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24 森の加護を受けた祈祷師

「誰が跳ねっ返りだ」

 森の民の男の隣に、別の者が飛び出してくる。

 小柄で、細身の少年だ。

 目立つのは髪の色。

 緑のそれは人にあらざる色彩である。

 肩の辺りで無造作に切られたそれは、首の後ろ辺りで無造作に結いまとめられている。



 だが、それを差し引いても目を引く少年だった。

 快活さがにじみ出る、元気の塊のような。

 なるほど、跳ねっ返りというのは確かなようだ。



「ご覧の通りだ」

 森の民の男はそう言って飛び出してきた少年を指す。

「跳ねっ返りだろ?」

「まあ、確かに」

 ゲールも頷かざるえない。

「こんな調子だからな。

 家に閉じ込めておくのも大変でね」

「それで、俺達に?」

「前々から外に出たいと言ってたものでね。

 そこにあなた達が来た。

 丁度良い機会だと思ったんだ」

「体よく押しつけられてるように思うんだが?」

「そうとも言うな」

「ちょっと!」

 少年は更に大きな抗議の声をあげた。



「まあ、かまわんよ。

 案内がいてくれるのは助かる」

「そう言ってくれると助かる」

 気安く請け負ってくれるゲールに、森の民の男は礼を言った。

「こいつがいれば、我ら森の民の間でなら融通はきく。

 ある程度はな」

「十分だ」

 見知った人間がいれば警戒も薄らぐだろう。

 それだけでもありがたい。



「それに、こいつは森の加護を受けてる。

 この力が役に立つかもしれん」

 少年の頭に手を置いて説明をする。

「この髪の色が証だ」

「魔術師や呪術師のようなものか?」

「どちらかというと、祈祷師だな」

 神に仕えるのとは違うが、森羅万象の自然に祈りを捧げる。

 そうして加護を得て、厄難を退ける。

 それが祈祷師だ。

「その年齢でか。

 となると、生まれつき加護を持ってるという事か?」

「そういう事だ」



 だとすれば心強い。

 生まれながらに加護を持つ者は、幼少期から特種な力が使える。

 魔術のような現象を高い水準で発揮できる。

 そういった存在が同行してくれるなら、困難な状況を撥ねのける事もできるだろう。



「なら頼む。

 よろしくな、坊主」

 そういってゲールは新たな同行者を迎えていく。

 だが、その言葉に祈祷師の少年は顔をしかめる。

「……坊主?」

「ん、ああ、何か問題でもあったか?」

「坊主、坊主って…………」

 何故か少年は怒りを膨らませていく。

 対称的に森の民の男は、一瞬呆気にとられ、そして嗤いを堪えようとしていく。

 いったい何が、とゲールも同行者達も首をかしげる。

 そんなゲール達に向かって、祈祷師の少年は声を大にして叫ぶ。



「ボクは、女だ!」

 自分の性別をハッキリ・シッカリ・キッパリと告げる。

 その次の瞬間。

 一瞬の空白があり。

 ゲール達は呆然と口を開け。

 森の民の男と、周囲の茂みから盛大な笑い声が上がった。



 森の民、シーン。

 緑髪の祈祷師。

 森神の神女みこ

 大自然の愛娘。

 旅の仲間の一人である少女との出会いは、このようなものとなった。

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