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昔、勇者になれるといわれました。しかし、進学し、就職ました。

郵便受けに手紙が入っていた。

それにはこう書かれていた。


おめでとうございます。

あなたはゆうしゃになれます。




そう、キラキラした変わった模様の紙に子供が読みやすいように書かれた手紙が来たのは私が5歳の誕生日のことである。

幼かった私は喜んだ。

なんせ絵本で読んだり、幼稚園の劇で役の取り合いになる一人しかなれない勇者様になれるんだ。みんなの憧れの勇者様になれるんだ。そう一人ウキウキして私はその手紙を家の中にいる両親に見せに行った。


両親も一緒に喜んでくれるだろう。そう思い二人に見せたが、その手紙を見せた瞬間なぜか二人は青ざめ目を見開いてわたしから手紙を奪って


母は「ウィンド!ハイウィンド!アァァクウィィィンド!」

と言って竜巻で天井を吹き飛ばして手紙を粉々にし、


父は「メラ!ハイメラ!アァァクメッッッラ!」

と言って火柱を上げて粉々にした手紙を燃やした。


いつも私に家の中で魔法を使ってはいけないよ、と言っている両親がしたので私は驚いてポカンとした。


かなり魔力を使ってしまったせいか両親はしばらく肩で息をし、整えた後二人は泣きながら私を抱きしめた。

そして、こう言った。


「「ゆうしゃなんかにならないで、俺(私)たちみたいにならないで、おねがい。」」




それから13年後の今



二人は泣きながら私を抱きしめた。


「「卒業おめでとう!!」」


わたしは魔術音楽アカデミーを首席卒業して再来週から国家精霊士として働くのだ。

精霊士は水や土、風、火の精霊たちと楽器を使って会話をして精霊魔法を使う。

精霊と共に人前で踊ったり歌ったり、演奏したりして見た目が華やかで、なりたい人がたくさんいるが、資格がいる仕事でわたしが卒業した魔術音楽アカデミーのような専門の学校に行って技術を磨き、資格試験をクリアして卒業しないとなれない仕事だ。

