きっと期待はされていない
「ヘェ、そうなのね」
彼女は僕の失態に興味すら持たなかった様だ。失望されなかったのは幸いかも知れない。逆に言うと期待すらされてないとも言えるので辛い。
「何も言わないのか?」
口から疑問が溢れた。ガタガタと揺れる窓の音によって、疑問が彼女の耳に届く事は無かった。
急に胡座をかいていた彼女は急に勢い良く立ち上がった。
「なぁ、今手伝い出来るぐらいにはヒマか?」
『出来るよな』と目つきで訊いてきた。『断るなんて事無いよな?』と喋らずとも伝わって来る。
「うん、ヒマだよ」断る理由も無いし、初日に機嫌を損ねる事にはいけないのでそう答えた。
「今は冬だな」
突然突拍子も無い事を言い始めた。
「うん」
「吹雪は弱まったな」
「うん」
二、三度程掛け合いした後。
「使えそうなのが居るな」
雲行きが変わる。ただの雲から雨雲に。
「うん?」
「狩りに出るぞ」
「……エ?」
「準備するから、しばらく待てよ。運が良けりゃ今夜は牡丹鍋だ!」
やけに気合が入ってた。
「ボ……タン……ナベ?」
呆然と立っている僕をよそに彼女は着替え始めた。僕に対して恥じらう様子は全くない。
雪の様な色薄い肌と控えめな双丘が目に入ってきた。
シマシマの水色だった。
服装は雑だったのに下着は小さなリボンの付いた可愛らしいモノだった。