12話 ヘタレと甘え下手と変態←
大いに遅れました←汗
3日間連続で遅れてしまいましたね←汗
ちなみにサブタイの変態枠が誰なのかは言うまでもありません←
レンの思わぬ一言にタマモは言葉を失っていた。
レンはアルトを出る、と言った。
タマモとてずっとアルトにいようと思っているわけではない。
少なくともアルトとの行き来ができる方法が見つかってからではないと、アルトを出ることはできない。
せっかくクーを始めとした虫系モンスターズと協力して作り上げた畑がある。その畑を放っておくことはできない。
それに本拠地を手に入れたばかりで、放棄するというのはあまりにももったいない。
やはりどうにかして行き来の手段を確保しないかぎりは、アルトを出ることはできない。
それは本拠地を手に入れてからヒナギクたちとの話し合いで決めたこと、のはずだった。
しかしその決めたことをレンは反古にするようなことを言った。
それはつまり──。
(レンさんが「フィオーレ」を抜けるということですか?)
──レンが「フィオーレ」を脱退するということにほかならない。
そもそもレンの性格を踏まえたら、約束を簡単に反古にするわけがない。
反古にするだけのなにかがあるからこそだ。
そして反古にする以上は、そのまま「フィオーレ」の所属のまでいたいとレンの性格上言わないはずだ。
ゆえに反古にするということは、レンは「フィオーレ」を事実上の脱退をすると宣言したようなものだ。
それゆえにタマモは言葉を失っていた。だが、ヒナギクもレンもタマモがログハウスに入って来たことに気づいていないようでふたりだけの世界に突入していた。
「……本気なんだよね?」
「あぁ」
「……止めても無駄だよね」
「ごめんな」
「……いいよ。あんたがその顔をしたらてこでも動かないというのは、わかりきっているからね。何年あんたの幼馴染みをしていると思っているの?」
「……ごめんな」
「バカ。こういうときはありがとうでしょう?」
「……そうだな。ありがとう、ヒナギク。ヒナギクが幼馴染みで本当によかったよ」
レンは笑っていた。対するヒナギクはやや涙ぐんでいるように思えた。そんなヒナギクにレンはどうしたものかと困っているようだった。
(……このヘタレ!ですよ!そこは普通抱き締めてのキスをして、そこから流れるようにですねぇ!)
レンのあまりにもな姿にタマモは憤っていた。
憤りながりもはたと気づいた。これではまるで、ふたりの関係をより深いものにするための後押しではないか、と。
(ノン!それは、それだけはダメなのですよ!ヒナギクさんはボクの嫁なのです!)
ついでに言えば、アオイも嫁ではある。将来的には両手に華を狙っているのだ。その一角であるヒナギクを手放すことなどできない。
……もっともタマモも人のことをとやかく言えるような肉食系ではない。むしろレンよりヘタレと言えるだろう。
だが、そんな自分のことを棚上げしながらタマモは、肉食系であるかのように振る舞い特攻した。
「このヘタレなのです!レンさんはだからこそヘタレなのです!」
「た、タマちゃん!?」
「い、いつからそこに?」
くわっと目を見開きながら、タマモは叫んだ。
突然のタマモの乱入にヒナギクとレンは慌てていた。
よく見るとふたりとも顔が真っ赤である。
まるでいまからめくるめくる世界へと突入仕掛けていたと言っているようなものだった。
だが、そんな反応を見てもタマモは止まらない。
ヒナギクへの愛しさと自分を忘れてふたりだけの世界にいたことへの切なさがタマモを突き動かしていた。
「しゃらっぷ!このヘタレと甘え下手コンビめ!ボクがお手本を見せるのです!」
タマモの発言は若干、いや、大いにおかしかった。しかしタマモは止まらない。止まらないまま、ヒナギクへとダイブを慣行した。
その後タマモ、いや、「フィオーレ」の面々が本拠地内で大騒ぎをすることになったのは言うまでもない。
その大騒ぎをログハウスの外で聞きながら、クーを始めとした虫系モンスターズが揃って肩を竦めていたのだが、そのことを3人は知らない。知らないまま、3人は実に「フィオーレ」らしく騒いでいたのだった。