『『あるじ、卒業おめでとう。』』

そう言ってわたしの周りをクルクル飛んでいるのは、わたしの契約精霊たちだ。

わたしと契約しているため楽器なしで普通に話せる。

「ありがとう」

そう言って彼らの頭を撫でる。

今思うと13年前のあの時、勇者になることを選んでいたらこの子達に会えなかっただろうな。


「さて、お前も進学して就職したことだし、13年前、5歳のお前に勇者になるなといったわけを今話そうか。」


泣き止んだ父と母は私をみて言った。

私も二人を見返す。

父はお茶を飲むと何か思い出すように目を細めた後、こう言った。


「お前と同じように言われたんだ。勇者になれますって」


昔、お前に俺たち、、父さんと母さんはこの国の生まれじゃないって言っただろ。


まあそのことも関係があるんだ。






「あの時、お前に勇者になるなと言ったのはな、俺たちと同じようなことになって欲しくなかった。」


そこから私が初めて聞く、父と母の生い立ち、二人の馴れ初め、そして13年前のあの日のことが語られた。


父と母から語られたことは想像を絶するものだった。




父はこの国から遠く離れた農村の子どもで私と同じくらいの歳に勇者になれますよと神官が来て父が連れて行かれることを嫌がる家族にお金を押し付けて父を連れて行った。


母は父と同じ国の貴族の不義の娘で教会に捨て置かれたも同然である日、勇者になれると言われぼろぼろになるまで訓練という名前の暴力を振るわれた。


父と母が出会ったのは

父がヒノキの棒だけでレアな素材を狩ってくるまで帰ってくるなと言われトボトボと草原を歩いて、スライムに襲われていた母を助けたのが出会いだった。


母はぼろぼろで混乱していて、父に勇者なんてもう嫌だと泣きついたらしい。

それで自分と同じ状況だと感じ取った父に一緒に逃げることを提案され、その提案に乗り一緒に逃げた。


一緒に逃げる旅を続け、色々あってこの国のギルドの冒険者になって

私が生まれてささやかな幸せを噛み締めていたときにあの手紙が送られてきた。

あの手紙の模様は父と母にとってはトラウマになっている自分たちを勇者にした教会のマークだった。


「あの手紙を見た瞬間、アークウィンド使って細かく刻んだのよね。」

「俺もアークメラ使って、煤塵一つも残したくなかった。」


「「俺(私)たちはお(あなた)を勇者にさせたくなかった。」」

それでその時の記憶からなんでないのか聞くと、もっと大変な話が始まった。


なんでも私が呪われて大変だったそうだ。

あの手紙と一緒にあったもう一通の手紙は、父と母に向けた脅迫文だった。


その手紙の内容は長かったので色々端折ると父と母の二人が来なければ呪われた娘の命はない。


そう書かれていた。

二人して一瞬理解できず、はっ?となっていると、私が二人に手が痛いと言い始めた。

私の手を見るとがっつりそのマークが刺青みたいに入っていて、二人は私が呪われたのがわかった。そして二人の中で何かが切れた。


母は決意した。かつて私に暴力を振るい、娘を呪い殺そうとするそいつらに鉄槌を下すと。


父は決意した。かつて俺を家族から引き離し

今度は娘を呪い殺そうとするそいつらに鉄槌を下すと。



母はもしかしたら、呪術者さんたちにこの呪いが解けるかもしれないと思い痛がる私を背負ってある呪術者の店に行き、


父は所属しているギルドにしばらく参加できないことを伝えに行った。が、


父がギルドに着いた時なぜかギルド内がバタバタしていた。

他の同僚に何があったか聞くと、なんでも有名な聖騎士と神官が依頼にきた。国内の有名な教会でナイフを振り回して、聖騎士と神官が何人も切りつけられその教会のステンドグラスに切りつけられて出た血でマークを描かれて汚した事件の犯人を探して欲しいと国内あちこちのギルドに依頼して回っているらしい。イライラしてたの半分聞き流していたら同僚がそのマークの写しを見せる。


見た瞬間、父は反射的にその写しを燃やした。 そして、驚いて固まっている同僚に聞いた。

「その依頼しに来た人達はどこにいる。」


父がその人たちを待っている時に母が私を連れてギルドにきた。なんでも、母が行った街の呪術者さんたちのところでは解けない、しかも解こうとすればするほど、呪いが進行する拷問具のような物と言われたのだ。

母は痛さのあまり泣いている私をあやしながら、母自身も泣きたくなっていた。

それを見ていた父は何が何でも俺たちを苦しめているあの教会を潰す。

と何度も思ったそうです。

そうこうしているうちに神官と聖騎士の人が来たそうで父は、そのマークについて色々と話した。すると



私たちの仲間を傷つけて、何百年も守ってきた教会を汚した。連れていってください。

神官たちがメンバーに加わった。


信者を守るのが我らの務め

聖騎士団がメンバーに加わった。


とその場で神官と聖騎士が父と母についてくることが決まった。


そこから父と母の快進撃が始まった。


あの国うちの外交団を監禁しやがった。

どうもわしらとやりたいらしいよろしいならばカチコミじゃあ!

王がメンバーに加わった。


王が行くならどこまでも

王直属騎士団がメンバーに加わった。


勇者の信託?ここ300年出してないけど

あの連中勝手にやりやがった。娘さんの体

ちょっと借りますよ。

神がメンバーに加わった。


あの国の教会の動きがおかしいと思ったらそういうことが、許せません。民を癒すための我らが民を苦しめたなんて、神と共にやりましょう。

元教皇がメンバーに加わった。



……がメンバーに加わった。

……がメンバーに加わった。

……がメンバーに加わった。


最終的には二人で行くはずがなぜか行く先々で仲間を作り、着く頃には千人を超える大所帯になったらしい。


そして、普通はどんなに急いでも3週間ぐらいかかる道を神の力によって一週間で行き、その教会とその教会と癒着し腐敗した国を潰してきたというわけだ。


そして私の記憶がないのは神さまが中に入って呪いの進行を止めていたから、お手が痛かった記憶も呪いも全部消したらしい。


「嘘のような話だけど本当にあった話だから証拠見せるから。」

母はそうゆうとアイテムボックスから二枚の写真を取り出した。


一枚目はあの教会のマークが描かれた旗をへし折ってニコニコと笑顔の父、


二枚目はニコニコ笑っている5歳の時の私を真ん中に座らせてその両脇に父と母がたち、その後ろに知らない人が5人立っている写真だった。


母は1枚目の写真を見せながら、懐かしそうに見ていた。

「この写真はね、お父さんがあの教会の人たちの目の前であの教会の象徴になっている旗を折ってやった時の写真よ。」

「旗を折ってやった時のあいつらの顔、、

今思い出しても笑える。」

母の横で父が写真と同じような笑顔になっている。

「こっちの方はね、

家に帰る時にとった写真なの、左から

神官長、聖騎士団長、王、王直属騎士団長、元教皇。

あと、あなたには神さまが入っていたから。」


「私が5歳の記憶がないのはそんなことがあったのね。話を聞いていて思ったんだけどさ、二人とも勇者のことすごい嫌っているけど、」


そういうと父と母の二人がウンウンと頷く。

「そうだね。」

「そうだな。」


「私からしたら、二人とも勇者だよ。

私を救ってくれたかっこいい勇者だよ。」


2018/09/29

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