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56話 制裁←

少し遅れました。

タマちゃんが怒る回です←

「ぼ、ぼえ、ぼえ、ぼえ!」


沼クジラは大きなたん瘤を頭に6つほど作りながら土下座していた。


おそらくは、「なんか、その、調子こいてすみませんでした!」と謝っているように見えるのは、きっと気のせいではない。


「とりあえず、シュトロームさん」


『うん?』


「この肉塊なんですが」


「ぼえ!ぼえ!ぼええ!」


くわっと目を見開きながら、なにやら抗議をしている沼クジラ。ひれを器用肉使ってぺしぺしと地面を叩いていた。


だが、沼に浸かっている沼クジラがそんなことをすれば、むき出しの地面が濡れるわけであり、そうして濡れた地面は泥となる。その泥は容赦なくタマモにかかっていた。


そんな沼クジラの言動に対してタマモは、いわゆる「ヒロインが浮かべてはいけない笑顔」を以て強制的に黙らせたうえに動きを止めさせる。沼クジラは「ぼ、ほぇぇ!?」と悲鳴を上げた。


だが、悲鳴を上げると当然体も震えるわけであり、その巨体が災いして沼の水を頭の上から被るタマモ。


ポタポタと髪の先から沼の水が滴り落ちていく。幸い沼の水により、泥はいくらか落ちたが、代わりにびしょ濡れになってしまった。


丈の短い巫女服がべったりと張り付いてしまうタマモ。そんなタマモの姿にほんのりと頬を染めつつ、顔を反らすテンゼン。そして──。


「ぼ、ぼええ~」


ふたつのひれで顔を隠しつつ、その隙間からニヤニヤとしてタマモを眺める沼クジラ。


その視線はタマモ曰く某メスブタとよく似ているものだった。それは視線を浴びるタマモはよくわかっていた。ゆえにそれは必然であった。


「……「三尾」」


ぼそりとタマモが呟くのと同時にタマモの背中の「三尾」が沼クジラの首を掴むと、そのまま巨体を沼の中から引きずり出した。


「ぼえ?」


なにが起こったのかわからず、つぶらな目を瞬かせる沼クジラ。しかしタマモは止まらない。


「やれ」


とても冷たい一声とともに「三尾」は沼クジラの体を逆さにすると、そのまま地面に頭から落とした。


「ぼ、ぼえ!?」


びっくりしたように鳴き声を上げる沼クジラだが、彼ないし彼女の不運は終わらない。


「もっと」


「ぼえ!?」


「もっと」


「ぼえええ!?」


「もっと」


タマモが一言呟くたびに沼クジラは地面に頭をぶつけていく。タマモは無表情のまま沼クジラを攻め立てていく。


『……見た目も似ているが、こういうところも似ているのだなぁ』


シュトロームはとても感慨深く呟いているが、タマモによる沼クジラへの制裁の音により、その呟きは掻き消されてしまった。


やがて制裁が終わり、沼クジラの頭が大きく腫れ上がることになったのは言うまでもない。


「とりあえず、おまえは肉塊です。ボクはそれ以外でおまえを呼ぶことはありません。わかりましたか、肉塊?」


「ぼ、ぼえ!」


シュタとひれで敬礼をする沼クジラ。その表情は明らかな恐怖の色に染まっていた。どうあってもこの人には敵わないと理解した顔であった。


こうしてこの日沼クジラはタマモの支配下に、絶対服従の憂き目に遭うことになった。


が、シュトロームたちは特に同情するつもりもないようで、むしろせいせいしたかのように、とても晴れやかな顔を浮かべていたのだった。

まぁ、やりすぎくらいがちょうどいいとも言いますので←

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