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夢の少女 ~運命の物語~  作者: ポテチ
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第1話 エセ関西弁の真城


ミンミンと小うるさく鳴く蝉の鳴き声。

俺はその鳴き声に目を覚ましベンチから体を起こす。

あちぃ…

今日はかなりの猛暑日。

脳が溶けそうである。

俺は時刻を確認しようと携帯の電源を入れる。

6時30分。

昨日は早く寝たので朝も早く起きた。早寝早起きはやはり良い気分が爽快だ。


よし今日は売れるだろう。

俺は杖を出し商売を開始する為、町中に響き渡る様な大きな声でこう叫ぶ。


「俺様の手品の時間だ!寝てる奴は朝飯食う前に俺様の手品を見やがれ!」


「うるせぇぞクソガキ!」


バシャン。

俺の顔面に水風船が直撃した。


「何しやがるクソジジイ!いい歳してこんな餓鬼紛いな事してんじゃねぇよ!ぶち殺すぞ!」


「誰にもの言っとんじゃクソガキ!」


「てめぇだよクソジジイ!」


俺がそう言うとクソジジイはこちら迄走り、俺の胸倉を掴みあげる。


「調子乗るのも大概にせぇや!」


「汚ぇ手で触んな!俺様の服が穢れるだろうが」


俺とクソジジイの喧嘩に割って入る様に赤い見覚えのあるガキが止めに入る。


「すみません、雅也おじさん、この人少しお馬鹿さんで」


椿はクソジジイにぺこりと頭を下げる。


「誰が馬鹿だクソガキ!」


「おお、椿ちゃんかすまないねぇ、いい歳して少し本気になっとたわ」


「いえいえ」


椿は笑顔で手をブンブンと振り、クソジジイは上機嫌で踵を返す。


「喧嘩は駄目だよ」


「あのクソジジイが悪ぃんだよ」


俺はドサッと地面に座り込む。


「ありゃびしょ濡れだね、どうしたの?」


椿は俺の顔を覗き込み小首を傾げて問うてくる。


「あのクソジジイがいい歳こいて水風船投げてきたんだよ。おかげで俺はびしょ濡れだ。あのクソジジイ殺さねぇと気が済まねぇ」


「殺すなんて乱暴な事言ったらダメだよ。」


「うるせぇ」


俺がそっぽを向いて数秒後ろから不意に声が聞こえてきた。


「おお、椿ちゃんやないか、学校この道なんけ?」


「うん、そうだよ、真城さんもここら辺なんだ」


「そうやで、だが以外やなぁウチら一緒の道なんにおうた事ないねんて」


こいつ友達居ないんじゃなかったか?

俺は気になったので聞いてみる事にした。


「お前ダチ公居ないんじゃなかったか?」


「だちこうって何?」


と椿は小首を傾げて問うてくる。

質問を質問で返すなと言いたい所だが面倒なのでやめておく。


「友達の事だ」


「あーなるほど、最近私に出来た友達だよ!真城雪菜さんって言うんだぁ」


「おお挨拶してへんかったなすまんすまん」


「エセ関西弁の真城は禁句ワードらしいから気をつけてね!」


「こらぁ!そらぁ言うなって言うたやろ!」


「いたい!いたいよぉ!」


椿は真城と言う女に頭をグリングリンされ涙目になっていた。

餓鬼のじゃれ合いを見るのも悪くはないな。

真城は怒りが収まったのかグリングリンを辞めた。


「うぅ、痛かった」


「で一つ気になる事があるんやが何であんた濡れてんねや?」


「ああ?ああこれか」


俺は一通り説明する。


「成程な、よし分かった!なら新しい服こうちゃるよ!」


「良いのか?」


俺は目がキラキラしているのが自分でも分かるぐらいに期待を込めた眼差しを送る。


「おう!今日はご機嫌やさかい飯も仰山こうちゃる!」


「まじか!?」


「まじや!」


こいつとんでもなく良い奴だ…


「ウチらが学校終わったらあんた所行くけぇ待っといてや。」


「ああ!待つ!幾らでも待つぞ!」


「わ、凄い元気…」


椿は少し引き気味だがそんなの取るに足らない!今は飯!今は服!

