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28話 うかつすぎるのですよ、レンさん(Byタマモ

 ギリギリになってしまった←汗

 あるぅぇ~、もうちょっと早く更新する予定だったのに←汗

 明日はいつも通りに更新したいです。

 予選2回戦は初日の1回戦同様に、展開の速い試合ばかりになった。


 初日の熱気がまだ継続しているということもあるのだろうが、PKKの選抜チームを文字通り一蹴したアオイの姿に感じ入るプレイヤーたちが多かったというのもあるだろうが、「PKKたちを一蹴した「銀髪の悪魔」を狩る」と宣言するクランが多かったのだ。


「見ているか、「銀髪の悪魔」! 俺たちがおまえを狩ってやる!」


 勝ち名乗りが上がるたびに、舞台上からはそんな勇ましい叫びが響いた。その叫びをひっそりと「タマモの屋台」で聞いていたアオイはにやりと笑うだけだった。


 そんなアオイにアッシリアは「「姫」の悪い癖が出そうね」とため息を吐きながら、ヒナギクとタマモと一緒に「調理」をしていた。


 まさか舞台上のクランたちも一躍人気店となった「タマモの屋台」で件のアオイがいるとは考えてもいなかっただろう。


 しかしその考えていなかったであろうことが現実に起きているのだ。


 しかし勇ましいプレイヤーたちはそのことに気付かないまま、胸を張って舞台から降りていく。


 ちなみに「タマモの屋台」は舞台からそう離れていない場所にあるのだが、戦闘後の余韻もあるのか、アオイ狩りを宣言したクランたちは「タマモの屋台」のことに気付くことなく、立ち見ができるスペースへと移動するだけだった。


「ふん。我に気付かず立ち去るとはのぅ。情けない連中じゃな」


 喉の奥を鳴らすようにして笑うアオイ。そんなアオイに、ようやく復活したタマモは苦笑いした。


「たぶん、気づかないと思うのですよ?」


「そうかのぅ? 我目立っていない?」


 こてんと首を傾げるアオイにタマモは笑っていた。


 現在のアオイは、屋台の裏で用意した洗い場で皿洗いをしていた。


 というよりも皿洗いしかできないので、自然と皿洗いを任命されてしまったのだ。


 おかげでずっと背中を向けているようなものなので、誰も気づかないのである。


 振り向くとすれば、新しい皿を渡されるときくらいなので、それがアオイだとは気づくプレイヤーは皆無だった。


 ちらりと見て美人であることを理解できるプレイヤーはわりといるようだが、それ以上のことはわからないプレイヤーが多かった。


 だからこそアオイ狩りを宣言したクランたちが気づかないのも無理もないことだった。


「ん~。誰もが振り返るような美人さんがいるなぁと思われるでしょうけど、それ以上は特にですかね? あ、3番の札でお待ちの方、キャベベ炒め3人前できましたよぉ~」


「あ、できたって! はいはーい。いまいきまーす!」


 アオイと会話しながら、タマモの手は止まることなく、炒めていたキャベベ炒めを3枚の皿に盛ったところで事前に配っていた整理券の番号を口にすると、ちょうど近くで待ってくれていた3人組のクランがとてとてと駆け寄ってきた。


 女性だけのクランなのか、それとも単純に友人同士なのかはわからないが、なかなかの美人さん揃いだった。少しだけ鼻の下が伸びそうになるタマモであった。


「……タマモさん。露骨な反応はやめた方がいいと思うよ?」


 隣に立っていたアッシリアが深いため息を吐いた。よく見ると顏に「こいつ本当にどうしようもねえな」と書かれているようだった。


(むぅ。なんだかアリアの反応に似ていますねぇ)


 親友兼幼なじみである莉亜の反応とアッシリアの反応は不思議と似ていた。というよりもほぼ同じと言っていい。だが──。


(でもお胸の大きさが全然違うのです。アリアはちっぱい中のちっぱいなのです。だからアッシリアさんみたいにお胸は大きくないですし)


