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とある婚約者

今回は婚約者視点です!

過去の話の続きも書こうと思ってます!

「俺と、付き合ってください!!」


「嫌です」


私、中川礼奈【なかがわれいな】はどこにでもいるいない(自他共に認める)特別な高校生だ。そんな私の周りとの違いは、この歳で既に婚約者がいること。


しかし、それを知っているのは私と海翔、家族に1部の友達だけなので目の前にいる男が知らないのも仕方がない。


(それにしても、こうも毎回告白されるのは面倒ですね。何かいい策はないかしら)


「何故だ?なんで俺じゃダメなんだよ!顔もいいし、金もあるのに······」


私はそんな、戯言を最後まで聞かずその場を後にする。






「やっほー、礼奈!」


「ん?ああ、やっほー」


「いやぁ、今日も盛大にやったねー」


「何を?私は大したことしてないけど」


「ほら、さっき振った子だよ。あの子○○○会社の社長の息子だよ?将来期待大の子だよ?よくそんな子振れたよね。私だったら絶対にOKするのにな」


「だって、あいつの目が『俺を振るわけない!』みたいでキモかったし」


「あはは、礼奈は人の非を見つけるの得意だよね」


「失礼だなぁ。私は人を見る目は確かなの」


「流石の自信!それもそうか、あんなすごい彼見つけちゃってさ。ほら!海翔君また校門で待ってるよ!」


彼女が、窓を指差すので私もつられてそっちを見る。彼女の指の先には校門前で待っている。そして片手で傘をさして、もう片方の手にも傘が握られている。


「ホントに彼すごいよね。今日天気予報晴れって言ってたんだよ?彼のおかげで、濡れないで済みそうだし、感謝、感謝〜」


「······ねえ、あの子なんて名前?私の海翔に色目使うなんていい度胸。家ごと消す」


「待ってよ!怖い、怖いよ礼奈。それに消すって嘘だよね?嘘って言ってよぉ!」


「······そんなことより、早く行こう」


「何か話をそらされた気が、まあいいか。そうだね」


私は雨を見て、あの頃のことを思い出した


(確か、私が彼を好きになったのは雷の日からだったな)




私が朝起きると、隣に彼がいた。それだけでも驚いたが、私は今、彼に抱かれている状況だ。


(な、なんで!あっ!私、雷が怖くて、彼の部屋に·····そして一緒に寝たんだった!)


あの時は雷が怖くて、気が動転していた。しかし、今思い返せば相当ヤバいことをしていた。いくら小学生でも、先生でも男は男だ。そんな部屋で彼と二人っきり·······


私は急に彼が恐ろしくなった。

何かされてないかな?


「ううん。大丈夫。俺がいるから。安心していいぞ」


彼はそう言って私の背中をトントンした。寝ぼけているのかな?


私の体から力が抜けていく。警戒しなくちゃ!彼は男だ!そう思っても体が反応しない。私の頭では警戒しても体が働かない。


体が、本能が、彼を信頼してしまっている。彼が私の心の隙間を埋めてくれる。


これまで、私の家族は仕事で忙しく、私のことは使用人などがしてくれる。不自由なことは無かったがとても寂しかった。それでも、言えるわけなくこれまで過ごして来た。しかし小3の時お父様が家庭教師を募集を始めたらしい。それを彼から聞いた時。


(何考えてるの!?)


と思ってしまったのは不可抗力だろう。なぜなら私の成績は学年トップ。スポーツは万能とは言い難いが、それなりには出来る。


(そんな私に家庭教師なんて·····)


私はお父様に失望してしまった。


(お父様は私の事なんて見てないの?私に家庭教師なんて要らないのに)


しかし、実際に彼の言ってることは恐ろしいほど頭に入ってくる。いつも予習、復習してたのが馬鹿らしいぐらいだ。そして、そんな授業を私と同い年でできる彼を尊敬していた。


(私たちと同じ人なのかな?)


