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クズの女神  作者: 黒石晶
2/8

事実ショックにはご注意を

  「僕が……死んだのか?」


  唖然としている僕に対して憐れみをかける事なく

「エエ、残念ながら、ご愁傷様です」


  業務的にそう言い放った。呆気なく終わったのだ、僕の全ては。


  頭で後悔と懺悔が踊り回る。目の前が酷く歪み、そして。


「二度目の人生はありますか?」


  僕はトチ狂った事を勢いで言ってしまったのだ。そんな事を口走ったのだが、彼女の反応は


「死人に二度目があるとでも?」


  偽りでも良いから救いが欲しかったが、それが垂れる事すらなかった。


  僕は途方に暮れた。希望の光が差しそうも無い。


  そんな事を思っていると彼女は急に営業用の笑顔を貼り付けて僕に話しかけて


「二度目が欲しいって言いましたね?」


  少女の皮を被った白い悪魔は囁く。僕にとっては途切れた救いの糸。それを手に取るのは至極当然で。


「なら私は貴方に手を差し伸べれますよ?」


  悪魔が言うのは理想だった。僕が手に取れなかった理想。


「どうすれば出来るんですか?」


 僕は悪魔の取引に応じた。僕の二度目の為に。彼女が求める代償は? 身構えている僕に与えられたのは。


「理想の鍵です、急所に当てて下さいね?」


  パーカーのポケットから取り出したのは小型の拳銃だった。意外にも暖か味がある。


「…………何故この様な物を、僕に?」


『僕の理想の為に必要なのは僕の命とでも言うのか?』などと敵意を込め彼女を睨む。


 それに対して彼女はあいも変わらず営業用の笑顔のままで。


「貴方がもう一回死ねば二度目は有りますよ? 記憶は全て消えますが」


  酷な事をサラリと言うのだ。他人事だからそう言えるんだろうか? 怒りが一つの行き先へ行った所で。


 僕は衝動に任せて彼女を撃った。パァンと乾いた音が響く。


  弾丸は頭に恐らく当たっていた。しかし傷口は無かった。


  彼女は驚いた顔をしていたが徐々に喜びが出始めてこう叫んだ。


「最高じゃあないか! 人の脳天ブチ抜くだなんて! 君はまったく最高のクズだね!」


 怒りの弾丸は彼女にとっては嬉しいアクシデントだった様だ。


  風が吹き荒れ始めた。風がビュウと言うたび僕は寒さに屈しそうになる。



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