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40話 開会式へ

「んぅ? メールですか?」


 部屋の中での作戦会議が終わった頃に、ちょうど運営からのメールが届いた。


「本戦出場者の皆様へ」というタイトルのメールだった。


 試合時間についてかなと思い、メールを開くといまから十分後に本戦の開会式を行うため、本戦用の屋外舞台にお越しくださいとあった。


 参加するかどうかはそれぞれの判断に任せるともあった。最後には「フィオーレ」の試合時間が記されていた。


「……開幕、ですか」


「フィオーレ」の試合はまさかの第一試合だった。開会式後すぐに本戦が開始されるようである。


 ちなみに個人部門も開会式後すぐに開始されるようだ。


 3日目と4日目限定だが、屋外に舞台をふたつ置き、それぞれの舞台で同時に個人部門とクラン部門での本戦を行うようだった。


 5日目からは舞台をひとつにして、個人部門とクラン部門の試合を交互に行っていくとあった。


「現実ではありえないことですねぇ」


「まぁ、いくらリアリティーがあっても、ゲームだからね」


「少しの操作でできるもんねぇ」


 現実に同じ事をしようと、途中で舞台をひとつにしようとしたら、とてもではないが、一晩で終わるとは思えない。


 豊臣秀吉の城を建てた逸話よりかはまだ現実的かもしれないが、それでも普通は一晩でやるようなことではなかった。


 だが、ふたつの舞台を繋げてひとつにするのであれば、まだ可能性はあるかもしれない。


 もっとも可能性はあるだろうが、やろうとしたらどうしてもマンパワーは必要になるだろうが。 


 それをわずかな操作で行えてしまうのだから、改めて「ゲームだもんなぁ」と思うタマモだった。


「さて、それでどうしようか? 開会式後すぐなら開会式に出ても問題はないと思うけど?」


「むぅ、悩ましいですねぇ」


 レンの言葉に腕を組んで悩むタマモ。開会式後すぐでなれけば、面倒なだけの開会式になど出るつもりはない。 


 しかし開会式後すぐの試合であれば、これから試合会場に向かうことになる。


 であれば開会式に出るのも悪くはない。


 開会式が終わるまで試合が始まらないのであれば、開会式に出て試合開始を待てばいいのだ。


 逆にでなかった場合、開会式が終わるまで待機をしないといけないのだ。


 むしろ開会式に出た方が時間経過は早いかもしれない。


 なにもしていないよりかは、なにかをしているときの方が時間の経過は大半は早い。


 中には時間経過が遅いこともあるかが、大半はなにかをしているときの方が時間の経過は早いものである。


 ただ待機しているよりかははるかにましだろう。


 もっとも開会式だけではなく、こういう式は大抵時間経過が遅いものなのだが。具体的にいえば、学校の朝礼の校長先生の話のようにだ。


「悩ましいですねぇ」


 もう一度同じ事を口にしながらタマモは腕を組んだ。


 開会式に出るか出ないか。要はそれだけである。


 それだけの違いが、大きな違いになる。ゆえにタマモは少しの間悩むことになった。


「……とりあえず、今回は出てみますか?」


「その心は?」


「初イベントですから。まぁつまらない内容にはならないんじゃないかなと」


「なるほど」


 通常の開会式であれば、出る気はない。


 しかしこれが初イベントの開会式となれば、今回くらいは出てもいいのではないかと思ったのだ。


 面倒だという想いよりも好奇心が今回は勝ったのである。


 さすがに学校の朝礼のように、延々と校長先生の長いお話を聞くことにはならないだろう。


 かといってお祭り騒ぎのようにはなりそうにもない。


 なにせ開会式だ。


 ある程度は格式ばったものになる可能性が高いのだ。


 それでも朝礼よりかは楽しくなる可能性はあるのだ。


 その可能性に懸けてみるのも悪くはないだろう。


「……まぁたしかに初イベントだし、出てもいいかな?」


「出なくてもやることないからね」


 屋台の準備をしようにも第一試合では仕込みも終わらない。


 ならば開会式に出てそのまま試合になる方が面倒はない。


 もっとも開会式自体が面倒なものになる可能性もなきにしもあらずなのだが。


 それでもただ待機しているよりかは開会式に出る方がまだ有意義なのかもしれない。


 出ても出なくても大したデメリットがない現状を踏まえると、初イベントなのだから開会式くらいは出てもいいだろうとヒナギクとレンも同意した。


「それじゃあ開会式に出ましょう」


「おー」


「はーい」


 やる気のあまり感じられない返事を聞きながら、タマモたち「フィオーレ」は部屋を出て開会式の会場兼試合会場となる屋外舞台へと向かうのだった。

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