とある主人公
レンジです!よろしくお願いします!
思いつきなのでその場その場で書いていますが暇潰しにでも読んでください
「私と、付き合ってください!!」
「丁重にお断りさせていただきます」
俺、木村海翔【きむらかいと】はどこにでもいる(自称)普通の高校生だ。ただ、普通の高校生と違うところはこの歳で既に婚約者がいることだ。
しかし、それを知っているのはお互いと、その家族、1部の友達ぐらいなので、目の前にいる子が知らないのも仕方がない。
「なんで、なんで私じゃだめなの!?顔も、プロポーションも自信があるのに·······」
俺はその言葉を最後まで聞かず、その場を後にする。
「よお、海翔!」
「ん?ああ、よお」
「また女振ったんだって?」
「おい、その言い方はやめろ。俺が女で遊んでるみたいじゃないか。」
「だって、そうだろ?婚約者がいることを周りに話さないでいるんだ。さっき振ったの最近注目されてる女優だぞ?明日の登校する時周りからどんな目で見られることやら」
俺はその時のことを考えてみた。
(んーー。嫉妬の目線かな〜?でも振ったんだから、歓喜の目線かな?)
「ワンチャン、周りから喜ばれるかも」
「確かにな。でも告られたことには変わんねぇだろ?これからその女優とどうやって会うんだよ。気まずさ半端ねぇと思うぞ」
「そんなのいつも通りでいいだろ?」
「ほんっとーに周りに興味無いよな、海翔は。特に女子」
それもそうだ。俺には友達が少ない。隣にいる奴は幼稚園からの付き合いだから一緒にいるが、それ以外は全くと言っていいほど友達が少ない。
勿論、見かけたら挨拶するぐらいの奴ならいるが、こうして一緒に帰る仲なのは隣にいる奴だけかもしれない。
「周りに色目を使うと礼奈が妬くからな」
「お前と色目について1回話し合ってみたいよ」
「そうか、それはまた今度な。それじゃあ」
「おう、また明日!」
俺は幼馴染と別れた。
さっき話に出た礼奈は俺の婚約者だ。
〈話の入り方下手ですいません。ここから過去の回想に入ります〉
礼奈と出会ったのは小学3年の頃。俺はその頃から天才と呼ばれ始めた。別に何もしてないけど
ある日、俺が家に帰ると父さんが珍しく家にいた。父さんは会社で重役についていたらしく、帰りはいつも遅かった。そんな父さんが珍しく家にいて、帰ったばかりの俺に言った
「なあ、海翔。金欲しくないか?」
小3を誘うなら普通おもちゃか、ゲームだろ!と今になって思うが、俺はその言葉に食いついた
「お金?勿論欲しいよ」
小3の欲とは思えない言葉に母さんは驚いていた。しかし父さんは
「おお!そうか、そうか。なら自分で稼がないとな」
自分で稼がないと行けないのは百も承知。しかし未成年どころか高校生でもない俺がバイトや就職できる訳もなく、俺は父さんの冗談かと思った。
しかし父さんは俺の予想を裏切る言葉を投げかけた。
「そんな海翔にピッタリな仕事があるぞ。それはとある人の家庭教師だ」
その言葉に俺は反応する。自分で稼げるなら稼ぎたい。小3の考えとは思えないが、その時の俺は『金が欲しい』の考えが脳に染み付いていたので、何も疑問に思わなかった。
「家庭教師?そういうのって大人がやるんじゃないの?」
当然の疑問だ。しかし、父さんは俺の考えを見越していたのか、すぐさま言葉を返す
「その子は、家族以外の大人が怖いらしい。だから大人じゃなくて頭のいい海翔に話が回ってきたわけ」
俺は驚いた。そんな都合のいい話が舞い込んでくるなんて!俺はとある事情でお金が欲しかった。その事情も子供らしくおもちゃや、ゲーム、カード。なら良かったのだが俺が欲しかったのが腕時計。小3のくせにイキってんな!とか言われそうだが、俺が欲しかった理由は簡単で、父さんや母さんがつけているから俺も欲しくなったからだ。別の理由もあるが、きっかけはそれだ
そんな理由でお金が必要なわけだが、ただ勉強を教えるだけでお金が貰えるなら安いもんで
「OK。その仕事俺がやる!」
と意気込んでいた。
その仕事が住み込みでやると知った時、俺が真っ先に聞いたのは、家族のことじゃなく
「俺の物持って行っていい??」
だった。その時の親の顔は呆れたような、面白いような顔をしていた。
許可を貰ったので、荷物を持っていく準備をする。その時の持ち物も小3とは思えない物で、パソコンや、スマホ等の電子機器ばかり。まるで中高生のお泊まりに行くような持ち物に、思わず両親も苦笑いだったのが今でも覚えている。
「ここが海翔の教える子が住んでる家だ!」
父さんは効果音で「ジャジャーン!」と言いながら俺に必死にアピールする。しかし俺はそんな言葉が耳に入らなかった。その家の大きさが現実とかけ離れていたからだ。この場所だけ纏っている空気が違った。次元が違ったと言った方が正しいか。それぐらい豪華な家だった。サイズで言えば、東京ドームの半分ぐらいかな?(後で聞いたらホントにそれぐらいだった)
しかし俺の考えてる事は
(給料に期待大!)
