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1 クソみたいな世界に手を振りたいの

小説家になろう初投稿です。暖かい目で見てくれたら嬉しいです。

よろしくお願いします。

 




毎日毎日勉強ばっかり。


ここの世界に生きている限り努力をすることだけでしか自分の生きている意味を証明できない。


でもね、みんなは知らない。


努力ができない人間がいることを。


果たしてその人はこの世界で生きている意味があるのだろうか。


楽しいことがあるかとかそういう問題じゃなくて、意味がないことなんかない、とかということじゃなくて


この世界で生きていてその人は楽しいのだろうか。


少なくとも私は違う。


努力の価値を知らない子だなんて思わないでよね。


私はどこにでもいる夢をもってる女の子なだけだから。


夢があるなら叶えたいって思うでしょう?


だから


私はただそうしただけ。


















「あーつまんねー」


毎日必ず一回は言う。


でも、本当につまらない。


毎日毎日同じようなことを繰り返してるだけ。


「こういう平和なのもいいけどさ、もっとこう刺激的なものが欲しいんだよね〜」


そんなこと言ったってそんなことがあるわけないけどね。


はあ。


そんなことを考えながら、親の監視をかいくぐり


私はこうして配信期限が迫っているアニメをパソコンで見ているわけだが。


「はあ。このアニメみたいに異世界転生できたらいいな〜。なんて。あるわけないけど。」


私は最近、異世界転生系のアニメを見ている。まあ、それ以外にも色々見てるけどね。


私はいわゆるアニオタだ。


最新のアニメや昔流行ったアニメ、これから流行りそうなアニメなどは大体知識に入れている。


その中でも特に好きなのが異世界転生系のもの。


きっと、体も現実逃避を求めているからだと思う。


そんなものばかり見ているからか私はいつしか異世界転生がしたいなんて思うようになってしまった。


本当に異世界転生したいな。そんなこと、ありえないけどね。


はあ。


でも、これこそ私が求めているものなのに。


平凡的な生活からひょんなことで刺激的なあたらしい世界に変わる!みたいな。


そんなことがあれば毎日頑張るのにな。


そんな意味のないことを考えながら溜まっているたくさんの課題に目を向けた。


「はあ。毎日毎日課題宿題。もう、いつ終わるの?一生私は課題に追われながら生きていかなきゃいけないの?」


「神様。どうかこの哀れな迷える子羊をお救いください。。。」


そんな、アニメに出てきそうなセリフを並べたところで溜まった課題は減るわけないけど。


私はため息をつきながらアニメのサイトを最小化にしてパソコンを閉じた。


「はあ。まずは英語からやろうかなあ。」


渋々私は溜まった宿題に手をつけ始めた。


ペラペラ。


「何この単語?なっが!わかるわけないじゃん!意味わからんし。」


こういう時は、たいていパソコン様に頼るのだ。


「カタカタ。わー!さすがパソコン様だ!こんなにも早く出るなんて!」


棒読みでそんなことを言いながら意味のわからない単語をインターネットで調べる。


まあ、そんなこと言ったってマジで便利なんだけどね。


だから、私は今もこうして助かっているわけなのだが。


そんなことを考えていたら、ふとあることが頭をよぎった。


ん?なんでもあるってことは、あれもあるんじゃね?


