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事案です!

重い話は無しとか言った割に序盤重々しい話しちゃってます。

書き直そうかなぁと思ったんですが、これ以上いい書き方が思いつかないのと、いろいろ思うところもあったのでそのまま行きます!

「結局見つかりませんでしたね〜」


「そうだね、宿の方に戻ってくれてれば助かるんだけど……」


 西の大通りを抜けた私たちは若干がっかりしながら宿に向かっていた。


 まぁ、帰り道の捜索はダメ元だったしね。今も少しだけ周囲に気を配ってはいるけど、本命は宿の方だ。


「あ、そういえば私聞き込みした時、銀髪の子って伝えたら何人からか不思議な顔で見られたんですけど、サナさんはどうでした?」


「うん、私もされたね」


 お巡りさん的な人が揃いも揃って同じ顔で睨んできたからよく覚えている。


 というかエンジュも同じ目に合ってたんだ。


「やっぱりサナさんもされてたんですね〜。なんででしょう?」


「うーん、まぁ、多分こっちの国じゃ銀髪が嫌われてるとかそんな感じなんじゃないかな?」


 髪の色程度でって思うかもしれないけど、意外と理不尽な差別みたいなものは沢山あるのだ。

 異世界だからってそれがなくなるなんて事考えにくいし、むしろあった方が自然とすら思える。


「だとしたらしょうもないですね。そんな事してもなんの得もないのに」


 全く同意見だ。


「まあ人なんてそんなもんなんだよ。天界ではそんな事なかったの?」


「はい、いじめも何もない平和な世界でしたよ。実力主義だったので上下の関係が厳しいくらいですかね〜」


 そういえばエンジュって上司のプリン食べたせいで異世界に行かされたんだもんな。結構パワハラじみてる気がするけど、エンジュは気にしてないみたいだし掘り下げることでもないか。


 と、そんな会話をしているうちにいつの間にやら目的地の宿に到着していた。



「あ、師匠!」


 入口の付近で待ち伏せていたらしいハンカが、髪をなびかせながら私の方に駆け寄ってきた。

 なんというかこう、恋愛アニメのワンシーンにありそうな光景だ。


 ……じゃなくて、


「どうかした? なんか慌ててるけど」


 ハンカは私の転生を知っても、シャルルちゃんが迷子になってもさほど慌てたり驚いたりしなかった。

 そんなハンカが慌てるなんて結構レアリティ高めだ。


「あ、すみません、少し取り乱していました……」


 少し頬を赤らめて俯きながら若干乱れたスカートを手で直すハンカ。


 いや、慌てるハンカも可愛いから私的にはもっとウェルカムなんだけどね。

 赤らめてるのももちろん良いけど!


「それで、ハンカさんはなんで慌ててたんですか?」


「あぁ、それなんですが、なんと言いますか……。とりあえず、部屋まで来ていただいても良いですか?」


 ハンカはなんとも説明しにくそうだった。

 この様子ならシャルルちゃんの件はなんとかなったけど、それ以外の問題が発生したっぽい。


「うん、元々そうするつもりだったし、もちろん大丈夫だよ」


「では、部屋についたら詳細をお教えします」


 そうして、私達はハンカにエスコートされて部屋の前まで来た。


 一応入るときはノックするべきかと考えたんだけど、シャルルちゃんが居ると言われたわけでも無いし、とりあえず扉を開けた。


「おぉ、サナ! 待っていたのだ!」


 扉を開けると予想通り中にいたシャルルちゃんがそんなお出迎えの言葉をくれた。


 いや、迷子になってたのシャルルちゃんだし、その言葉は違うと思うけどなぁ〜。

 まあ、無事だったならそれが何よりだし別に良いんだけどね。


「もう迷子とかならな「シャルルさーん!!!」


 3人の中だと一番心配してたエンジュが私の言葉を遮って後ろから飛び出し、シャルルちゃんに抱きつきにかかった。

 くそっ、その手があったか……!


 まぁ、シャルルちゃんがエンジュの額を抑えて抱きつかれるのを阻止してるから、私でもダメだったっぽいけどね。


「それにしても、そんなに慌てるようなことある? 特に問題ないように感じるんだけど」


 少なくとも、今の風景は別に慌てる要素はなにもない、ただのほのぼのしたサガミ家の日常だ。

 違うところといえば、宿を借りてる程度の差しかない。


「いえ、そのですね、シャルルさんの後ろの子なんですが」


 後ろの子……?


 私は少し首を傾げながら部屋の奥に目線をやった。


「え、誰あの子」


 そこには、長い銀髪の少女が座っていた。身長はシャルルちゃんと同じくらいで、年は13くらいに見える。


 なんというか、シャルルちゃんの姉妹と言われたらそれで納得してしまいそうな風貌をしている。

 違いといえば、髪の長さと、眼帯をしていないのと、少しおっとりした雰囲気があることくらいだ。


「私がシャルルさんと合流した時点で既にあの子も連れていまして。話を聞くに、街を歩いていたところを連れてきたそうなんですよね」


「え、それって……」


 シャルルちゃんは見た目こそ子供だけど、中身は600歳超えの、人間基準でいえば大人も通り越した超大人だ。

 それに追加して魔王の一人娘。アスモデウスさん曰く、次期魔王だ。


 つまり、この状況は『13歳くらいの人間の少女が迷子になっているところを600歳超えの超大人の魔王が(さらっ)てきた』という事だ。


 それってもはや……


「ただの誘拐じゃん!」

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