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26 新たな同行者とともに旅を、寝床を紹介してもらい、愚痴を聞いてもらいながら

「こっちだよ」

 シーンの案内に従って進む。

 森の民の集落に向かうために。



 森の民は木々の間に点在して住んでいる。

 場所を知らなければ集落を見付けるのは難しい。

 もしシーンがいなければ、ゲール達は今日も野宿をする事になっただろう。

 覚悟はしているが、それでも野ざらしよりは屋根のある所で寝泊まりしたい。

 野外と屋内とでは、それだけで快適さが違う。



 なので森の民の居場所を知ってるシーンはありがたかった。

 寝床を確保できるのだから。

 ついでに、食料を分けて貰える可能性もある。

 森の祝福を受けてる祈祷師の存在は大きい。



 とはいえ無理は出来ない。

 森の民も豊かというわけではない。

 身を隠す森を保つために木々を切り倒さず。

 その為田畑を作ることも難しい。

 実のなる樹木を植えて食料を確保しているが。

 それも決して豊かというわけではない。

 皆、ギリギリの中で生きているのだ。

 お裾分けは期待できない。



 ゲール達もそこまで無理強いをするつもりはない。

 可能な限り自給自足で頑張っている。

 幸い、狩人のエドがいる。

 鳥にしろ獣にしろ、見付ければ食い扶持を手に入れることは出来る。

 おかげで保存食に手を付ける事は極力避ける事が出来ている。

 この先はともかく、今の段階で食べる物に困ってるわけではない。



 そんなわけで、屋根と壁、出来れば床があればという事になる。

 それはシーンがいればたいていはどうにかなる。 


「ありがとう、助かるよ」

「いえいえ。

 こんな所で申し訳ないですよ」

 この日立ち寄った集落でも、シーンのお願いのおかげで物置を借りる事ができた。

 雑多な荷物に囲まれてるが、寝起きするだけなら十分である。

 ゲールはありがたく使わせてもらう事にした。



 なお、シーンは集落の長老の所で寝泊まりをしている。

 さすがにゲール達野郎の中に置いておくわけにもいかない。

 森の民からしても、大事な祈祷師を物置に放り込むわけにもいかない。

 こうした待遇の違いは致し方ない事ではある。

 ゲール達にも不満はない。

 むしろ、男女別に分けてくれてありがたかった。



 こんな調子でゲール達は進む。

 進みは残念ながら遅い。

 起伏のある山道なので一日に10キロも進めば良い方だ。

 こればかりは仕方が無い。

 ただ、ゴブリンが通ってきた道を辿ってるので、それほど険しくもない。

 ゴブリンも大勢が無理なく移動できる道を辿ってる。

 そこを遡ってるので、そうそう険しい難所に遭遇することもない。

 ただ、なるたけ楽な道を選んでるので、全体的に大回りになってしまっているが。

 そこはシーンがしっかりと道案内をしてくれる。



「こっちの方を進めば近道になるね」

 森の中なら、どう進めば良いのかを把握してる。

 馴染んだ地元というのもあるが。

「木が教えてくれるんだ。

 こっちの方が歩きやすいって」

 森の加護の恩恵も大きい。

 小さな事かもしれないが、こういった支援は大きな結果に繋がる事もある。

 少なくとも森の中で迷わずに済む。

 それだけで調査を大きく進める事が出来る。



 もっともこれも良し悪しだ。

 近道や抜け道を見付けられるのは良い。

 だが、ゲール達がやってきたのはゴブリンの調査のためだ。

 楽に進める道があっても、ではそちらに行こうとはいかない。

 ゴブリンの踏みしめた道に何かしらの痕跡があるかもしれない。

 それを見つけるのも仕事のうちだ。

 なので、森の中を突っ切れる道を常に使うわけにもいかない。

 ゴブリンの進んできた道も見ていかねばならない。

 面倒だがやむを得ない。



「面倒なもんだね」

 呆れるとも労りともとれるシーンの声がしみていく。

「本当に面倒なもんだよ」

 調査も。

 その原因になったゴブリンも。

 ゴブリンの背後にいる存在も。

「なんでこんな事してるんだか」

 それを調べるためにやってきたのだが。

 調べるのはやはり手間がかかる。



 それでもエドによる追跡によって道をたどり。

 サイトによる観察や発見を記して。

 少しずつ調査を進めていく。

 そうそう新しい発見はないが。

 それでも、記した分だけ資料が出来る。

 今はこれが重要なものになる。



 そうしてゴブリンの道中を遡りながら、ゲール達は山へと近付いていく。

 ゴブリンが超えてきたという難所へ。

 不穏な気配の増大を感じながら。

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