ガラス越しの傍観者
中学生くらいの、あどけない顔つきが残った男の子と女の子が机を挟んで向かい合っている。窓のそば、空高くまで湧き上がっている入道雲を背景に、座っている。お互い注文したオレンジジュースは、飲み干されて少し甘いだけの色水になっている。どれほどの時間を向かい合っているのだろうか。男の子はチラチラと女の子の顔を伺っている。女の子は、そんな男の子を見て、幼さが残る顔にえくぼを作ってそれをじっと見つめている。。早くお互いの気持ちを伝えればいいのに、もどかしい。自分に残された時間はそんなにないというのに・・・
そう思っていると、意を決したのか男の子がぐっと、女の子を見つめる。見つめて、口を開いて何かをしゃべる。しゃべって、自分の手を女の子の手に重ねる。女の子は、その幼顔をくしゃりと歪め、首を上下に振る。気がつけばあ二人の手は、柔らかく握りあっている・・・ああそうだ、それが見たかったんだ。そう思った俺は、コップの中でガラリと音を立てて崩れ落ちた。
喫茶店で青春している学生を見ていた時、人ではない傍観者ってどんなふうにこの風景を見つめているのかなと思って書き殴りました。