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40 隠れ潜む者達

 懸念を抱きながら森の中を進んでいく。

 出来るだけ妖精などが出ない場所を選びながら。

 そんな中で、シーンはある事に気付く。

「待って」

 呼び止めた彼女は思いがけない事を伝える。

「人がいる」



 山の中にある窪地。

 木々にかくれたそこに人が住んでいる。

 森が教えてくれなければ見過ごしていただろう。

 シーンによってそれが分かった。

「どうするかな」

 せっかく教えたもらったのだ。

 出向いてみるのも良いのかもしれない。

 だが、果たしてそれが良いのかどうか。



「なあ、一つ聞いてもらいたいんだが」

「なに?」

 決める前にシーンに尋ねる。

「そこって、俺達が行っても大丈夫なのか?

 いきなり襲いかかってくる事はないかもしれないけど」

「大丈夫だよ」

 あっさりと答えが出る。

「向こうの祈祷師がそう言ってるから」



 シーンの言葉で決断したゲールは、窪地の集落へ向かう。

 山の中にある、比較的平坦な場所。

 周囲を山で囲まれ、木々で覆われたそこは、人目を避けるには都合の良い場所だった。

 だからなのだろう、人が潜む事が出来ていたのは。

 おかげで、怪物共の目から逃れて生き延びた者達がいた。



 そこへと向かったゲール達は入り口で待っていた者達に会う。

 壮年の男が二人。

 彼等は目の前に来たゲールに一礼をすると、

「この村の村長だ」

「祈祷師」

 短い自己紹介をした。



「初めまして。

 突然の訪問、失礼する」

 ゲールも短く挨拶をする。

 だが、相手の態度は険しい。

 嫌悪とか憎悪は感じないが。

 強い警戒を感じる。

 無理もないのだろう、長年この場に隠れ住んでるのだから。

 外部への警戒心はどうしても強くなる。

 それを感じ取ってゲールは相手の態度に納得した。

 居心地は悪かったが。



 それでも村長達はゲールの到着を拒みはしなかった。

 硬い態度と表情は崩れないが、里の中に案内していく。

 木々の間にある窪地、その下に作られた地下集落に。



 いくら木々に覆われてるとはいえ、空から見れば建物などは見つかってしまう。

 なので、この地に辿り着いた者達は穴を掘って地下に住処を作った。

 そうして作られた住居は、地下でつながり、一つの家のようになっていた。

 もちろん個室はあるので家族ごとに分かれてくらしている。



 そんな地下集落の一つ、比較的大きめな部屋にゲール達は通された。

 調度を見るに、応接間か高位の者達の会議場なのだろうと思われる。

 そんな一室で、ゲールは里の代表者と向かい合う。



「来訪者があるとは、森から聞いていた」

 村長が代表して話していく。

「こんな事はここに籠もって以来初めてだ」

 周りは怪物や魔物だらけ。

 徘徊する妖精から実を守るために外にもなかなか出られない。

 余所との接触もなかったという。



「あー」

 それを聞いたシーンが口を挟む。

「ごめん、そこは違うよね」

「…………分かるのか?」

「森が教えてくれるから」

 そう言うシーンに、村長と村の祈祷師はやれやれという顔をした。



「すまん、騙したくはなかったのだが」

「貴方たちの素性がどうしても信じられなくて」

 森が導いたのだから悪い人間では無いかもしれない。

 だが、そう易々と信じるわけにもいかない。

 ちょっとした油断が里の壊滅に繋がる。

「だから、ここにいるので全てという事にしておきたかったのだ」



 そう言って村長達はこの村と、周辺の者達がたどった過去を話していった。

 妖精が国を襲い、壊滅させてからの歴史を。



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