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18 片づけた後に残る問題

「終わったな」

 残敵掃討などの後始末が進んでいく。

 今回のゴブリン退治は成功に終わりそうだった。

 あとは結果を報告するだけ。



 なのだが。

 それでもゲールは色々と考えてしまう。

 今回の事件、少しばかり気になる部分がある。

 ささやかな事だろうが、どうしても解せない。

 その一つを手に取り、ゲールは眉を寄せる。



 ゴブリンの指揮官が使っていた剣。

 何の変哲もない、ごく普通の長剣だ。

 だが、それが不可解だった。



 ゴブリンが使う武器は、基本的に粗末なものだ。

 落ちてる石を投げたり、これを落ちてる木の棒に結びつけて石槌にしたり。

 木の棒に蔓を結いつけた粗末な弓を使ったり。

 まともな武器など持ってる事はない。



 たまに剣や盾を持ってる事もある。

 だが、それは人間から奪ったものがほとんどだ。

 手入れもされず、刃こぼれや錆が当たり前になってる。

 修繕する技術がないのだから当然だろう。



 しかし、ゴブリンの指揮官が使っていたものは違う。

 質はそこまで高くは無い。

 一般的な長剣と同程度だろう。

 つまり、それだけしっかりと作られた物という事になる。



 刃こぼれや錆もない。

 新品ならさほどおかしな事ではない。

 だが、柄を見ればそれなりに使い込んでるのも分かる。

 それに手入れをしてる形跡がある。

 それだけの技術を持ってる者によるものだ。



「誰だ?」

 ゴブリンに剣を渡した者がいる。

 それは誰なのか?

 ある程度の技術や知識を持ってるだけではない。

 鉄鉱石を掘り出し、精錬して鉄を取りだし、剣に加工する。

 それだけの事が出来るだけの集団がいる。

 そこまでいけば、もう国というだけの規模のはずだ。



 そんな連中がいる。

 可能性の段階ではあるが、それだけの強力な者達がいる可能性がある。

 でなければ、ゴブリンがまともな武器を持ってるはずがない。

 持ってるのは指揮官だけだったとしてもだ。



 同じように気になる事がある。

 そちらは従士の魔術師に見てもらってる。

 ゲールの話を聞いた彼は、急いでゴブリンのマジナイ師の所に向かっていった。

 そして。



「おっしゃる通りでした」

 驚いた面持ちで魔術師はゲールに手にしたものをさしだす。

「魔術の効率をあげる術具です。

 質はそれほど良くはありませんが」

「やっぱりな」

 まさかと思ったが、やはりあった。



 ゴブリンの指揮官がまともな剣を持ってる。

 ならば、共に来たマジナイ師だって何かを持ってるはずだ。

 魔術に関わる何かを。

 それを同行していた魔術師に探らせたが。

 案の定、やはり持っていた。



「それで、ジョウ

 質は良くないとはいうが、一般的な術具にとしてはどうなんだ?」

 ジョウという魔術師に尋ねていく。

 魔術については門外漢なので剣ほど品定めが出来ない。

 なので専門家に聞いていく。



「そうですね、駆け出しの魔術師が使う分には問題はないかと。

 なりたての探索者ならありがたがるかもしれないですね。

 金がたまればすぐにもっと良い物に買い換えるでしょうけど」

「なるほど」

 つまりはその程度のものである。

 だが、初心者が使う分には申し分ないくらいの性能ではある。



「だが、魔術の道具となると値が張るもんじゃないのか?

 こういうのは高いと聞くが」

「まあ、それはそうですね。

 これでも銀貨で何枚かになりますね」

 それは初心者用の量産型の武器の数倍の値段である。

 魔術の道具は特別な造りになるので高価になりがちだが。

 それでも結構な値段になる事に驚く。



「そんなものをゴブリンがなあ……」

「さすがにありえないですね」

 ジョウもゴブリンが術具を持ってる事に懸念を抱いている。

 たとえ最下級の品であっても、ゴブリンが持ってるのがまず異常だ。

 誰が作って渡したのか。

「気になりますね、これは」

「ああ」

 ジョウの言葉にゲールも頷く。



 これらを持ってゲール達は帰還する。

 一連の報告をするために。

 大きな脅威の気配を感じながら。

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