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60話 はじめちょろちょろ

昨日は更新できずにすみません←汗

あとちょっと時間がないため、少し体裁ががががが。

あとで直します←汗

P.S.直し&少し追加しました。

「まぁずぅはぁ~」


タマモは鼻歌を口ずさみながら、形のいい石と石とを等間隔で円形に並べていた。円形の中央には小枝や枯れ葉などを敷き詰めている。かなり簡易的ではあるが、かまどだった。


ちなみに石はテンゼンがたまたま近くにあった岩を手頃な大きさにカットしてくれたものである「石を切るのも修行になるからね」とテンゼンは言っていた。が、それがとんでもないことであることは、なんとなくだがわかっていた。


(普通は剣で石は切れませんよね)


特にテンゼンの手持ちの刀は、石切りには向いていないだろう。


その刀でスパスパとテンゼンは岩を切り刻んでいた。


(テンゼンさんは、やっぱりとんでもない人なのです)


テンゼンの力量を改めて目の当たりにして、感嘆とするも「それはそれ。これはこれ」と雑に処理するタマモ。


ちなみにテンゼンが石切りをした理由は、タマモにいいところを見せようとしたためである。


だが、その当のタマモにはまともに相手をされていないという、物悲しい結果になったが、テンゼンは気にしていない。タマモがそういう人であることは承知している。


それでももう少しは見てくれてもいいんじゃないかなぁと思いつつも、即席のかまどが作れる程度に岩をカットし続けるテンゼン。その背中はとても物悲しかった、とシュトロームは後に語る。


「では、次は火を点けます」


そうして即席のかまどを作り終えると、タマモは火の準備を始めた。やや大きめの木片にそこそこの長さの棒、そしてその間にはたまたま見つけた綿を置くと、「三尾」を上手に使って棒を回転させていく。


回転する棒に擦られる綿からはあっという間に煙が上がる。その綿に向かってふーと息を吹き掛けていくタマモ。


種火を消さないように慎重に、しかし種火がちゃんと火になるようにしっかりと息を吹き掛けていく。


ほどなくして種火は赤々とした火を吹き始める。その火をタマモは急いでかまどの中に放り込む。放り込まれた火は、あっという間に炎に変わった。


「むふぅ。かまどは完成ですね。で後は」


タマモは置いていたフライパンを見やる。すでに精米まで終わり、透明な水に浸かった白米がそこにはあった。加えてフライパンも扁平な形から、底の深い中華鍋のように姿を変えていた。それは別のものではなく、タマモのEKであるフライパンそのものだった。


精米とフライパンの形状変化はすべてシュトロームによるものだ。


精米に関しては、シュトロームが体の一部を変化させて脱穀と精米をそれぞれにしてくれた。


具体的には稲を丸呑みし、茎と種子とで選別し、選別された種子を殻から外し、タマモのフライパンにと吐き出してくれた。そうして精米された白米は濡れてはいなかった。体の一部とはいえ、体内のほとんどが水分であろうその体に呑み込まれたのに、濡れていないというのはいったいどういうことなのだろうかとタマモが思ったのは言うまでもない。


だが、深く考えるのはやめることにした。いややめないと疲れそうだった。


とにかくシュトロームのお陰で精米は終わった。


その際に出たという糠も貰った。その糠はインベントリにしまいこんでいるが、いずれ日の目を見ることがあるだろうと思うタマモ。


そうして精米もすんだ米は、ジャポニカ米のようにも見える。


だが、「食べてみないとわからない!」とタマモが言ったため、炊くことになった。


だが炊くにしても飯盒なんて上等なものはなく、フライパンで代用しようにも底が浅すぎた。どうしたものかと思ったタマモだったが、シュトロームの「形状を変化させないのか」という一言により解決することになった。


曰くタマモのフライパンは形状を変化させられるということだった。方法は念じればいいということだったが、半信半疑になりつつもタマモはフライパンの形状を底が深いものになるように念じた。するとフライパンが扁平な形から中華鍋を思わせる底の深いものにと変わったのだ。


そのフライパンを用いてタマモは米を研ぎ、水を吸わせていた。


かまどができたときには米は水を吸ってしんなりとしていた。


しんなりとした米の入ったフライパンを即席のかまどの上に置き、テンゼンが用意してくれたぴったりの大きさの木の蓋を被せた。


「はじめちょろちょろ、なかぱっぱぁ~」


米を炊く際のお決まりの言葉を鼻歌で口ずさみながら、タマモはまだかな、まだかなと頭と一緒に尻尾を振り、そのときを待った。


そのときの光景をテンゼンは後に「目の前に天使が降臨したのかと思った」と力説した。


が、やはりテンゼンのことよりも目の前のご飯のことに集中していたタマモは、テンゼンの視線に気づくことなく、炊き上がりを待った。


やがて水が吹きこぼれると火を止めた。


「赤子が泣いても蓋とるなぁ~」


火を止めても蓋を取ることなく、しばらく蒸らしていく。だいたい20分ほど経ってからタマモは蓋を恐る恐ると取ると──。


「完成なのです!」


フライパンの中には粒の立った白米がフライパンいっぱいに広がっていたのだった。

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