 ──胸の大きさがまるで違う。


 そんな「それはどうなんだろう」と誰もが疑問に思う識別方法でアッシリアと莉亜を別人と判断しているため、アッシリアと莉亜が同一人物だとは最初から考えていないタマモだった。


「無駄ですよ、アッシリアさん。タマちゃんのそれは筋金入りですからね」


 注意をするアッシリアを宥めるヒナギク。その顔は「言っても無駄だからやめておけ」と書かれていた。


 ヒナギクと出会ってから2か月。だが、されど2か月でもある。


 ゆえにタマモのそれが筋金入りであることは重々承知しているのだ。


 だからこそ注意をしたところで意味がないことはすでにヒナギクにはわかっていたのだった。


 もっともそのことはアッシリアとて理解しているのだ。


 理解しているが、それでも8か月間も会っていなかったということもあり、言っても無駄だとわかっていても言わずにはいられなかったのだ。


 だが、ヒナギクとアッシリアにはわかっていてもそのことがわかっていない人物が唯一いた。それがアオイだった。


「タマモが筋金入りとはなんのことじゃ?」


 はてと不思議そうに首を傾げるアオイ。深いフードで顔を隠し、外套で体も隠しているが、タマモには見えていた。外套の下でふるりと震えたアオイのそれに。


(むぅ。服の上からでも柔らかいというのがわかるのです。さすがはボクの理想の嫁像そのものなのです!)


 むふぅと鼻息を若干荒くしているタマモ。どうして鼻息を荒くしているのかがわかってしまい、若干引き気味なヒナギクとアッシリア。当のアオイは気づかず、相変わらず首を傾げていた。


ちなみに駆け寄ってきた3人組のクランはすでに用意していたキャベベ炒め3人前を手にして離れていたため、会話の内容には気づいていない。それどころかひとりで列形成をしているレンに突撃していた。


「あ、あの。昨日の最終前の試合に参加していたお兄さんですよね?」


「え? あ、はい。まぁ、そうですけど」


「あ、あの昨日の試合でファンになりました! さ、サインください!」


「あ、サインだけじゃなく、そ、その握手とかも!」


「あとできたら、フレコ交換してください!」


 黄色い悲鳴を上げながらレンを囲むようにして叫ぶ3人組。


 レンは「お兄さん、か」とちょっと困り顏で笑っていた。


 とはいえ困り顔ではあるが、決して嫌がってはいない。あくまでも困っているだけである。


「ふむ。レンは女にモテるんじゃなぁ」


 たまたま皿を受け取るために振り返ったアオイが、件の3人組とレンのやり取りを眺めながらぽつりと呟いた。そのときだった。


「……そうだねぇ。あいつって本当にさぁ~。なんなんだろうねぇ? かわいい子や美人さんを見るたびに、ああして口説くってどういうことなんだろうねぇ?」


 ちょうどヒナギクがアオイに皿を受け渡す番が回ってきた。ただそれだけのことだった。


 そうそれだけのことだったのだが、そのときにヒナギクが浮かべていた表情にアオイは「ひぃ!」と悲鳴をあげた。


「銀髪の悪魔」と称され、この「武闘大会」で優勝した暁には「魔王」を自称しようと思っているアオイが悲鳴をあげる。そんな光景に唖然としてしまうアッシリア。


「……レンさんってば」


 どうして息を吸うようにヒナギクを挑発してしまうのか、とレンのうかつさにため息を吐かずにはいられないタマモだった。


 その後、「ちょっとお願いするね」と言い残してヒナギクがレンと3人組の元へと向かい、一瞬で阿鼻叫喚となったのは言うまでもない。


 ちなみにどうやって阿鼻叫喚になったのかはあえて語るまい。人間知らなくてもいいことというのは往々にしてある。あえて言うとすれば──。


「人ってあんなに簡単に振り回されちゃうんですねぇ」


 ──というタマモの呟きがすべてを象徴したということだけだった。

 まぁ、レンはレンということですね。作品が変わっても中身は、「女難の相」がありそうというのは変わらないということです←しみじみ

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