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6:大体そんな感じ

 優李が異世界に転移してから三日目―。


 今いるここは、王城にほど近い場所に位置するマーガレットの自宅。

 そこで城内にある資料室から借りてきた『これでキミも魔物博士 ―絵で分かる世界の魔物大全―』という本を、マーガレットの説明と共に見ている最中である。


 これから先どうしたいか?

 という話になった時、他の国に赴くという選択肢も存在していたが、優李は迷わずこの国で過ごしていく事を決めた。

 だってこの世界の事何も知らないもの。怖いもの。


「それがいいだろうの。」

「先も言ったがキミの事は私が保証するからな。」


 王とマーガレットもそれには賛成で「私が保証する」の言葉通りマーガレットのお家にご厄介になっている訳だ。

 

 この世界と地球との違いについて色々と確かめたい処ではあったが、こちらの世界も夜だった為主な行動は二日目から行った。

 

 まず世界そのものに関して。

 優李の転移してきたここはエリシアと言う名の世界で、人間族、獣人族、妖精族、精霊族などなど、多種多様な種族が存在している世界であり、中でもここユル王国の王都コルソネアは、その多くの種族が共に生活している世界でも有数の都市であるの。


 と、いう風に王様に教えてもらっていたので、優李が最初に行ったのは『言葉』と『文字』の確認だ。

 

 言葉に関しては日本語しか喋れない優李と会話が成立している点から日本語であるのは間違いない。

 映画の吹き替えの様に声と口の動きが合っていないという事も無かったので、自動翻訳などの類では無い事も確認している。


 では文字は?

 こちらは見たこともない様な記号の羅列だった。

 母音を意味する記号と子音を意味する記号を組み合わせている物なので、法則性はあるのだが、どちらにせよ今の優李には理解出来ない文字だ。

 なのでマーガレットが一緒じゃないと本が読めない。


 何故だか数字は共通だったが、そういえば頭の中に浮かんできたステータスの説明が思いっきり日本語だった事を思い出す。

 視覚情報では無いからそう変換されているだけでは?とはマーガレットの言であり、事実マーガレットが優李のステータスを除いた時はきちんとこの世界の言葉で表示されていたので、その考察に間違いはなかった。


「ここ数十年は記録に無いが国が墜ちる程らしいぞ。」

「やっぱ居るよなドラゴン。」


 次に確認したのは貨幣の事。

 これは予想通り紙幣では無く硬貨。その価値も鉄貨、銅貨、銀貨、金貨、白金貨の順に上がり、鉄貨なら百枚で銅貨一枚と同価値なので、頭の中で一円、百円、一万円、百万円、一億円と解釈する事にした。

 ただ白金貨は余程の事が無い限り取引に使用される事は無く、目にする機会さえ殆ど無いので、市民の生活を支えているのは専ら銀貨以下の貨幣達だ。


「昨日の夕飯にも出したが、美味しかっただろう?」

「あれオークかよ。普通に豚かと思ったわ。…美味かったけど。」

 

 そして時間の流れ。

 これは一日二十四時間で、七日間で一週間、一年は十二の月から成るなどは地球と一緒であるが、一月は二十八日間と定められており、一年の合計日数は三百三十六日と地球に比べ若干短い期間となっている。


「時にキミはお酒を飲むのか?」

「…まぁ人並には。」

「このヨッチャンはな、炙るとお酒にすっごく合うのだ。」

「うん。知ってた。」


 次は、ここ王都コルソネアの事を知った。

 実際に街を案内して貰い、日用品、食料品、武器、防具などの店を見て、持ち合わせの無かった男物の衣類を購入。

 勿論優李はこの世界のお金を持っていないのでお支払いはマーガレットさんで。


 驚いたのは、その金額。

 シャツやら下着やらを纏めて一週間分購入した合計金額は、何と金貨二枚。

 実に二百万円を使った事になる。


 庶民である優李は物を見る目も無く、せいぜいが数万円かなと思っていたのだが、ここのお店は魔法に耐性のある素材を使ったお店で、素材も然ることながらそれを扱う技術も高いモノを必要とする一流店であった。

 魔法に耐性の無い優李に対してのマーガレットの気遣いだったのだが、きちんとお金を返す気でいた優李は二百万もの借金を抱えてしまった事に頭を抱えてしまう。


「虫系や植物系は毒を持っている事が多いから注意が必要だな。」

「どんな毒?」

「様々だ。体力を蝕む物や身体を麻痺させる物、昏睡させる物に内側から溶かしてしまうような物まで。」

「何それコワい。」

「どれも初期段階で治療してやれば大事にはならないが、中には即死する様な毒もあってな、その辺を詳しく知りたいなら資料室にそういう本もあるぞ。」


 そして三日目。

 一般的な情報を仕入れた優李は、いよいよファンタジー的な要素に取り掛かる。

 魔法であったり、スキルであったり、魔物であったり。


 スタートは冒険者ギルドの確認から始まった。

 が、出鼻を挫かれる。

 冒険者ギルドは、この世界には存在していないのだ。

 