プラスマークを押してタブを増やす。


キーボードを押して入力する。


そしてエンターを押して、検索結果を待つ。


「マジか。こんなのもあるの?ネットには。。。」


驚きながらも、一番上に出てきたサイトを押した。


私が今見ているのは異世界転生の仕方についてのサイト。


異世界転生の方法について写真付きでしかも色々な方法が載っている。


ここまで進歩した現代技術に少し恐怖を感じながら、一応ブックマークをしておいた。


「本当にできるかどうかはわからんが、運試しとして宿題が終わったらやろうかなあ。」


「んま。まずは宿題終わらせなきゃ!頑張るべ。」


そんな、やる気のない意気込みをして私は溜まった宿題に本格的に手をつけ始めた。


















結局、私が全部の宿題を終わらせたのは午後11時をすぎた頃だった。


もう、遅いので他の家族はみんな寝てしまった。


「もう、11時かあ。パッとみあんまし遅くないけど、私にとってはもう寝なきゃいけない時間だけどね。」


そう、実は私。


寝るのが大好きなのだ!12時間寝てもまだ眠いくらいなので、寝れるならいつまでも寝ていたい。


今日も熟睡できることを願いながら、寝る準備をした。


そして、つけっぱなしにしていたパソコンを閉じようとした時、あることを思い出した。


「そういえば、パソコンで異世界転生の方法見つけたんだっけ?」


「やろっかなあ。どうしよっかなー。」


少しだけ迷ったが、なぜだか今やらないと後悔しそうだったのでやることにした。


一応、家族のみんなが寝ていることを確認して、閉じようとしていたパソコンを開きなおした。


そして、ブックマークからそのサイトへ飛んだ。


早く寝たかったので、一番上にあった簡単そうな六角形みたいな魔法陣のようなやつをすぐに手順通りに紙に写した。


「最後は、紙を両手で持ちながら、60秒目をつぶってなるべく長ーく深呼吸をすると。」


「そんなことで本当にできるのか?」


まあ。実はそんなことを言いながらも異世界転生できることを願っていたのだが。。。


念の為、もう一度みんなが寝ていることを確認して、ゆっくり目をつぶった。


そして、心の中で60秒数えながらゆーっくり深呼吸をした。


スーー ハーー  スーー ハーー  スーー ハーー  スーーハーー


60秒経ったことをもう一度確認して、私は恐る恐る目を開けた。


すると、そこに見えたのは。。。












見慣れた私の部屋の壁だった。








チーン。


「ま。異世界転生なんてあるわけないか。」


実はかなり信じていた自分もいたので、けっこうガッカリした。


「はあ。」


毎日ため息で始まって、ため息で終わる毎日。


こんな日々が続くと思うと、体がどんどん重くなっていく。(睡魔のせいでもあるかもしれないが)


そんな重たい気持ちで、ベットに足を運ぶ。


そして、明日また見るであろう見慣れた部屋の天井に別れを告げ、随分重くなった瞼を閉じた。


ガバ!


あることが思い浮かび勢いよく飛び起きた。


「このアニオタの私からすると、起きたら異世界なんていう展開もある気がする!」


「はあ。そんなわけないか。」


強すぎる睡魔に負けて私は深い眠りの沼へと落ちていった。。。













そして、次の朝。


ぱち


「ふわあ。寝みいい。」


むにゃむにゃ


ガバっ


「はっ!そういえば異世界転生!もしやここは!!」


と、思いあたりを見回した。


そこは、、、。










やっぱり見慣れた私の部屋だった。。。






「はあ。やっぱり。異世界転生なんて無理だったのかも。」


わかってたくせに何やってんだろ。私。最初からもうわかっていたはずなのに。


期待していたぶんだけやっぱり。ショックは大きい。。。


「ほんと。馬鹿みたいだな。」


私は朝から暗いのだが、今日の私はいつもより暗い。


「はあ。」


昨日の魔法陣のようなものをかいた紙を捨てようとした時のことだった。


その紙に触れた瞬間一瞬だけ意識が遠のいた。


くらっ


「どさっ」


幸いまだみんな寝ていたため誰にも見つかってない。


いや。そんなことより!


何が起こった?どうゆうこと?心臓発作?貧血?食あたり?


「うっ」考えているだけでも頭痛が、、、マジかよ。なんかの病気?


病気とは考えにくいな。


私昨日何か食べたっけ?なんか変なことした?してないよね?


やばいどんどん意識が遠のいていく。。。


どうしよう。そろそろマジでやばい。。。


その時私は手に持っていた紙をもう一度見た。




あ。



そういえば。


私、変なことしたわ。うわ。したわ。したした。


いや。ちょっと待って。これってまさか。。。


異世界転生の前兆?的なやつ??


多分そうかも。このアニオタの分析によればそうなる!と、思う。。。


それよりも、このタイミングで?マジかよ。てか、異世界転生するだけでこんな苦しいの?


そういえば、あのサイトに異世界転生に成功したらもう戻れないとか言ってたような気が。。。


マジかあ。せめて昨日のアニメ最後まで見ときゃよかった。


いや。何考えてんだ私。今はそんなことよりも。。。


くらっ


やばいもう視界がぼやけてきた。。。


「うっああっ」


やばいもうきつい。息がもう続かないっ


ああ。そっか。


そろそろ。もう終わりみたい。


私の体だから、私自身でわかる。


この世界にはもういられないみたい。


短かったけど、まあ楽しかったよ。


クソつまんなかったけど。


「うがっ」


み、みんな今までありがとう。


そして、


私は


最後の力を振り絞って


クソみたいな世界に別れを告げた。





「バイバイ。」







バサっ





薄い紙が落ちるくらいの静かな音で


まだ幼かった少女はこの世界から去って行った。。。































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