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22 呼び止めるもの

「旦那」

 森を進んでる途中。

 狩人の子であるエドがゲールに声をかける。

「気配がある。

 周りに何かいる」

「そうか」

 顔色を変えないよう注意しながらゲールは答える。



「どのくらい居るか分かるか?」

「詳しい数は分からない。

 けど、何人かは潜んでるはず」

 ゆゆしき事態である。

 知らぬうちに周りを囲まれてる。

 それも、相手は隠れながら。

 これがゴブリンならかなり危険である。



 ただ、ゲールはあまり緊迫感を感じなかった。

 周りに何かがいるにしては静かというか。

 圧迫感を感じない。

「敵意はない……のか?」

 戦場特有の雰囲気。

 悪意や害意のようなものがない。



「確かに、敵意はない見たいだけど」

 エドも不思議がっている。

 襲ってくるつもりなら、もっと嫌な気配があるものだ。

 しかし、周りからはそんな感じがしない。

 注意はしてるがそれだけだ。



「何なのだろうな」

 不思議ではある。

 だが、理由が分かるわけもない。

 ひとまずゲールは、このままでいるように皆に告げた。

「ただ、すぐに逃げられるように。

 身を守れるように気をつけて」

 警戒も忘れない。



 そのまま、周囲に気配を感じながら進んでいく。

 襲ってくる様子は無いが、あまり良い気分では無い。

 何が目的なのかは分からないが、このまま何もせずにいてほしい。

 それか、このまま姿を見せず消えてほしい。

 ゲールとしてはその方がありがたい。

 もちろん、そんな事にはならなかったのだが。



 気配を感じてからしばらく。

 更に進んだところで、それはあらわれた。

 森の木々の中から、草をかきわけて。



「待たれよ」

 若い、しかし厳かな。

 低く通る声がゲールを止める。

 森の中から出て来たその者は、一人ゲールの前に進み出る。



 身なりは簡素。

 粗末とまではいかないが、決して豪奢なものではない。

 だが、使い込まれてはいたが、洗濯もしっかり為れてるので清潔感はある。

 また、生地や縫製などの作りも悪くはない。

 一般庶民が身につけてるようなものよりは良く仕上がっている。



 ゲールも貴族ではある。

 ある程度は高級品などを目にしてきた。

 だからこそ品質の良し悪しもある程度分かる。

 贅沢に慣れ親しんでる程では無いが。

 だから分かったのだ。

 森から出て来た者が決して賎しい立場の物ではないと。

 その身なりから判断が出来る。

 少なくとも、それなりに良い品を身につけられるくらいの身分の者だと判断した。



「如何がいたした」

 快速号に乗りながら応じる。

 馬上からでは失礼かと思ったが、森の中での事である。

 また、周囲を取り巻く気配も消えてない。

 そんな状況で馬を下りるほど無警戒にはなれなかった。



 出て来た者もそれは承知してるのか、特に何か言ってくる事は無い。

 名乗りを上げて本題に入っていく。

「私は森の民の一人。

 確かめたい事があり、こうして姿を見せた」

 森の民とは初めて聞く。

 その者がいったい何のようなのか?

 聞くだけ話は聞いてみようとゲールも耳を傾ける事にする。

「承る」

 下手に断れば、周りに潜んでる者が何をするのか分からないのだし。

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