3 私の華麗なる異世界生活
みなさん。お久しぶりです。私の名前はフボル・リーナです。
ノリで悪役令嬢に転生してしまった、私ですが。。。
まさか赤ちゃんからやり直すなんて思ってもいませんでしたわ。
精神年齢が高いがために色々ありましたが、
お父様やお母様が「この子は賢いのよ」と、言ってくれてなんとかなっています。
あれから、あっという間に8年が経ち私、フボル・リーナは今年で8歳になります!
もう8歳?と、思っている方もいらっしゃるかもしれませんが自分でも驚きです。。。
「ふう。私ったら誰に話しているのかしら?」
自問自答しながら、日記帳をパタンと閉じる。
寝起きで頭がまだ鈍いのかも。
それにしても、この異世界生活にもなれたなあ。
それにいつの間にかお嬢様言葉で喋るのに慣れたし。
敬語って環境があると意外と簡単なのね。
「ふわあ。もう少しでジュリ来るかなあ?」
呑気にあくびをしながら、メイドのジュリが起こしに来るのを待っている。
このままぼーっとしててもあれなので、もう一回ベッドに寝転んで待つことにした。
しかし、いっこうにジュリがこない。。。
「ジュリ何かあったのかなあ?」
「このまま待つのもつまらないから、探しに行こうかしら?」
そう思って、ベッドからおり部屋のドアを開けた。
「い、意外と重いわね。このドア。。。」
いつもはジュリが開けてくれるドアを両手でゆっくりとを開けて、部屋の外に出た。
「今日もお兄様たちやってるのかしら?剣のお稽古。」
そうなのだ。私には3人のお兄様がいる。
大きい順に行くと、アーノルトお兄様、ルークお兄様、レアムお兄様だ。
3人とも優しいので大好きだ。しかも、妹の私でさえ見惚れてしまうほど美形だ。
そんな3人の様子が気になったので近くにあった窓から庭の様子を見た。
すると、お兄様たちが額に汗を滲ませながら剣を振りかざしているのが見えた。
その姿は毎日見ている私でさえ見惚れてしまうほど美しかった。
「って。私が見惚れてどうすんだって。話だよね。」
「はあ。かっこいいなあ。てか、私もあんなふうにできたらかっこよくない?」
そんなことを思いながら頑張っているお兄様たちを見つめていた。
見ている私に気が付いたルークお兄様が手を振ってくれた。
そしてすかさず私も手をふり返す。
アーノルトお兄様とレアムお兄様も気づいてくれて、手を振ってくれた。
下に降りて、おはようと言いに行こうか迷ったけれどまだ寝巻きだったことに気づいて部屋に戻った。
すると、そこにはジュリがいた。
「ジュリ、どこ行ってたの?」
「すいません。お嬢様。お嬢様のドレスが先程届きまして、それの手続きを行っていました。」
「なんのドレス?」
「お披露目会用のドレスです。」
「お披露目会かあ。行きたくないわ。」
お披露目会というのは、8歳になった、貴族のご令嬢やご子息たちが顔を見合わせる会だ。
正直行きたくない。。。なぜかというと、その会にはもう一つ意味があるのだ。
それは、婚約者を決めることだ。。。
お兄様たちにも婚約者がいると思うんだが、あったことがない。
仲が悪いのかもしれないが、よくわからない。
後で聞いてみようかなあ。
「お嬢様。そこまで、婚約者を作りたくないのですか?」
苦笑しながら、ジュリがいった。
「な、なんでわかったの?」
もしかして、ジュリはエスパーなのか?
「顔に書いてあります。」
私ってそんなにわかりやすいの?
「だって、私まだ8歳なのですよ?それに、私は自分の力だけで生きていきたいの。」
「はあ、お嬢様。貴族の中だと、もう8歳です。でも、お嬢様が別に作りたくないのであれば、作らなくても良いのでは?」
「本当?ならつくらないわ!」
「即答ですね。」吹き出しながらジュリが言った。
「お嬢様。お話もいいですが、早く着替えた方がいいのでは?」
私はまだ寝巻きだったことを思い出した。
「確かにそうだわ。それに、もう少しで朝食の時間!なるべく早くお願いできる?」
「はい。かしこまりました。」
私のわがままを快く受け入れて、ジュリは私の着替えを手伝ってくれた。
ガチャ
「お待たせしました!」
元気よく食堂に入る。
「お父様、お兄様方。遅れてしまってすいません。」
「いや。私たちもちょうど今、来たところだ。」
笑顔でお父様がそう言ってくれた。
「そうですか。そうならよかったです!」
そう言いながら席に座った。
「では、食べるか。」
「はい。」
「「「「「いただきます。」」」」」
お父様、お兄様たちそして私の声が食堂に響き渡った。
今日のメニューは食パンにサラダ。そして、なんか美味しいスープと謎の果物と牛乳。
謎の果物と謎のスープは名前を忘れてしまっただけだ。
ちなみに、牛乳は私がシェフに頼んだのだ。
背をなるべく伸ばしたいからだ。
かっこいいレディになるためにはチビじゃだめだもの。
美しくて、いつも冷静で、でもどこか魅力的で。。。
なんかそんな感じの女の子に私はなりたい。
それには、自分で自分の身を守れなきゃダメよね。
なら、それを身につけるまでよ。
ゆっくりと飲み込んで、フォークを置いた。
「お父様。」
お父様やお兄様たちの目が私に一斉に向く。
「どうかしたのか?」
優しくお父様が返す。
「実はお願いがあるのですが。。。」
「お披露目会の欠席か?それはだ」
「いえ。それはもう諦めました。」
「それなら、婚約者の」
「いえ。それもお願いしたいのですが、違います。」
お兄様たちがもう吹き出しそうですわ。
ちらっと、お兄様たちの様子を見てもう一回お父様の方を向いた。
「私、剣を習いたいのです。」