その頃は非常に現金な男だった。
しかし、そこで俺はこれからの人生をガラッと変える出会いが待っているとは知らずに。
「おお!君が我が子の家庭教師か!確かに彼の言っていた通り我が子と同い年のようだな」
俺はあのバカデカい豪邸に入り、玄関で話しかけられた
「僕が家庭教師の仕事をすることになった木村海翔です。よろしくお願いします」
「ははは。そんな大荷物を抱えて。荷物はこちらで準備すると言ったはずだが?」
「この荷物は俺が大事にしている物です。」
「ほう、大切にしているものか。天才が大切にしている物、興味深いな。何が入っているのかな?」
「中身ですか?パソコンと、スマホと、PS4、テレビですかね」
「お、おお。そんなに電子機器持ってきてどうしたんだ?」
「今、手が離せないゲームがあるんですよ。あっ!でも、ちゃんと家庭教師の仕事はします!」
「あ、ああ。そこの心配はしてないから大丈夫だ」
「どうだ?海翔は面白いだろ?」
ここでさっきまで、俺と相手の父親が話しているところを見ていた父さんが、話に加わる
「ああ、そうだな。なんと言うか···すごい子だな」
「だろ?こんなんでも天才だから、仕事はしっかりこなすから安心してくれ」
「ああ、それぐらい分かる。同士だと、俺の直感が言ってるよ」
「お前が言うなら間違いないんだろうな。海翔、頑張れよ!」
「ああ、勿論だ」
そう言って父さんはこの豪邸を出て行く。
「取り敢えず、君には面接を受けて貰おう」
(面接?仕事に面接は付き物だけど、家庭教師にも必要なのか?)
その時は単なる疑問で終わった。
「ここでいいか」
俺は今この広い豪邸を迷路のように進み、ある部屋に連れていかれた。この部屋には片方に鏡が大きく貼られている。そして窓もなく、部屋には机と、机を挟むように置かれたソファが1つずつ。どちらも1人ようだ。
「座ってくれ」
言われたので、手前側のソファに座る
「まずは、どうして家庭教師をしようと思ったのか聞かせてもらおうか」
その顔つきは、一切の嘘を許さないと、語っているかのようだった。
なので、俺は誤魔化すことをやめ、正直に答えようとした
「俺が家庭教師をやろうと思ったのはお金が欲しかったからだ」
「お金?それなら君のお父さんから貰えばいいのでは?君のお父さんは高収入だろう?」
「確かにその通りだが、俺が今欲しいのは父さんから貰える金額じゃ足りないんだ」
「ほう、お小遣い程度じゃ買えないのか。なら何が欲しいんだ?」
「腕時計だな。父さんや母さん。あなたが持っているような数百万するような腕時計が欲しい」
「何故だ?持ち物を聞く限り、君はゲームにしか興味がないように思えるが?」
「ゲームは楽しいからな。それでも、ゲームが全てって訳じゃない。時計が欲しい理由は父さんや母さんが持ってるから欲しいと思っただけだ」
「·······なるほどな。でも、それだけが理由じゃないだろう」
ッチッ。俺は心の中で舌打ちした。
(なんで分かったんだよ。一応合ってるからバレないと思ったのによ)
ここまでバレたなら仕方がない。正直に話すか
「······俺は、将来が不安なんだよ」
「ほう、君ほど頭が良くて、運動出来る万能な人がそんなことを言うか」
「それでも俺は思うんだ。今は大丈夫でも、来年は?再来年は?10年後は?もしかしたら、俺が事故って動けなくなるかもしれない。そう思うと、不安なんだ。でもお金があればこの先を心配する必要が無い。そう思っただけだ」
「······なんほどな。確かにこれは重症かもしれないな」
「なんか言ったか?」
「いや、何も。取り敢えず君は、娘の家庭教師に任命するよ」
「ありがとうござい······え?娘?」
「あれ?聞いてなかったのか?君に教えて欲しいのは娘だよ」
「うわぁ。マジかよ。女かぁ」
「女かぁ、って。何か都合が悪いのかな?」
「女は苦手なんだよ。なんて言うか、目付きが怖いし、鬱陶しい」
「それは·····仕方ないね」
相手は俺を上から下、下から上に眺めてそう言った
「まあ、娘はそんなことないよ···多分」
「まあ、仕事は仕事だからやるしかないかぁ」
「まぁ、頑張ってくれ」
俺は同情の視線を向けられ更に落ち込む
その後俺は教え子(?)と顔合わせをし、その日、早速教えることになった
「それで、何が分からないんだ?」
「私?分からないところなんてないけど」
「えぇ?マジかよ。やる事なしかぁ。気合い入れてきたんだけどなぁ」
「なら、何か話してくれないかしら?」
「話?面白い話なんかないけど」
「別に面白くなくていいわ。私は外のことを知りたいの」
「外の世界?囚われた王女みたいだな」
「囚われた王女?」
