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モンスター、いないらしい

すみません、まだゲームに入りません。

「できればモンスターと戦う仕事がしたいの!」


 クロマは異世界から転生してきてもう8年経つが、いまだにこっちの世界の常識には疎かった。


「えっと……それはゲームの話ですか?それとも何かファンタジー関連の創作に携わりたいのですか」


「うん……?違うよ、将来の話だし、実際に戦う仕事がしたいの」


 クロマの語る将来設計に、目の前の少女、三代楓(みしろかえで)は困惑していた。


(まさか本当に現実にモンスターがいると思ってるんでしょうか?)


 何故ならここは現代社会、日本であり、楓にとってクロマは年齢よりも大分しっかりした子だと考えていたからだ。

 そんなクロマがこんなファンタジーな将来設計を語るだろうか。何かの冗談かもしれない。


「ここだけの話なんだけど、私ってモンスターと戦う以外にまるで才能がなくて……だからそっち関係の仕事に就きたいなーって」


「そ、そうなんですね、でもそっち関係の仕事は難しいかと思います」


 そっち関係ってどっち関係ですか、と喉元まで出かかったが言葉を飲み込み、楓は何とか言葉を返す。


「やっぱり……求人とか見ても騎士団の募集がないし、地図でギルドを探しても全然見つからなくて」


「わ、私も見た事ないですね……」


 そりゃないでしょうね、とも楓は言えなかった。

 何故ならクロマが引き出しから分厚いタイプの求人情報誌や冊子タイプの地図をとりだしたからである。


「もしかして警察が何とかしてるのかな……国土も狭いからダンジョンが少なくてモンスター被害が少ないとかありそう。楓ちゃんはどう思う?」


「えっと、その……クロちゃん」


(これはダメです。どうやら本気でクロちゃんはモンスターがいると思い込んでるみたいです)


 ここまで話して、楓はクロマが本気でそう思い込んでいる事に気づいてしまった。


「あのぅ、クロちゃん……言いにくいんですけど」


「ん、どうしたの?」


 クロマの常識を壊してもよいものか、一瞬悩む。

 楓はまるでサンタクロースを信じる子供にサンタはいない、と告げる気分だった。

 でも、親友のクロマが将来のことで困っているからこそ、真実を伝えなければならないだろう、と楓は話す事に決めた。


「モンスターもそれと戦う騎士も、現実には存在しません」


「え、え?で、でもモンスターとか騎士とかもインターネットで検索したら沢山出てくるよ?」


 クロマはよく居間のパソコンでこの世界の事について調べていた。

 だが両親からコンピュータウイルスの危険について事前に説明されていたため、ページを開かず検索結果を眺めた程度の知識しかなかったのである。


「それは、おそらくアニメやゲーム、フィクションの事で……あっ!」


 上を向いて考え始めた楓が、と手を叩く。

 何か思いついたようで、勢いよくクロマへと向き直った。


「そうですゲームです!クロちゃん、配信者って職業を知ってますか?」


「ど、どうしたの急に……新聞の記事で見た事があるけど、それがモンスターと何の関係が?」


 現在、配信者は小学生がなりたい職業ランキング上位であり、小学生の内から活動している者もいるくらいだ。

 クロマが知る限り、大抵は雑談や面白い企画を行うだけの職業だったと思う。


「実はうちの事務所で、今話題の、新作ファンタジー系VRゲームで配信者のプロデュース企画が出てまして、それで条件に合う人を探していたんです」


「ファンタジー系のVRゲームって何……?」


 VR技術については、クロマにもニュースや新聞等である程度の知識がある。

 なんでも一人の天才がフルダイブゲームを作るためだけに一から基礎理論を構築した技術らしい。

 しかしファンタジー部分がよくわからない。


「ゲームの中ですけど、実際にモンスターと戦えるらしいですよ」


「すごい!でも、ゲームで遊んでるだけでお仕事になるのかな?」


 クロマの家庭はゲームに厳しいという訳ではなかったが、クロマ自身が興味を持たなかったため、ゲームをやることがお金につながる、とは考えられなかった。


「ゲームをプレイしている様子を配信して、他の人に沢山見て貰えば広告料がもらえますし、人気が出ればスポンサーがつく事もありますよ」


「うーん……すっごくやってみたいけど、VRゲームってやったことないんだよね。機械も高いし」


「それなら、配信用のVR機器をお貸ししますから土日で遊んでみてはいかがでしょうか。お昼までにマネージャーに届けさせますので」


「えぇ、良いの!?」


 楓の提案にクロマは驚いた。

 VR機器は一般的なモデルでも10万円程の価値があり、ましてや配信用のモデルともなると、桁が一つ違うとクロマは新聞で読んだことがある。


「いいですよ。その代わり、クロちゃんが遊ぶところを録画させてもらってもいいですか?初期設定自体はこちらでしておきますから」


「そんなの全然OKだよ!でも私が遊ぶところなんて録画してどうするの?」


「企画に使う資料としてお母様に見せたり、動画編集担当の方と相談したりするのにサンプルとして使うくらい、ですね」


 あとは私のクロちゃんコレクションにします。と楓は言っていたが何の事かは良くわからなかった。


「分かった、じゃあゲームは初めてだけど頑張って遊んでみるよ!」


「フフフッ、それじゃあ楽しみにしててください。きっと驚きますよ?」


次回、ゲーム開始。

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