11話 思わぬ一言
たいへん遅れました←汗
もう少し早く更新するはずだったんですけどねぇ←汗
なんでもやの方はちょっと間に合わないかもです←汗
リーンが立ち去ってから、タマモは言われた通りに準備を進めた。
もっとも準備と言っても、リーンが納品してくれた登山用品をリュックサックに詰めるだけなのだが。食糧はインベントリにあるし、水は川の水を濾過するつもりなので問題はない。
問題だったのは、テント等の登山用品だけだった。
その登山用品はテントはリュックサックに括りつけた。
ピッケルは武器にもなるが、タマモの身長ならばそのまま杖代わりにもなってくれそうだったので、すでに装備している。
扱い的にはサブウェポンになるようではあるが、なかなかの性能のようである。
カッパーピッケル
レア度4 品質A
カッパー鉱から精製されたピッケル。鉄製には劣るもののそれなりには丈夫。一応武器にもなるが、過度な期待は厳禁。分類は棍棒となる。ATK15
「……考えてみればまだリリース2ヶ月でレア度4の装備ってかなりすごいですよね?」
「エターナルカイザーオンライン」がリリースされてから2ヶ月。
まだ半年も経っていない現時点でレア度4の装備というのはまだ珍しい範囲になる。
すでにレア度が5の装備を身につけているプレイヤーもいるが、まだレア度3の装備が主流である現在、ピッケルとはいえレア度4の装備を手に入れられたのだから、胸を張ってもいいのかもしれない。
「まぁ、ボクは攻略最前線に出るつもりはないですけどねぇ」
いまのところ、タマモは攻略最前線を目指すつもりはない。
むしろ目指せる要素は皆無である。
ヒナギクたちと協力し合えばなんとかなるかもしれないが、畑がある以上下手に遠出はできない。
「……畑どうしましょうか?」
テントを括りつけ、登山用品をしまったリュックサックを前にして、ぴたりと動きを止めるタマモ。そう考えてみれば、畑のことはなにも考えていなかったのだ。
畑の収穫物はキャベベしかないものの、そのキャベベはタマモの金策である絹糸を入手するには必要不可欠のものだった。
そのキャベベを数日とはいえ、放っておくのはできない。
しかし山に向かえば、すぐには戻れないのだ。
どうしたものかとタマモは頭を悩ませていた。
「むぅ。どうしましょうか?」
直前になって問題が発覚するというのは実にタマモらしいことではあるのだが、今回ばかりはどうしたらいいのかさっぱりであった。
とはいえ、悩んでいる暇はなかった。
「さっき、リーンさんにお願いしておけばよかったですねぇ」
せっかく農業ギルドの上層部の一員であるリーンが来てくれたのに、登山用品の納品だけで終えてしまったのは、完全に失敗だった。
「……ヒナギクさんたちにお願いするしかありませんかねぇ」
タマモはため息を吐きつつも、リビングを出て、畑へと向かうことにした。
とりあえず今日の分の収穫は済ませておこうと思ったのだ。
クーたち虫系モンスターズはいつものように畑仕事をしてくれていることだろう。
ログハウス建設は終わっているが、虫系モンスターズは雑木林を切り開き、開墾を続けてくれていた。
いまのところ、キャベベしかない畑だが、いずれ別の野菜も植えられることだろう。
いまのところ、タマモが考えているのはポテテという野菜である。これはリアルで言うじゃがいもに相当する野菜であり、大人も子供も大好きな野菜である。
「ポテテならヒナギクさんもそろそろ許してくれるという話ですし」
キャベベの次の野菜はヒナギクとの話し合いにより、ポテテと決まっている。まだ時期は不透明であるが、いずれはポテテも栽培できることだろう。
「楽しみですよねぇ。ポテチ作りたいのです」
オタクご用達のおやつであるポテトチップスは、タマモも大好きだった。
それはほかのプレイヤーも同じようですでにポテトチップスは流通している。
がどうせなら少しピリリと辛い味のものも欲しいところである。
「……わさびとかないですかねぇ」
うすしおやコンソメ味も好きだが、やはり変わり種も欲しいのだ。その欲求を満たすにはわさびが必要だろう。
そのわさびはいまのところ見つかっていないのが、なんとも寂しいものだ。
「まぁ、いいのです。とりあえずいまはキャベベです!」
タマモはログハウス隣の畑へと向かった。そしていつものようにキャベベを収穫してからクーたちにキャベベを餌付けし、合計10個の絹糸を得られた。
ホクホク顔でログハウスへと戻ると──。
「……なわけで俺はしばらくアルトを出ることにしたよ」
──リビングではログインしたばかりのようなヒナギクとレンが真剣な表情での話し合いをしていたのだった。
次回までが回想です。たぶん←




