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増えてく同居人

温度差にやられたか熱を出しました。

そのため、かなり久しぶりに丸1日寝ました。


怪我の功名かな……?

 ハンカは慣れないハグに少し困惑気味だったけど、私が構わず抱きしめ続けていると、


「サナさんって意外と大胆なんですね……」


 と、顔を真っ赤に染めたエンジュさんにそう言われてしまった。


 やばい、完全にエンジュさんがいるの忘れてたぞ……。


 流石に人の目線を気にしながら抱きつき続けるのもアレなので、一旦離れる事にした。


 離れたのは一旦(・・)だからね! ここ重要!


 そして、私は場の空気をリセットするようにわざとらしく咳払いをした。



「あ、そういえばエンジュさん、私が見つけた時ツタに絡まれてましたけど、あれも罰の一種なんですか?」


「いえ、あれは森の中を彷徨っていたら急に絡んで来たんですよ」


 急に絡んでくるという事は、なんかそういう植物なんだろうか?

 それだったら結構危ないぞ……。


 今後、私達がそのツタに捕まるなんて事にはなりたくないので話を詳しく聞こうかと思っていたんだけど、


「あ、それ、私のですね」


 それより早く、ハンカがまさかのカミングアウトをした。


「え、ハンカって植物だったの!?」


 もしそうなら衝撃的過ぎる新事実だ。


「い、いえ! 私は人間ですよ!」


 ま、そりゃそうだよね。

 流石にありえないと思ったよ。


「それだとすると、何がハンカのなの?」


「何が、というか、多分それって、私が作った罠ですね」


「罠? なんでまたそんなもの……」


 罠という事は不届き者とかを捕まえるためのものだ。

 この家を改造して罠を取り付けてたとかならまだしも、わざわざ森に設置する理由はよくわからない。


「それはもちろん、動物を捕まえるためです」


 なるほど、エンジュさんが捕まってたせいで人のための罠だと思い込んでたけど、罠といえば普通、動物相手か。


「そういえば動物がいないって言ってたもんね。罠にかかってなかったから嘆いてたんだ」


「はい、しっかりと自然になじませて、それなりに数も用意していたんですが、一向に捕まらなくて……」


 人が捕まるくらいなんだから、それはもう完成度の高いものを作ったんだろうな。

 さすがのハンカクオリティー。


「それなりに数があるって事は、まだ森に残ってたりするの?」


 それだと、また被害が出るかもしれないから徹去して起きたい。


「いえ、もうありませんね。捕まらなかったので一つを残して他は取り除きましたから」


「そっか、なら安心だね」


 それならもうエンジュさんみたいな被害が出ることもないだろう。



 と、そこで私はふと気になった。


「そういえば、エンジュさんって、どこか行く当てあるんですか?」


「いえ、どこにもありませんね……」


 やっぱりか。エンジュさんの話からするに、突然送られてきたっぽいのでもしかしたらと考えていたのだ。


 それなら、ハンカやシャルルちゃんに確認をとって我が家に泊めてあげてもいいんじゃないかと思ったのだけど、


「行く当てがないならここに泊まればいいのだ!!!」


 いつの間にやら起きてたシャルルちゃんにセリフを奪われた。


 というか本当にいつの間に起きてたんだ……。


「ほ、本当ですか!? サナさん、構いませんか……?」


 エンジュさんが心配そうに上目遣いで問いかけてくる。

 すごく可愛いと思いますよ!


「ハンカはどう? いいかな?」


「はい、私は師匠がよろしいのであれば」


 やっぱりハンカは私次第なのか。


 ともかく、二人の快諾も貰えたので、いよいよ持って拒否する理由もない。


「じゃあ、全然構いませんよ。一応家事当番とかありますけど、それでよければ、ぜひ我が家に来てください!」


「いいんですか! あ、ありがとうございます!!! サナさんは命の恩人です!!!」


 エンジュさんは抱きついて来そうなテンションだったが、間に机があったので代わりにがっしりと手を握って来た。


 くそっ、机め……!


「あ、そうだ、この家の家主はサナさんなんですし、私への敬語はやめて、呼び方もエンジュにしていただいて構いませんよ」


「いや、でもさすがに天使さんにそれは……」


 たとえどんな関係だとしても、エンジュさんは天使だし呼び捨てにはちょっと抵抗がある。


「いや、今の私天使の力ほとんど奪われてますし、もはや元天使状態なんですよ。だから、全然呼び捨てで構いません!」


 元気よく言いながら右手でサムズアップするエンジュさん。

 あ、ウィンクまでしてる。やっぱり可愛いな。


「そこまで言うなら、まぁ……」


 正直、言葉よりもその可愛さに押し切られた感はあるけど、まあ本人が望んでるならそれでいいか。


「よし、というわけでエンジュ、これからよろしくね」


「はい! 皆さんもよろしくお願いします!」


「うむ、よろしく頼むのだ」

「よろしくお願いいたします」


 こうして、全員の挨拶みたいなものが終わった。


 そして、住人が一人増えるという事は、毎回恒例のアレがある。


「よし、それじゃあみんなで掃除しようか!」


「「「おー!!!」」」


 私の呼びかけに、三人は握りこぶしを掲げたりしてやる気を示してくれた。


 そこからはもう言うまでもないだろうけど、それはそれはもうすぐに終わった。

 前回三人で凄い速かったんだから、四人ともなればそりゃもうすぐに決まってる。



 掃除が終わった後、寝てたシャルルちゃんにエンジュの事情をものすごく噛み砕いて伝えたり、それを信じなかったシャルルちゃんがなぜか暴れたりしたけど、まあ大体想像つくだろうし語らなくてもいいよね。


 ともかく、こうして、天使のエンジュが家族に加わったのだった。

後半だいぶ駆け足でしたが、これにて天使さん編は終了です!

次章は少しだけまとめてから出したいので、ちょっと更新が遅くなると思います。

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