Ex-5「紳士」デント
めちゃくちゃ遅くなりました←汗
今日ももう終わりだもんね←汗
ってなわけでデントさん視点です。
今日はデントさんの趣味がわかります。
「はぁ、ようやく着いたなぁ」
「時計塔」にたどり着いたデントは、額に浮かんだ汗を拭った。
恰幅のいい体型であるため、走るのはわりと遅い。加えて外見から「CMそのもの」だと言われているのだが、そのことをデント自身は知らないし、今回もひそひそと「カ○ルおじさんが走っている」と噂されていたが、やはりそのことを本人は知らなかった。
「えっと、姐さんは」
「時計塔」の周囲を見回すも「通りすがりの紡績職人」の姿は見当たらない。かと言って例の暗号以上のことは掲示板には載っていない。つまり暗号を解読して割り出した待ち合わせ場所でいまも待っているということだった。
「変なところで律儀だもんなぁ」
「通りすがりの紡績職人」はわりと律儀な人物だとデントは思っている。実際生産板を凄惨板と化した張本人ではあるが、それでも「通りすがりの紡績職人」は約束事をきっちりと守る人物だった。たとえそれが口約束にしかすぎなかったとしても、それでも約束は約束だと絶対に守ろうとする人物であった。
(たぶん社会人なんだろうなぁ。約束というか、契約は絶対に守ろうとするのは社会人ゆえだろうし。……はぁ、俺もどうしたもんかなぁ)
「通りすがりの紡績職人」のリアルのことを考えると、自分にも差し迫っているリアルでの問題について考えてしまったデント。こう見えて現在大学四年生であり、就職活動の真っ最中だった。が、いまのところなしのつぶてだった。
(同期でもう内定貰っている奴もいるしなぁ。まぁ、まだ内定貰っていない奴もいるから、そこまで焦らなくてもいいけれど)
まだ夏だ。内定がすでに決まっている友人や同期もいるが、まだこれからというのが大半を占める。だからと言って、油断しているとあっという間に取り残されてしまうものだが、デント自身まだどうにかなるだろうと、こうして今日も「EKO」をプレイしていたのだ。
「明日から本気でやればいい」というありがちな考えでのんびりとゲームを楽しんでいた。だが、それも「通りすがりの紡績職人」に絹糸の受け渡しを済ませてからだった。
(そもそもどうして俺なんかなぁ)
タマモが本拠地としている農業ギルドに所属するファーマーだからと言って、なぜ自分が受け渡しの仲介役を担っているのかがわからないデント。とはいえ、一度請け負ってしまった以上はやりきるべきだったし、投げ出したくはない事情もデントにはあった。
(タマモちゃん、かわいいもんなぁ。投げ出したら接点なくなってしまうもんなぁ)
そう、デントは表情には出していないが、タマモに夢中だったのだ。とはいえ恋人になってください、と告白するつもりはない。遠くから眺めているか、挨拶ないし世間話ができれば十分だった。
(ロリ好きとはいえ、誰もが性的な意味で好きというわけじゃないもんなぁ)
そう、真の「紳士」とは、決して性的な意味でロリを見つめているのではない。その健康的な姿を眺めて悦に浸ってこその「紳士」だった。決してみずからの性的欲求に負けて乱暴を働く不届きものではないのだ。むしろみずからの性的欲望に負けるなど、真の「紳士」にとってはナンセンスだ。「紳士」などと口が裂けても言えない存在である。その点デントはみずからを「紳士」としてのホープだと自他ともに認めていた。
「そういう点では、レンくんには感謝だなぁ」
しみじみとレンが為した功績を称えるデント。そう、レンが手に入れた「炉痢魂」の称号のことだった。実はすでにデントも「炉痢魂」の称号を得ている。手に入れた方法はレンと同じくタマモと戯れたからである。もっともレンほどにたわむれたわけではない。せいぜいタマモの頭を撫でる程度だったが、それでも取得条件は満たすことができたようだった。
(「紳士」として頑張らにゃいかんよなぁ)
ゆえに今日もデントはタマモから託された絹糸を「通りすがりの紡績職人」へと託すために頑張るのである。ただその当の「通りすがりの紡績職人」はどこにいるのやら。
「……考えられるのは」
デントは顏を上げて「時計塔」を見上げた。屋上は見えない。見えないがやはり待ち合わせ場所と言えば、屋上だろうなと思うデント。
「……行くしかないかぁ」
はぁと小さくため息を吐きながら、デントは「時計塔」の中へと入り、螺旋階段をえっちらほっちらと登って行った。
デントさんもロリコンだったという事実。
ヤンデルではないのが唯一の救いですね←