 魔物の対応は騎士達が行っているし、冒険者こそ存在はしているものの誰かに頼まれて何かをするような何でも屋では無く、本当に『冒険をしている人達』でしかない。

 だが、その様な人達の主な収入源は道中で討伐した魔物であり、素材の買取自体は、こちらは存在していた商業ギルドや、少量なら個人店が直接行っている為、その点は優李の中での王道ファンタジーを踏襲していた。

 もっと言えば、物語の冒険者の役割が細分化されていて、魔物討伐を仕事にしている討伐職や、護衛を仕事にしている護衛職、さらにはそのもの何でも屋とかも居たりする。


「こいつらは物理攻撃が通用しない上に魔法耐性も高くてな。私もあまり闘いたくは無い相手だ。」

「雑魚のイメージが強いけど、ここのスライムは強敵なのな…。」


 魔法やスキルはレベルが上がる事で突然覚える事もあるが、基本的には反復練習により覚えるものだ。

 短剣の練習をしていれば短剣術のスキルを覚えるし、火属性魔法の練習をしていれば火属性魔法を覚える。


 技術の補佐という意味合いが強いスキルならまだしも、魔力を変換させて事象を引き起こす魔法なんてどうやって練習するのか疑問に思った優李だったが、マーガレットによる説明は「イメージ」というフワッとした物だった。

 覚えようとしている魔法のイメージを強く持ちながら、魔力を事象へと変換させる。

 そうしていくことで身体が覚えていくそうだ。


 実際はプログラムの様な、それぞれの術式の組み合わせによって引き起こされる事象なので、説明程簡単でも無いのだが、マーガレットは敢えてその様に説明していた。


 その過程でマーガレットのステータスの話となり、優李はここで彼女の年齢を知る事となる。


【名 前】マーガレット

【種 族】人間

【年 齢】21

【レベル】40

【基 礎】

体力427

魔力1629

筋力192

敏捷361

知力1756

【耐 性】

物理244

魔法490

【魔 法】

火属性魔法 水属性魔法 土属性魔法 風属性魔法 雷属性魔法 氷属性魔法

光属性魔法 闇属性魔法 複合属性魔法・混沌 回復魔法 精神魔法 空間魔法

【スキル】

天才 並列思考 アフターケア 短剣術


 筋力こそ200未満と低いが、そんなん知った事かと言わんばかりに魔力と知力が高く、基本六属性の魔法をフルコンプ、さらには光と闇が合わさり最強に見えるし、実際に合わさった複合属性魔法・混沌。その中でキラリと光る回復魔法。精神と空間を添えて。


 控え目にいっても反則レベルである。


 参考までに例を挙げるとすると、同じ環境であればレベル25の辺りをウロウロ、覚えている魔法も五、六種類程度で、例えレベルが同じでも魔力と知力は半分もあれば高い方だ。

 

 だと言うのに何故そんな事になっているのかと言うと、それは産まれながらに持っていた天才というスキルの成せる業で、経験が半分で成長は二倍になるという世界でも希有なトンデモナイ効果が魔力と知力にブーストを掛けた結果だった。


 だからその事を知った優李の「21かよ!」というツッコミは絶妙にズレていたと思う。


「そういや、この世界に魔王っているの?」

「魔物を統べる王という意味か?」

「そう。」

「その様な存在はいないな。奴らは勝手に増殖し、勝手に生きている。知能の高い種や個体は居るが、何者かに統べられているという事は無いぞ。」


 そして今まさに魔物の事を教えて貰っている最中だ。


「…ふむ、こんなところか。」

「ん。ありがとさん。」


 図鑑に載っている魔物全部という訳にはいかなかったが、ポピュラーな存在である魔物や、系統の特性などを重点的に話しており、一先ずはこんなもんだろと二人は話を切り上げる事にした。


「なぁユーリ。キミの世界にはどんな魔物がいるのだ?魔王とやらもいるのか?」

「世界っつーかゲームな。魔王も作品によっては居ない事もあるけど…やっぱ有名なのはスライムかな。でもこっちの世界とは違っててさ―」


 切り上げる事にしたかった。

 だが、マーガレットはゲームの魔物に興味がある様で、優李もまたゲームの事を話すのが好きだった為、結局その後数時間に渡り魔物談義に華を咲かせる事となる。

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