

 そんなゴブリンに草花の根っこが伸びていく。

 それはゴブリンの体に巻き付くと、表面に並ぶ毛のようなトゲを突き刺していった。

 そのままゴブリンは、妖花の養分となっていく。

 枯れ果てた肉体が土に戻ってもなおそれからも。



 そんな仲間の姿に動揺して後ずさったゴブリン。

 そいつはそこにあた巨大はえ取り草にはさまれた。

 巨大な葉っぱにとらわれたゴブリンは、即座に吐き出された溶解液によって体を溶かされる。

 肉が崩れ落ち、骨が剥き出しになり、内臓が見えていく。

 苦痛に悶えるが、筋肉の無くなった体で身動きが取れるわけもなく。

 そのままはえ取り草の養分にされていった。



 草の中の落とし穴にはまるものもいる。

 大きさは足首が入る程度だが、それが致命傷になる。

 ゴブリンがはまったのは、土の中に身を潜める巨大なウツボカズラのようなもの。

 穴の中には生物を融かす液体がためられている。

 そこにはまった足首から先は、すぐさま溶け出していく。

 あわてて引き抜こうにも、ウツボカズラの口はしまっている。

 引き抜こうにも引き抜けず、その間に足が溶けていく。

 ようやく解放されたのは、足首から先が完全に溶けてから。

 ゴブリンは溶けた足首から値を拭き流して絶命した。



 水辺にきたゴブリン達は、襲ってきたトビウオもどきに襲われる。

 飛び付き、牙だらけの口にかじりつかれ、血飛沫をあげながら悲鳴を上げる。

 致命傷は避けられても、ごっそりと肉を食いちぎられている。

 あふれる血液を止める事は出来ない。

 出血死は避けられないだろう。

 魔術でも使えばどうにかなるかもしれないが。

 そんな高度な治療魔術が使える者はいない。



 別の水辺では、肉食の蛙に捕まったものがいた。

 人間の腰ほどの高さまである巨大な蛙だ。

 それが舌をのばしてゴブリンを捕獲していく。

 捕らわれたゴブリンは水の中に引きずり込まれて溺れ死んでいく。

 そんなゴブリンは蛙の口から吐き出された粘液で絡み取られる。

 溺れ死んだゴブリンは、この粘液で数珠つなぎになる。

 そして、卵を植え付けられていく。

 やがて孵化した卵から生まれてきたオタマジャクシは、親が用意したゴブリンに食らいつき成長するだろう。



 森に擬態した怪物共がゴブリンを襲う。

 お互い魔物であるが、そこに仲間意識は無い。

 領域に入ればエサとして収奪するのみ。

 そんな妖樹・妖花とゴブリンは互いに殺し合う。

 植物型の妖精共は、ゴブリンをエサとして捕食して。

 襲われたゴブリン共は、周りの植物型妖精に斬りかかる。

 いずれも金属製の武器を持ったゴブリンは、容赦も遠慮もなく反撃をしていった。



 ゴブリンが凄まじい勢いで数を減らしていく。

 妖樹・妖花もゴブリンに斬られ、燃やされて姿を消していく。

 人間の敵である邪悪な存在は、お互いに殺しあい死んでいく。

 その様子を風から伝え聞いたゲールは、策が成功した事を喜んだ。



 地形を利用して戦うのは基本中の基本。

 出来るだけ有利な位置を取って、相手を不利な場所に誘い込む。

 それをゲールは変則的に用いた。

 樹木・草花の姿をとる妖精共を用いて。



 妖樹・妖花の居た場所のいくつかは確かに潰した。

 だが、山と森は広く、ゲール達だけで全てを破壊できたわけではない。

 まだ怪物・魔物の類の植物は大漁に残ってる。

 水の中にいる妖精もだ。

 だから、これらにゴブリンを突入させた。

 自分たちのいる場所を露見させて。

 進んでくれば自然と危険地帯に突入する位置に陣取って。



 おかげでゴブリン共はほぼ自滅してくれた。

 考え無しに突っ込むのだから、簡単に危険地帯に入ってくれる。

 敵のゴブリンの用い方のおかげだ。

 考え無しにただただ突進させる。

 低脳どころか能無しといえるゴブリンだからそうするしかないのだが。

 今回はこの戦法が悪い方向に出てしまった。



 それでもゴブリンはまだかなりの数が残ってる。

 しかし、分散してるので撃破は簡単だ。

 ゲールはこれらを各個撃破していく。



 しかし、敵もこれで終わりではない。

 倒れたのは雑兵のゴブリンだけ。

 中核となる正規部隊と司令部はまだ残ってる。

 これをどうするか。

 快速号で駆けながら、ゲールは次の手を考える。

 相手の出方も共に。



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 ファンティアにて新しい話を出してる。

 時代劇っぽい何か

 見本は活動報告にもあげてるので、そちらをまずは見てもらえれば


 ↓


時代劇風味のお話「 一子相伝 」の販売開始、および見本

https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/719397/blogkey/3344443/

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 ファンティアへのリンクはこちら↓


【よぎそーとのネグラ 】
https://fantia.jp/fanclubs/478732


 投げ銭・チップを弾んでくれるとありがたい。
登録が必要なので、手間だとは思うが。

これまでの活動へ。
これからの執筆のために。

お話も少しだけ置いてある。
手にとってもらえるとありがたい。


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