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33 灰の中に消えて、再生を願うのみ

 森に巣食っていた妖精は燃え尽きた。

 ゴブリンは炎の中で灰になった。

 中心に巣を作っていた巨大虫も。

 枯れ木だらけになっていた森は、その原因共々炎の中に消えた。



 そんな炎の中に、ゲール達は女面虫の死体を放り込んでいく。

 女王虫である女面虫の腹から吐き出された卵ごと。

 虫は死に際に卵を放出するものもいる。

 この女面虫もそうした類のようだった。

 なので、出て来た卵もまとめて火に放り込んだ。

 生まれた巨大虫が再びこの場を荒らさないように。



 それから炎は枯れた木々が灰になるまで燃え続けた。

 その中心にあった巨大虫の巣も巻き込んで。

 結局、熱気の中にあった虫の巣も発火した。

 中にいた幼虫もろとも、全ては燃え尽きていった。



 集まっていた動物たちは、それを見届けてからあちこちに散っていった。

 役目は終わったというように。



「もう大丈夫」

 森の声を聞いていたシーンが伝える。

「妖精の気配は無いって」

 その言葉にゲールは胸をなでおろす。

 シーンが言うならこの森は大丈夫なのだろうと。



 ただ、燃え尽きてしまった森には心を痛める。

 もともと枯れ木だらけになってしまっていたが。

 ここから元の状態まで再生するまでどれくらいの時間がかかるのだろうかと。

 巨大虫やゴブリンがあらわれなければ、こんな事にはならなかっただろうにと。



「仕方ないよ、それは」

 シーンも無念そうな顔をして、それでも笑みを浮かべて語る。

「何もしてなくたって山火事は起こるんだし。

 それでも森は復活してきたんだ。

 今度の事だって、それと同じだよ」



 燃えても木々は種を残す。

 それらが灰になった大地に根をはり、芽を出していく。

 今はそれを待つしかない。



「あいつらを残してたら、それすらも出来なかったんだし」

 巨大虫やゴブリンがいればそうもいかない。

 次々に木々は死においやられていっただろう。

 そうなれば復活も無かった。

 やがて森は消えて荒野が拡がっていた。

 そうなる前に女面虫率いる巨大虫を殲滅出来た。

「だから、これで良かったんだよ」

 不幸中の幸い。

 これ以上酷くなる前に解決出来た。

 それを喜ぶべきだとシーンは言う。



「なら、その通りなのだろう」

 森の加護を受けてるシーンが言うのだ。

 ならばこれが最も良い方法だったのだろうと。

 もっと上手くやれればとは思うが。

 それは無いものねだりなのだから。



 それに、ここで足踏みしてるわけにもいかない。 ゲールの調査はここで終わるものではない。

 もっと先に、ゴブリンがやってきた所を突き止めねばならない。

 調査の旅はまだ終わってないのだ。



 再び歩き出すゲール達。

 その目と足は東に向いている。

 険しくそびえ立つ山脈へと。

 その向こうにあるゴブリン達の世界へと。

 旅はまだ続く。

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