と思っていたが、彼の寝顔を見る限り人だ。


(わ!意外と可愛い)


彼の寝顔はいつもの教師の顔でも、ゲームをしている時の集中している顔でもなく、全てを許したような、優しい顔だった。


(なんでだろう?ドキドキする)


彼の寝顔を見てるだけで、心臓がバクバクうるさいこのままだとこの音で彼が起きちゃう!


この後私はどうにかして心臓の音を沈めるのだった






それから、しばらくたち、私と彼は中学生になった

中学生になると彼への思いも明確になり、名前も分かる。


正直、私は彼のことが好きだ。他のことが考えられないぐらい。夜はいつも彼のことを考えている。私は彼と結婚したいし、付き合いたい。でも、なかなかきっかけが掴めなかった。

その事をお母様に説明すると


「あらぁ。青春ねぇ。なら簡単よ」


こう返された時は驚いた。私がこれまでずうっと考えてきたことがこんなことで分かるなんて。


「ど、どうすればいいの!お母様!」


「そんなの簡単よ。絶対に離れないように証拠をすればいいんだよ」


「それって······どういうこと?」


「今なら分かると思ったけど、純情ねぇ」


「それよりどうすれば!」


「既成事実を作っちゃえばいいのよ」


「え·······」


「彼は自分の責任はしっかり負うわ。だから自分から手を出したら、しっかりとやってくれる」


「でも、どうするの?」


「もう、察しが悪いわね。あなたが彼を誘惑すればいいのよ」


「誘惑っ!!」


「あらあら、顔を赤くしちゃって。何を想像したのかしら」


「っ!!でも、海翔は私に興味無いみたい」


「わぁお。そんな子が同年代にいるんだね。本当に変わった子。益々気に行ったわ。

それより、興味が無いなら、興味を持たせればいいじゃない」


「そんな方法があるの!!」


「あるわよぉ、私も使ったことあるし」


「なにそれ?!」


「媚薬と、意識混濁剤よ」


「び、媚薬·····」


「あら、知ってるのね。その2つを使えば海翔君も礼奈にメロメロよ」


「で、でもそんなのを使うなんて·····」


「女の戦いは子供を産むところじゃないわ。男を手に入れるところから始まっているの。それに彼はこの世代で明らかに上位にいるような男よ。今やらないと、誰かに取られちゃうわよ?それでいいの?自分の知らない人と海翔君が一緒にいて」


私はその時のことを考えてみた


「··········嫌、絶対に嫌!」


「でしょう?だったら今のうちにやっとくのね。媚薬と意識混濁剤は私が料理人に言って入れてもらうから」


「分かった········」


私は卑怯な手を使うのが嫌だったが、今思えばナイスすぎるプレーだと思う。






「どうしたんだ礼奈?そんなに見られても面白いことなんてないぞ?」


私はその日の食事中彼のことをずうっと見ていた。そして、さっき彼は料理の一口目を食べた。どの料理に薬が入っているのか分からないが、彼は料理を残さないので心配はしてない。


問題は薬を取ったあと。彼が私に興味を持ってくれるか。薬の心配はしてない。お母様は嘘を言わないし、今まで間違えたことがない。


「い、いや。なんでもない」


「そうか?なんか、さっきから礼奈変だぞ?」


そして長く感じた食事の時間は終わった。

食事終わりにお母様が


「海翔君、今日は雷が降るそうだから礼奈のこと頼みますよ?」


私は雷が降って海翔を頼った時から、雷が降る度に海翔の部屋に行って一夜を共にしてきた。特にやましいことは無い。·······起こって欲しいとは思ってなかった。絶対に!!


「ええ、勿論ですよ。礼奈、俺は風呂入ってくるから先に部屋に行っといてくれ」


「わ、分かったわ」


そう言って彼は食堂を後にする


「····ね、ねぇお母様。本当に薬は聞いてるの?」


「そうねぇ。即効性の物にしたんだけど。理性が強いのかしら?それとも慣れてるとか?

