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11-4.「改めての初めまして」


 ――ということで、はい。

 すみませんでした。


 グランソニア城で巻き起こっていた3本立ての大騒動に、最後の最後で私がしれっと行方不明になっているなんてとてつもなく要らない4本目を投下してしまいましたが……。


 これにて本当に一件落着です。

 また同じところに戻ってきてしまったのです、なんて残念過ぎるオチもどうにか回避できて、めでたしめでたし。私は無事にセレスディアに帰ってこれて、みんなとの再会を果たせたのでした。


 だからこの先はオマケ話。

 実はこういうこともあったんだよと、余談チックに紹介できたらと思います。




 じゃあまずは、私がセレスディアに帰ってきた翌日のことから。

 ちなみにさっきダイジェスト的に振り返った騒動のことだけど、あれを教えてくれたのはゼノンさんではない。


 というのもゼノンさんにはとても、そんな時間はなかったからだ。

 私が居なくなって、いくら探しても見つからないことから(体に無理をきかせてまでウィンリィが鼻をクンクンさせてくれたけどそれでもダメだった。)まだ城のどこかに『裂け目』が残っていて落とし穴チックに落ちたのかもしれないだとしたら大ごとだぞどこに繋がってるかも分からない、みたくかなりバタバタなっていたようなのだけれど。


 そのなかでいち早く、ゼノンさんだけは『ガガイア』に連れ去られたのではないかと可能性に気付いて、すぐにもセレスディアを出発してくれていたから。(『イルミナ』の兼ね合いで、テグシーさん以外にもそうとは伝えられなかった。)


 だからいったいあれから何がどうなったのか、詳しいことはゼノンさんも知らなかったのである。とにかくみんな無事なことだけは確かだと、分かったのはそれくらいだった。


 では誰が教えてくれたのか。

 答えがその人だ。


 おかえりアリシアとにかく無事でよかったとテグシーさんからお言葉をもらい、すみませんご心配をおかけしましたと私も頭をペコリする。


 そんな矢先のこと、どうも私に会わせたい人がいるとかで。


「会わせたい人、ですか……?」

「うむ、そうだな。キミが以前会いたがっていた人物で、キミがもう会ったことのある人物で、だけどなんだかんだで初めましての人物で、彼女もまたキミに会いたがっている。そんな人物さ」


 うん……?となる。

 やたら「人物」と出てきたナゾナゾだけど、さっぱり分からない。

 彼女ということは女の人みたいだけれど……?


「どういうことですか……? 私がまえに会いたがっていて、初めましてなのにもう会ったことがあるって……? 矛盾してません?」

「さて、どういうことだろうね」


 不可解そうにしている私の先をテクテクと歩きながら、どこか楽しげに振り返るテグシーさんだった。ともかくそのまま付いていくことしばらく、立ち止まったのは一室のドアのまえになる。


 さぁ中へとうながされたので、私はとりあえずコンコンノックから始めてみた。すると「はぁい」とおしとやかな返事があって。


 あれ、この声って……?

 辺りを付けつつドアを開けてみると、やっぱり。

 そこにいたのは。


「ミルさん……?」


 だった。

 そう、このときの私の認識ではそうだ。


 豊かな緑色の髪に、エメラルド色の瞳をしたとても綺麗な女の人(ご令嬢という言葉がピッタリ。)はあの日グランソニア城で初めて会って、リリーラさんのこととかを色々打ち明けてくれたミルさんだ。


 あ、そういうことかなって腑に落ちる。

 あのときは大変で自己紹介も落ち着いてできなかったし、話も途中で終わってしまったから。だからきっとミルさんの方から、また私に会いたいとか言ってくれて。


 でも1つだけピンとこない。

 私がまえに会いたがってた……?

 あの日が初めましてのミルさんに?


「どういうことですか? だって私、ミルさんに会ったのってあの日が初めて……ですよね?」


 間に沈黙が挟まったのは、粗相そそうを恐れてのことだ。

 実はまえに会ったことがあるのをすっかり忘れてて、なんてことがあってはならないと言い切るまえに私は一生懸命に記憶をあさる。

 

 でも、やっぱりそんな覚えはなくて。

 恐る恐ると確かめると。


「うん、そうだね。私とアリシアちゃんはあの日が初めましての初対面だよ」


 にっこり笑顔でそう返される。

 ではどういうことか、いよいよ分からなくなっていると。


 テグシーさんが言うのだ。

 実はそのミルさんというのが、彼女の本当の名前ではないのだと。


「え? 本当の名前じゃない……? じゃあミルさんは、本当はミルさんじゃないってことですか……?」

「うん、そうなの。ごめんね、本当はあのときすっごい言いたかったんだけど、ちょっと慌ただしかったから。話もややこしくなっちゃうかなって」


 そうしてタネは明かされるのだった。


「だからこれが本当の初めまして。できればもっと早くにこうしたかった。ううん、しなくちゃいけなかったんだけど……」


 そう前置いたうえで一度、深呼吸を挟んでから。


「――ミレイシア」

「……えっ?」

「ミレイシア・オーレリー。それが私の、本当の名前です」


 とてもよく知っているその名前に、私は驚いたなんてものではなくなる。いろいろとなんでどうしてとなったわけだけれど。


 とにもかくにもこうして私はミレイシアさんと改めて初めましてを交わし、あの後日談を知ったのだった。


 そしてあのときできなかった、話の続きも――。

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