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66話 ふたりの若干アレな論争←

またまた遅くなりました←汗

今回はまぁ、若干アレなふたりによる、若干アレな会話ですね。サブタイ通りに、ね←

暗い貯蔵庫の中でその声はひときわ大きく響いていた。


「──やはりボクは柔らかさこそがお胸には重要だと思うのです!」


くわっと目を見開きながら豪語するタマモ。……非常にメタ的なことをあえて言うとすれば、「おまえは初っぱなからなにを言っているんだ?」となるだろうが、それでこそのタマモである。


「う~ん、たしかになぁ。でもあたしとしては弾力も重要かと思うんよ。弾むことのないお胸とか魅力半減やん?」


対しておタマもまた非常にアレなことを大真面目に言っていた。


タマモはまだ見た目が見た目ゆえに胸部が好きだったとしても、母親が恋しいのだろうと思われるが、おタマの場合は成人した女性であるため、タマモと同レベルのアレさ加減であっても、タマモ以上に残念指数は高めである。


いや、むしろこの場には残念な女性しかいないというわりとカオスな状況である。


だが、その状況を止められる存在がいないことが、より場を混沌へと誘っていた。


ちなみにふたりの論争の内容は「お胸に一番重要なのはなにか」という「おまえら大真面目になにやってんの?」と言いたくなるような、なんとも言えないものである。


だが、この場にはふたりを制せる存在はいない。よって若干アレなふたりの、若干アレなふたりによる、若干アレなふたりのための論争は続いていた。


「むぅ、たしかに弾力も必要です。弾んでこそのお胸。むしろ弾まぬお胸など愚の骨頂と言えましょう」


「ふふふん。なら」


「ですが!」


くわわっと再び目を見開くタマモ。そんなタマモにおタマは一瞬、そう、ほんのわずかに気圧された。おタマをわずかに気圧させるとタマモは再び豪語した。


「弾力があったところで、柔らかさのないお胸は天然自然にあらずなのです!」


やや問題がありそうなことをはっきりと言いきるタマモ。


その発言にはっと雷に撃たれたかのように硬直し、項垂れるおタマ。タマモは項垂れるおタマの手を取り言った。


「おタマさん。ボクは思うのです。弾力さも柔らかさもお胸を構成する大切なものなのです。それをどちらがより重要かなどと論ずるのは、それこそ愚かなのです。どちらかが欠けていても至高のお胸にはたどり着けないのです。そう、至高のお胸とは」


「そやね。至高のお胸とは」


タマモと手を取り合い、おタマはタマモを見つめていた。


タマモはすでにおタマを見つめていた。そうして見つめ合いながらふたりは同時になぜか叫んだ。


「大きさ!」


「柔らかさ!」


「弾力!」


「艶と張り!」


「それらすべてを!」


「渾然一体としたものこそが!」


「「至高のお胸!」」


叫び合いながら、ふたりはなぜか妙なポージングをお互いに取り合っていた。その光景はまるで、機動兵器を素手で破壊できる某師弟の再会ないし別れのシーンのようであるが、あちらと比べると感動性は皆無であるのは言うまでもない。


しかし当事者たちはお互いに涙を流し合っている。いまのやりとりのどこに感動する要素があったのかと問いただしたいところではあるが、そんな問いかけはおそらくふたりに届くことはない。


「おタマさん!」


「タマちゃん!」


タマモとおタマはツッコミ不在の状況でお互いの性癖を、共通する性癖をお互いにこれでもかと披露してからのハグをしていた。


「おタマさんのお胸はとても素晴らしいのです!」


「タマちゃんのお胸もいずれは素晴らしくなるよ。希望を持ってな?」


「はい!」


ふたりはハグをしてからお互いを熱く見つめ合うと、再び熱い抱擁を交わし合った。


ふたりのやりとりはその光景()()を見ると、感動できなくもないだろうが、なにぶん内容が内容すぎて当事者同士でしか感動することはないだろう。


ちなみに余談ではあるが、このとき某所にて──。


「……なんだかいま「鳶に油揚げをさらわれる」ような気分になったの」


「……あなた疲れているのよ、姫」


「……ですなぁ」


──某姫とその部下たちのそんな会話が交わされたのだが、そのことをタマモたちは知ることもない。知ることもないため、ふたりの抱擁はしばらくの間続いたのだった。

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