「いや、気にしなくていい。俺ができる話なんてゲームくらいしかないよ」
「ゲーム?なんで、男の子は外で遊んでるってお父さんに聞いたけど」
「そうなのか?興味が無さすぎて知らなかった。俺はいつも家でゲームしかしてないけど」
「勉強は?」
「ん?勉強って学校でやるもんじゃないのか?」
「ならあなた宿題は!」
「宿題?ああ、何かミカコンが言ってたな」
「信じられない。そんなんでよく家庭教師やろうと思ったわね」
「家庭教師って勉強を教えればいいんだろ?それなら学校でやってるから大丈夫だ」
「え?そんなの嘘でしょ。学校は教師が教えているのよ。生徒のあなたが教えてるわけないでしょ」
「なら、試してみるか?そうだな········ここから教えるか。今から教えるから、これからは先生と呼べよ」
「まあ、それぐらいならいいわ。それに私にも礼奈って名前があるんだからね」
「ああ、よろしく礼奈」
「ええ、よろしく先生」
こうして俺の初授業が始まった
「信じられないわ」
「どうしたんだ礼奈?」
今は食事中。ここの大豪邸。いや中川家の食事は凄かった。俺ん家も負けてないと思ったが、そもそも、作っているのが料理人って時点で負け確定。それに料理もナイフとフォークを使って食べる。礼奈が言うには朝は日本食らしい。
「お父様、先生が「もう先生なんて呼んでいるのか」·····海翔が「先生と呼んでって言ったけど」········先生が」
呼び方に礼奈のお父さんと俺が突っ込んでいく
「先生の教え方が上手過ぎるの!家で勉強どころか宿題すらもやったことがない人がなんで、こんなに教えるのが上手なの!」
どうやら彼女は俺の教え方がおかしいことに不満らしい。そして、礼奈のお父さんもこっちを見ている
「よく俺の幼馴染に勉強教えてって言われるからな。それにあいつバカだし、勉強に全然集中出来ないから短時間で身につく教え方と、勉強法を考えたんだよ」
「·····信じられない。本当にそんなやり方があるなんて」
「あるもんはあるんだから仕方ないだろ」
「まあ、確かにそうだね。それで今日はどこを教えたんだ?」
「教えたところか?礼奈の学校がどこまで教えてるか分からなかったから取り敢えず3年の分は全部教えたけど」
「·········ホントか礼奈?」
「ええ、事実よ。それに教えられた事しっかりと頭の中に残ってる」
「それでも俺が教えられたのは基礎だけ。それに今回は教えるだけで問題は解いてないから、本当に分かったのかは分からないけどな」
「········アイツめ、思ったよりヤバいやつを寄越してきやがったな」
礼奈のお父さんが何か言ってるが無視無視。それよりこの料理めっちゃ美味いな。
「先生、ちょっといいですか?」
「ん?礼奈か、どうした」
家庭教師として頑張って、無事に欲しかった腕時計を手に入れた。その後も頑張って家庭教師を続けていたある日、礼奈が夜俺の部屋を訪ねてきた
俺はゲームをやめ、扉を向く。すると、そこには枕を抱えた礼奈がいた
「どうした?枕を抱えて?」
「先生、あのぉ、言い難いんですけど『ゴロゴロガッシャァァン!!』っ!!!」
礼奈が話している時に雷が鳴った。すると礼奈の体がビクッと跳ねた。
「あぁ。そういうことかぁ。それで、なんで枕なんか持ってきたんだ?」
礼奈が雷を怖がっているのは分かったが、枕を持って俺の部屋に来た理由が分からん
「せんせえぇ、あの、雷が怖いので、えっと、一緒に寝てくれませんか?」
「一緒に寝るのか?別にそれぐらいならいいぞ」
俺は今やっているゲームをやめ、礼奈と一緒にベッドに寝る。ベッドは大きく、2人で寝ても充分に余るほど大きい。
最初俺らは(礼奈だけ)気まずく、少し離れて寝ていたが、
ドンガラガッシャァァァン!!
また、雷がなると俺の方に急いで寄って来て、抱きついてくる。礼奈の未発達ながらも、柔らかな感触が俺の背中に当たるが、そんなことより
「大丈夫か礼奈。安心しろよ。ちゃんと俺がいてやるからな」
俺は礼奈と向き合って背中を撫でてあげる。向き合って初めて気づいたが、礼奈は泣いていた。
(本当に怖かったんだな)
俺は今まで礼奈に接してきて、感じたのは俺、と言うか男に距離を置いているという事だ。だから俺も距離を置いていた。完全に教師と生徒と言う立場で接してきた。
でも、
(ここまで、心を許してくれてるなら、俺もそうやって接してくれた方がいいのかな)
俺は気づいたら寝ていた礼奈の寝顔を見て思った
その日はいつもよりよく寝れた気がした
長くなりましたが、初めてなので気合い入れて書きました。
主人公の過去はいらないと思いつつも、せっかく考えたので読んで欲しいので書きました