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23話 似た者主従

 めちゃくちゃく遅くなりました←汗

 なんか最近どうも疲れが取れないですねぇ←汗

 まぁ、それはさておき。

 今回はリアルでのお話となります。

 が、ちょっと注意報があります。

「メイドさん=貞淑ではありません」というところですね。

「──お嬢様、お嬢様。朝ですよ?」


「──ほえ?」


 まぶたを開くと見慣れた自室の天井と早苗の笑顔が飛び込んできた。


「ああ、ようやく起きられましたか。ゲームを楽しまれるのもいいですが、のめり込みすぎるのも問題ですよ?」


「……ごめんなさいです、早苗さん」


 VRメットを外しながら、まりもは上半身だけを起こした。VRMMOの特性上、寝ながらゲームするようなものなので、睡眠不足というわけではない。だが、まりもにとってはつい少し前のことになるヒナギクとの恐怖の特訓による疲労で体がいくらか重かった。


「なにやらお疲れのようですね、お嬢様?」


 早苗は不思議そうに首を傾げている。実際に運動をしたわけではないので疲れているはずがない。しかし実際にまりもはかなり疲れていた。


「……それがクランを組んだ人と特訓がすごくて。かなりハードなんですよ。それのせいかもしれませんねぇ」


 あははは、と苦笑いするまりも。つられて「そうなんですか」と早苗も笑った。笑っているがほんの一瞬だけ、早苗の目が鋭く細められた。しかしほんの一瞬だったため、まりもはそのことに気付かないまま、頬を掻いていた。


「……ところでお嬢様?」


「はい?」


「お嬢様のお仲間様はどのような方々なので?」


「レンさんとヒナギクさんって方ですねぇ。おふたりともすごく優しいいい人ですよ」


「レン様とヒナギク様、ですね。……あとで「いつかシメるノート」に追加しておくか。うちのお嬢様を痛めつけようなんざいい度胸じゃねえか。ああ、でもHNだけじゃわからねえし、どうっすかな」


「早苗さん?」


「なにか?」


 早苗の目が再び鋭くなった。だがそのことにまりもは気付かない。ただ早苗がなにかを呟いたことだけはわかったので声を掛けたが、そのときには早苗はいつものように笑っているだけだった。呟いた際の不穏さなど欠片も見せない早業だった。


「いや、いまなにか呟いていませんでしたか?」


「なんのことでしょう? 早苗は特になにも言っておりませんが?」


 はてと人差し指を顎下にあてながら首傾げる早苗。その様子だけを見ると人畜無害かつ貞淑なメイドのように見えるが、実際の性格は真逆であることをまりもは知らない。知っているのは玉森家の現当主とその妻、つまりまりもの父親と母親、そして早苗が率いる玉森家メイド隊の面々くらいである。


(早苗さんが嘘を吐くなんてことはありえませんし、きっと幻聴ですねぇ)


 早苗がごまかしていることをまりもは気付かない。いやそもそもそういう発想に至らないため、早苗の言葉をすんなりと信じてしまうまりも。対してまりもをごまかしている早苗は内心大いに焦っていた。


(あ、危ねぇぇぇ。ついうっかり素が出ちまった。お嬢様ってば普段は抜けているのに、変なところで鋭いからなぁ。でも、そういうところもかわいいんだよなぁ。あぁ、お嬢様、今日も本当にかわいいよぉ)


 まりもに笑顔を向けながら早苗は内心で焦りながら、はぁはぁと興奮していた。まぶたを閉じて笑っているためわかりづらいが、早苗はまりもとふたりっきりのときは基本的に目にハートマークが浮かんでいる。そのことをまりもはやはり知らない。


「とにかく。ご朝食はできておりますので、お早めにどうぞ」


「はーい」


 上半身だけを起こしていた状態からベッドに腰掛ける形になるまりも。そんなまりもをすかさず姫抱きにする早苗。まりもはいつものことであるので、あまり気にしない。しかし当の早苗はいろんな葛藤と心の中で熱戦していた。


(あぁ、このままベッドにお嬢様を組み伏して、あんなことやこんなことをしたい! 髪の毛からすごくいい匂いがするよぉ~! すーはーすーはー!)


 掲示板であれば「( * ´ Д ` )」という顔文字を全力で使っていそうな精神状態になる早苗。しかし鋼の理性により、欲望に打ち勝っていた。だが、そんな早苗の葛藤にまりもはやはり気付かない。


(やっぱり早苗さんはカッコいい系のお姉さんですねぇ。お胸も大きめで形もいいですし。でもボクの理想の嫁像とはちょっと違うんですよねぇ。残念です)


 まりもはまりもでマイペースにそんなことを考えていた。主従揃って変態だった。しかしそのことを指摘できる人物は存在しておらず、ふたりはいつものように食堂へと向かって行った。

 気付いたら早苗さんが変態になっていました←

 ちょっと変態なメイドさんっていいと思うんだ←ヲイ

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