46 空からの敵、風の守り
幸い、戦える里の者達も防衛に参加している。
少しでも時間を稼ぎ、敵を倒すために。
山を登るせいか敵の足は遅いが。
それでも各地の里の人間が集まって逃げるのには時間がかかる。
最後尾に妖精が襲いかかる可能性はある。
なにより、空からやってくる敵が厄介だ。
巨大虫や妖精の国についてるハーピーなどは空から監視が出来る。
そんな奴等が来たら、すぐに見つかってしまう。
なので、見つけ次第に片づける必要がある。
ありがたい事に、里の者達は弓の扱いになれている。
農耕や牧畜が出来ないので、動物を狩る必要があるからだ。
そうして培った射撃技術はなかなかのもの。
飛んでる怪物を仕留める事は造作もない。
加えて、祈祷師らも残ってくれている。
これらが風を抑え込み、飛んでる奴等から飛ぶ力を奪ってくれる。
実際には風に乱れを発生させて、飛ぶのが難しくなる程度だが。
弓で射落とす隙を作ってくれる。
特に風の加護を得ている祈祷師は凄まじい。
矢の届かない高さにいる怪物や魔物も、射程距離まで落としてくれる。
おかげで遠く離れた空飛ぶ妖精も簡単に撃墜できる。
また、風によって声を届け、互いに連絡をとりあう事が出来る。
無線通信がないこの世界ではおおきな力になる。
離れた所にいる者達の状況がすぐに伝わり、連携も簡単に行う事が出来る。
おかげで、小数の人間を孤立良く動かす事が出来る。
各地からくる情報はサイトに集まる。
観察眼と並んで優秀な分析能力を活かすためだ。
敵の出現地点から相手の動きを的確に予想していく。
今のところ、それはほぼ当たっている。
多少は誤差が出るが、問題になるほど大きなしくじりはない。
そんなサイトの分析をもとに、ゲールが全体の指揮を執る。
ただ、本来なら後方で全体に指示を出すものなのだが。
彼は現在、前に出て敵を迎え撃っている。
風の加護によって通信が出来る今、指揮官が後ろに控えてる必要は無い。
それよりも、手数を増やすべく前線で敵を撃っている。
ここで愛馬の快速号がその俊足ぶりを見せる。
主人を世に乗せた快速号は、山の斜面も何のその。
ゲールの乗せて木々の間を走っていく。
ゲールはそんな快速号の上から弓で矢を放つ。
他の者が持たない機動力で、山の彼方此方から攻撃を仕掛けていく。
山は広く、敵は多い。
広範囲に展開する空の敵を倒すには、どうしても機動力が必要になる。
だが、基本的に徒歩の他の者には無理な話。
この中で唯一の騎兵であるゲールだけが敵に対処出来る。
戦力の足りない所や、穴が空いてる所に向かい敵を倒していける。
この遊撃兵の役割をゲールはしっかりとこなしていった。
「頼むぞ、快速号」
一撃離脱の俊足を担う相棒に声をかける。
快速号は快く、
ひひーん!
といなないて応じた。
以心伝心、言葉は無くとも心は通じる。
一人と一頭はこうして一騎となって山の木々の中を駆け巡る。
この為に、どうしても後方から指揮を執ってられない。
自分の兵力の一つとして前線に身を置かねばならない。
風の加護による通信がなければどうなっていた事か。
それでもサイトからよせられる情報をもとに的確な判断を見せる。
どこで誰が何をしてるのか。
敵がどこからどのようにやってくるのか。
それを戦いながら見抜いてる。
出てくる指示は、空からの敵をほぼ確実に仕留めていく。
偵察のために出ていた空飛ぶ妖精はこうして撃退されていった。
おかげで敵は前線で何が起こってるのかを把握出来なくなる。
だが、それと引き換えに貴重な情報を手に入れる。
巨大虫にしろ、ハーピーにしろ、それらが撃墜された所には敵がいる。
敵がいるなら、そこに兵を集めればよい。
そう判断して指揮官は部隊を集結させていく。
ゲール達のいる場所へ。
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