和菓子でリフレッシュ
年末年始に海外旅行を予定している人はいるだろうか? 万が一に備えて持って行くと安心なものがあるのでお教えしよう。和菓子だ。個包装の羊羹とかお饅頭が良いだろう。
何のために持って行くのかって?
疲れた時の栄養補給に和菓子がピッタリだからだ。
食事が舌に合わない時にも有効だ。
海外へ行って脂分の多い食事に悩まされる人が少なからずいる。そういう人には脂肪分の少ない和食が良いのだろうが、旅行先によっては日本料理店が見つからない場合があるだろう。そういったケースに備えて準備しておくのだ。
旅程が一週間程度なら大丈夫だと思うが、これが留学となれば大変だ。
今より外国で日本食が普及していなかった昔は、もっと大変だった。
夏目漱石はイギリスに留学したが、ホームシックになったようで、ノイローゼに苦しめられた。子供の頃から食べていた和菓子があれば少しは気持ちが楽になったのでは、と思う。
同時期にヨーロッパへ留学していた日本人青年エムもホームシックになりかけたが、思わぬところで和菓子に遭遇し助かったと日記に書き残している。
エム青年は、その和菓子をクリスマスマーケットの屋台で見つけた。小豆色のゼリーだと思って買ったら羊羹だったので驚いたそうである。店の主人に尋ねると、自分の先祖が数百年前に東洋人から教わったお菓子だとの答えだった。
その羊羹のおかげで元気を回復したエム青年は、その製法がどうやってヨーロッパ人に伝授されたのかを推理した。そして安土桃山時代の天正遣欧使節あるいは江戸時代の慶長遣欧使節の誰かが教えたのではないかと考えたのである。彼は詳しい話を聞こうと別の日にクリスマスマーケットへ出かけたが、もうクリスマスシーズンが終わりマーケットは終了していて、店主からの話は聞けなかったそうだ。
今なら海外のスーパーマーケットで和菓子が簡単に入手可能かもしれないが、それが困難だった時代の話である。