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15 敵戦力はこのようなもの

「100匹か」

 あまりにも多い数である。

 ゲールも増援を受けたが、敵であるゴブリンはそれ以上に数を増やしている。

「どうするかな」



 従士達と額を突きつける。

 こちらの頭数も増えたが、敵はもっと増えている。

 状況は更に不利になったと言って良い。

 これで果たして勝てるのか?

 普通に考えれば絶望的である。



「もっと応援を要請……しないと無理だな」

 まずこれは絶対に必要になる。

 今の人数ではまともに戦えない。

「ただ、待ってる間にゴブリンが更に増える可能性もあります」

「だよなあ」

 ロンドルの意見はもっともだ。

 時間が経て敵に更に増援が来るかもしれない。

 もしかしたら、今が一番手軽に敵をたおせる瞬間かもしれない。

 そう考えると、増援を待つというのも悪手に思えてくる。



「今のうちにやるか?」

「ですが、そうなるとこちらの人数ではいささか荷が重いかと」

 こんどはグロスデンが意見を出す。

 これももっともな話だ。

 今後、あるかもしれない敵の増加を考えると、今が一番良い機会かもしれない。

 だが、こちらの手勢は10人。

 それもほとんどが素人に近い民兵だ。

 村から提供された3人もこの民兵と似たようなものだ。

 まともに戦えるのは、ゲールとグロスデンと何人か。

 いささか心許ない。



 確かに相手はゴブリンだ。

 体格は子供くらい、体力もそれに応じた程度。

 脅威と言うほど怖い存在ではない。

 だが、圧倒的な数の差はいかんともしがたい。

 まともに戦ったら確実に負ける。



「となると────どうすればいいと思う?」

「まずは少しずつ削るしかないでしょうな」

 相手を少しずつ削る各個撃破。

 大軍に勝つにはこれしかない。

「幸い、あいつらは見回りをそれなりに出してます。

 これを狙えば、幾らかは削れるでしょう」

 用心深いのか猜疑心が強いのか。

 はたまた戦い方を少しは心得てるのか。

 村の近くにいるゴブリンは周辺偵察を欠かさない。

 おかげで近付くのが難しいが、部隊を小分けにしてるとも言える。

 狙うとすればここだろう。



「巡回路は分かってるのか?」

「それはこっちで調べてあります」

 ゴブリンの偵察と監視をしてるサイトが手を上げる。

「大雑把ですが、だいたいこんな感じです」

 そういって略地図を出す。

 ゴブリンの居座ってる場所の周辺の大雑把な見取り図だ。

 そこには巡回路が幾つも書き込まれている。



「分かってるだけでこれだけあります。

 ここを5匹から6匹くらいで回ってます」

 巡廻路は居座ってる場所を中心とした東西南北を巡っている。

 どの方向から攻めこまれても気づけるようにしてるのだろう。



「それと、村の様子を偵察に来てる連中もいます。

 この道がそれです」

 そう言って、村に向かってのびる道を指す。

 こちらの方にも5匹から6匹がやってきてるという。

 これは交代で常に村を見てるという。



「それじゃあ、これを全部潰せば、30匹は削れるな」

 それだけでゴブリンは70匹まで減らせる。

 まだ差は大きいが、それでも戦力差は大きく縮まる。

 どうにかして先にこれだけは潰しておきたい。



 もちろん敵は警戒するだろう。

 偵察、見張りに出た者が戻ってこないなら。

 だが、これは仕方ない。

 どのみち戦いが始まれば、遅かれ早かれ相手も気付く。

 そうなった時にどうするかを考えるしかない。



「これで逃げるならまだいいけど」

 ゴブリンは卑劣で卑怯だ。

 同時に狡猾で臆病だ。

 強いと思えば、有利と感じれば強引なまでに責め立てる。

 だが、少しでもまずいと思えば即座に逃げだす。

 なので出発した者が戻ってこなければ、それで怯むかもしれない。

 そうなればこの場から立ち去る可能性はある。



 ただ、そうでない場合もある。

 襲われたと知って逆上し、理性を吹き飛ばして凶暴化する。

 そうなれば有利不利を無視して攻撃してくる事もある。

 このあたりが読みにくいところだ。

 ゴブリンの性質による所が大きい。



 ただ、ある程度の傾向も分かっている。

 その場の状況次第で逃げだすか。

 あえて攻撃に出るか。

 これは率いる者の有無で決まってくる。



「サイト、新しく来た奴等の中に、偉そうな奴っていたか?」

「いました」

 聞かれたサイトは正直にこたえる。

「体格も装備も他のゴブリンより良いのが。

 態度もでかかったです」

「そいつだけか?」

「あとは、そいつにくっついてるのが一匹。

 多分、副官か軍師役だと思います。

 シャレコウベ付きの杖を持ってたからマジナイ師の可能性もあります」

「なるほど」

 それを聞いてゲールの顔が厳しくなる。



 やってきたのはゴブリンの指揮官だろう。

 おそらくは戦士。

 隊長役といったところだろうか。

 そして、マジナイ師。

 マジナイは呪いと書く。

 ゴブリンの魔術師だ。



 厄介な事になった。

 率いる者がいればゴブリンもある程度まとまって行動する。

 逃げ出す者は減るだろう。

 それにマジナイ師による支援があれば、ゴブリンの戦闘力は跳ね上がる。

 正面から戦うのは得策ではない。



 とはいえ、分かっていれば対策もたてられる。

 上手くいくかどうかはともかく、突発的な状況に慌てる事は減らせる。

 あとはどう戦うかだ。

「さて、どうするかね」

 思案のしどころである。

 従士達の意見も聞きながら戦い方を考えていく。

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