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4話 久しぶりのアルトへ

 めさくさ遅くなりました←汗

 9月はボロボロだったので、10月は頑張りたいところです。

「ようやく帰ってこられたのです」


 1時間後、タマモはようやく農業ギルドの敷地内にと戻って来ていた。


 ログイン限界時間まで、残すところ1時間。それがタマモに残された準備の時間ではあるのだが、問題は会った。


「……登山の準備ってどうすればいいんでしょうかね?」


 いざ登山の準備をすると言っても、登山の経験は子供の頃の遠足での経験くらいである。まともな登山なんてしたことはないタマモにとってすれば、登山の準備とひと口に言ってもなにを用意すればいいのかはさっぱりだった。


「むぅ。どうすればいいんでしょうかね?」


 なんとなく想像はできるのだ。ピッケルで崖を穿ち、そこにアンカーを使ってロープで固定して崖を登っていく。そんなイメージはあるのだが、以前なんとなく調べたときにピッケルを使うのは基本的に雪山での登山だったのだ。


 では、雪山ではない登山はどうすればいいのか? そもそも登山というよりもウォールクライミングだ。ウォールクライミングもやはり登山と言えば登山だろうから、間違いないではないのだろう。

 しかしだ。そのための準備はどうすればいいのか? やはりそこに戻って来てしまう。


「むむむ」


 拠点であるログハウスに戻りつつ、タマモは腕を組んでいた。準備のための時間であるというのに、そのためになにをすればいいのか、さっぱりとわからない。


「まずは食糧。まぁ、食糧に関しては問題ありませんよね。キャベベがいっぱいありますし、キャベベ炒めも失敗作が大量にありますもんね。それらを処分するのにいい機会なのです」


 とりあえず、真っ先に思いつく食糧問題はキャベベないし失敗作のキャベベ炒めが大量にインベントリの中にある。失敗作がインベントリにあるのは、単純にヒナギクが捨てるのを許してくれないからだ。


「どんなに失敗作だったとしても、きちんと食べて、その味を噛みしめるのもまたお料理です」


 きっぱりとヒナギクは言いきっていた。いま思えば失敗作なんてとは思うが、こういうときには失敗作とはいえ事前に作ってあった保存食代りは便利だった。もっともできることであれば、ちゃんとした保存食を作っておくべきだったなと思わなくもないのだが。とにかく食糧問題はこれにて解決だ。


「水は、あの滝の上流の水を飲めばいいですよね。まぁ、そのままで飲むのは怖いですから煮沸はしないとですけど」


 水に関しては滝の上流の川の水があった。もっとも川の水をそのまま飲むのはリスキーすぎる。一級河川とはいえ、そのまま飲み水にできるものなんてない。最低でも煮沸消毒は必要だろう。中には煮沸消毒をしても飲めない川はあるだろう。


 たとえば、東京都と神奈川県の境目となっている多○川がある。いまや清流の女王と謳われる鮎も見かけるほどのきれいな川になっているが、高度経済成長期には「死の川」と呼ばれていた時期があるのだ。その頃の水を煮沸消毒して飲もうと考える者はいなかっただろう。その「死の川」もいまや昔、かつての清流を取り戻してはいるが、それでもその水を飲み水にと考える者はそういない。


 それはほかの有名な川とて同じことだ。これがまだ上水道等のインフラ整備が行き渡っていないというのであれば、川の水とて飲み水に使用することは当然だったかもしれないが、現代の日本はインフラ整備は当然のように行き渡っているため、よほどの極限状態でもない限りは、日本の河川の水を飲み水にすることはないだろう。


 だが、これはゲームの世界であるため、おそらくは現実のように川の水を飲み水にしても問題はないはずだ。念のために煮沸消毒をすれば、問題なく飲み水として使用できるだろう。ゆえに水に関しても問題はない。


 残る問題は崖を登る装備と現地でログアウトをするための準備だろう。


「……崖に関してはさっぱりですけど、とりあえずテントは買わないとダメですよね」


 いままでタマモはアルトの街の外に出たのは一度っきりだ。そう、角ウサギと戦い勝利したあのとき以来、街の外に出たことはなかった。今回滝つぼまでは行ったが、あの滝つぼまではアルトの街の一部という扱いになっているようだった。


 だが、山の中までもそうなのかはわからない。


 いや、普通に考えればアルトの街の一部であるのはあの滝つぼくらいまでだろう。山までもアルトの一部であるといくら初期の街だからと言って、さすがに広すぎるだろう。滝つぼまででも十分に広いが、「闘技場」がある街に比べたら誤差のようなものだろうが。


「よし、まずはテントを買いに行きましょう!」


 タマモは拠点の前に立って方針を決めた。いや、拠点の前にまで戻って来てようやく方針が決まったのだった。


「というわけで、またお留守番をお願いしますね、クー」


「……きゅー」


 拠点の前でのんびりと日向ぼっこをしていたクーにお願いをすると、クーはため息混じりに頷いてくれた。「仕方がねぇなぁ」と言われているように思えるのはきっと気のせいではない。


「それじゃ、街に行ってきます!」


「きゅー」


 触角をふりふりと振りながらクーが見送ってくれる。決して「いいからさっさと行って来い」と言われているわけではないだろう。そう、決してそんな無体なことを言われているわけではない、はずだ。


「まずはテントですよぉ!」


 鼻歌混じりにタマモは久方ぶりのアルトの街にと出かけたのだった。

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