それでもこれからずっといるのよ?思春期の男子に耐えられるわけないわ」


「なら、いいけど」


そう言って私も食堂を出る






「だ、大丈夫か?礼奈」


「え、ええ大丈夫よ」


今、彼の部屋で彼と一緒に寝ている。部屋に入って来た彼は風呂上がりなのか顔が赤く(それだけでは無いと思いたい)、それといつも通りバスローブの姿でいるが、いつも白い肌が、赤くなっているのを見ると、ドキッとしてしまった


『彼は意識が混濁してる。だからこの場を夢と思わせれば、あとは誘惑すればOK。彼も男なんだからリードしてくれるわよ』


部屋に向かう前にお母様が言っていた。夢と思わせるのは意外と簡単だ。今までしなかった話をすればいい(多分)


「······ねぇ、海翔」


「な、何?」



「海翔って好きな人いるの?」


「な、なんで、かな?」


恥ずかしいけど、やらなきゃ!


「海翔の好きな人が気になっただけ」


「そ、そうなんだ、お、俺の好きな人?べ、別にいないけど」


「私は海翔のこと好きだよ」


「え·······」


「だ、だから、わ、私のこと、す、好きにして、い、い、いいんだよ?」


「···················」


「か、海翔?」


「礼奈!!」


「か、海翔?ど、どうしたの?」


海翔は私に被さって来た。海翔は今までで見たことの無いような顔をしていた。顔は真っ赤で、湯気が見えそうなほど。そしてその目は餌を前にしたライオンのように鋭い目。しかし、私はその目付きが嬉しかった


(やっと、興味を持ってくれたんだ)


「ごめんな、礼奈。俺もう、我慢できない」


「大丈夫だよ。私はどんな海翔でも好きだから」


その後のことは言わずとも知れただろう







「ん、」


私が朝起きると、隣に海翔の姿は無かった。代わりに、ベッドの下で土下座をしている人がいる


「えーと」


「ゴメン!!そんな言葉で謝れないのは分かってる。本当にごめん!!」


声は最愛の彼そのものだった。


「どうしたの海翔?」


「俺は礼奈の純血を奪ってしまったんだ。そんな俺に絶望したかもしれないが、本当にごめん。君の言うことなんでも聞く!死ねと言ったら死ぬし、奴隷になれと言うなら奴隷になる」


あらら。彼は私の合意なしで、自分から襲ったと考えてるんだ。お母様の言う通り責任を取ってくれそうですね。······責任感強すぎですが


「分かったわ。ならこの責任を取って私と、け、け、結婚しなさい」


「礼奈が言うなら従うよ····え?」


「聞いてなかった?私は海翔が好きよ」


「え、ええ!!」


その時の海翔の声が中川家に響き渡った







「いやぁ、妻に言われて出勤するの遅らせて良かったよ。まさか娘にそんなことする勇気があるなんてね」


私はそう言われて酷く赤面した。確かにお父様の言う通り、昨晩の私は珍しく積極的だった。

初めは海翔の言う通りにしてたが、次第に自分からも求めるようになった。


「そうねぇ。私も娘に相談された時は驚いたけど海翔君が相手なら仕方ないんじゃない?」


「そうだな。私もあいつに『娘に相応しい相手はいるか?』って聞いたら『俺の息子しかいねぇ』と言っていたがホントになるとはな」


·············どうやら結婚の話らしい。昨日の夜のことを考えてた自分が恥ずかしい


「どうしたんだ礼奈?顔真っ赤だぞ?」


「だ、だ、大丈夫だから!」


「?そうか?」


良かった。誤魔化せた


「あらあら」


「おやおやぁ」


·····無理だったかも


「これで海翔君も私の息子も同然。これからはお義父さんと呼んでくれ」


「なら私はお義母さんかしら?」


「マジかよ。·····わかったよ『義父さん』『義母さん』」


「おお、息子ができた気分だな」


「ええ、そうですね」


「しかし海翔よ。浮気はダメだぞ。そんなことしたら」


「しませんよ。俺だって礼奈のことは好きです。わざわざ自分から愛情を損なうようなことはしませんよ」


「海翔····」


「あらあらぁ。もうラブラブねぇ」


「そうだなぁ」


この時はお互いに顔を真っ赤にした。ここまで動揺した海翔を見たのはこれまで初めてかもしれない

次から、海翔のチート具合がわかると思います!

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