俺の脳内の約9割は服と飯の事でいっぱいであった。


それから数時間後



「おーい終わったでぇ!」


俺はこの声が聞こえた時眠り休んでいた脳がオートでフル起動しバサッと服が擦れる勢いで起き上がり、ベンチから立ち上がる。


「おお、凄い勢いやな」


「さっ、早速行くぞ!名前なんつったか?」


「酷いなぁ忘れるなんて、真城雪菜や」


「そうか、真城それとそこのアホ女早速行くぞ」


「ムッ…」


椿は頬を膨らませ少し機嫌が悪くなるが俺は気にせず、スキップで公園から出る。

真城は顔を引き攣らせ呆れた眼差しでこちらを見て立ち止まっていたので俺は早く行くぞと促し俺は先に進む。

椿は少々不貞腐れ気味でそっぽを向きながら俺の後に続き真城はちょっと待てぇなと小走りで後に続く。


「椿歩くのが遅ぇぞ、早く歩け」


「ふん…」


椿は俺の言葉を無視して依然として不機嫌である。だが今の俺はそんな事は眼中に無し!

俺に今ある物は飯、服!

この二つのみだ!


「どしたんや、椿ちゃん、えらい元気ないなぁ」


「…」


真城が椿にそう声を掛けるが椿はそっぽを向いて黙ったまま。


「何かあるなら話してみぃや、友達やろ?」


「ん…」


「ほら話してみぃ」


「おい、遅ぇぞ」


「黙っとりぃ!」


真城の怒鳴り声に少し怯んだ後俺はすぐ真横のフェンスに座り込み渋々待つ事にした。


「どうしたんや?ほれ話してみぃ」


「おじさんが構ってくれない…」


「プッ!そう言う事かいな」


「おじさんっててめぇ俺の事か?」


俺がそう問うとこくりと頷き、そのまま黙り込む。


「このクソガキ誰がおじさんだ!オラァまだ25だボケ」


「おっさんやないか!」


「おっさんちゅう歳じゃないわ!大体俺はまだお前に名前すら名乗ってねぇのに何だよその構ってとか言えんだよ?」


「…()()()()()()()()()


約束って何の事だ?



そうだ、こいつを毎日構えば一万円を貰えると言う約束…忘れていた…


「思い出した?」


椿は不安そうな眼差しでこちらを見据え、下から目線で問うてくる。


「そうだったな、危うく忘れかけていた、お前を毎日構えば一万円と言う約束だったな」


「あっ…うん…」


「十分構ってんだろ。我儘言うな」


「…」


「乙女心分かってないなぁアンタ、こう言う時は抱きしめんねや!」


いやセクハラで訴えられるだろ…


「所でアンタ名前は?」


「は?」


「は、じゃないわ。名も知らん奴に飯奢るのは正味何か嫌やろ?」


「それもそうだな、木蔦(きづた)、木蔦西洋だ」


「珍しい名前やな」


「ああ」


俺は正直あまり自身の名前を言うのは好きじゃない。

それは単純な理由だが珍しい名前だからだ。

どうやら親が木蔦と言う苗字なら西洋にしようと決めたらしい。

由来は西洋木蔦から。

親は西洋木蔦の花言葉が好きらしくその名にしたらしい。


「何て呼ぼか…木蔦さんでええか?」


「好きにしろ」


「じゃあ好きにさせて貰います」



俺はフェンスを背に立ち上がり、椿に行くぞと促す。


椿は渋々歩き始め、俺もそれに続く。


「で、アンタ率先して歩いとったが何処か行きたい所があるんか?」


「いや適当に歩いただけだ」


「何やそりゃ…」


俺は再度歩こうとすると真城が俺の肩に手を起きそれを静止する。


「ちょっと待や、まずはウチの家行くで」


「何でだ?」


「今財布持っとらんのや」


「事前に持っておけよ」


「学校に財布持ってくんは校則違反や」


変に真面目だなこいつ…

俺は仕方ないのでこいつの家に行く事にした。椿は先ず自分の家に帰り着替えて来ると言い自分の家に帰った。

一応待ち合わせ場所を決め、俺はそこで待とうかと考えたが真城について来いと言われてしまったので渋々ついて行く。




最後までお読み頂きありがとうございます。

次回は新ヒロインを出す予定ですのでお楽しみ下さい。そのキャラが後の物語に深く関わってくるかも・・・


第2話はなるべく早く出せれば良いなと思います。

つまらない作品かもしれませんが、今後ともお付き合い頂けたらと思います。

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