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41話 捕食者と被捕食者

昨日は更新できず、ごめんなさい。

日曜日はどうしても気が抜けてしまう←汗

できたら今日は2話更新したいですね。

PS少し追加しました。

「はぁはぁはぁ」


まりもはベッドの上で体を震わせていた。


服はひどく乱れており、裾がだいぶ上まで、なだらかな胸元近くまで露になっていた。


額には珠のような汗により髪が張り付いていた。


目は若干虚ろで、いままでひどい目に遭っていたことを如実に物語っていた。


口からは絶えず荒い呼吸が続いており、体力の限界はとうに超えていたと訴えているようである。


「ふふふ、ずいぶんと息が乱れておりますね?少し激しくしすぎましたか?」


そんなまりもを前にして、藍那は黒のメイド服を、緩めていた胸元部分を直している。藍那の表情はとてもすっきりとした様子だ。


だが、「まだ足りない」と言うかのように、その目はぎらついた光を宿していた。


口元も同様で、赤い舌を覗かせながら、わずかに唇を舐めている。「まだまだこれからだ」とその心情を表していた。


藍那はまりもが横たわるベッドにと乗り、まりもの頬を撫でた。


「まぁ、感覚からしてお嬢様は激しいのがお好きなようですから、問題はないかと──」


「誤解を招くようなことを言うんじゃねえーのですよ!」


「ふふふ」


まりもは叫んだ。


生き生きとしている藍那に向かって叫んだ。しかし当の藍那は気にする様子もない。


「昔からずっと言っていますよね!?くすぐるのはやめてください、と!」


まりもは疲れきった体で藍那を指差した。


いままでまりもは、藍那に組伏されてからずっと擽られていたのだ。


藍那は執拗なほどにまりもの脇の下と脇腹はもちろんのこと、そのどちらかをくすぐられているのと同時に、足の裏をくすぐられたり、耳を食まれてしまっていた。


とはいえ、まりももただ黙ってくすぐられていたわけ

ではないのだが、身体能力の差はいかんともしがたかった。


どんなに抵抗を試みても、まりもでは藍那をはね飛ばすことはできず、結果藍那にされたい放題な目に遭ったのだ。


そしてそれは昔からなにひとつ変わらないやり取りであった。昔からまりもは藍那によるくすぐりの被害を受けていた。


昔からまりもはくすぐりにひどく弱い。そしてそのことを熟知している藍那。いや、むしろくすぐりに弱くなったのは、藍那のせいとも言えるのだが、その当の藍那はまりもの言葉を無視しているかのように、まりもの頬を撫でるだけだった。


「ふふふ、疲れきった姿もやはりかわいいですよ」


クスクスと笑う藍那。その目はやや虚ろであるが、口元が大きく弧を描いているのをみる限り、かなり危険な兆候にある。


(喰われる!)


まりもははっきりと身の危険を感じた。しかし身の危険を感じたところで、藍那の魔手から逃れるわけがないのだが。だからと言って、力の限りの反撃を試みないわけにはいかない。


「あ、藍那さん!いい加減に──」


まりもはやや強めの口調で藍那を叱りつけようとした。


だが、藍那はまりもの口に人差し指を当てて黙らせた。


「次は「まりもお嬢様」ではなく、「狐ちゃん」としてかわいがってあげますからね?この「通りすがりの宝石職人」こと「アイナ」が」


にやりと藍那が笑う。その瞬間、この人が「宝石職人さんだったのか」と思う一方で「あ、終わった」とも思うまりもだった。


「あ、藍那さん?」


「はい?」


「せ、せめて優しく」


「……ふふふ」


せめて。せめて。優しくしてほしい。そう頼んだまりもに藍那は妖しく笑うだけだった。


この後、まりもがどうなったのかはあえて語るまい。


あえて言うとすれば、げっそりとしたまりもと夢心地の藍那が揃って部屋から出たということだけだ。部屋の中でなにが起こったのかは、当事者のふたりだけが知っている。

あえてなにがあったかとは言わないのが、優しさというものです←

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