3.心地よく眠るためのBGM
心地よく眠るためのBGM。それはオペラである。
小さい頃から家に響く音楽がオペラ、もしくはクラシック、ついているテレビはオペラ、もしくはバレエだった。テレビを付けると前菜のようにオペラ。それかWOWOW。もしくはスポーツ。それかWOWOW。オペラもバレエもスポーツもなくWOWOWで見たいものがなかったら、ラジオでクラシック。そんなもんでバラエティ番組はあまり見ないで育った。嫌いなオペラはリゴレット。マントヴァ伯爵役が常にリレハンメル五輪当時のアレクセイ・ウルマノフぐらい美青年だったらもうちょっと好きになったんだけどなぁーと思ったり思わなかったり。好きなバレエはジゼル。ジゼルの「恋人に裏切られて気が狂って死ぬ」というあたりが古典らしくて好きだ。これを書いている現在、実際に家のテレビではジゼルがついている。2幕で、森番が踊り殺されるところだった。
そんなわけで私は音楽趣味が雑多な方だが、子守歌として聞いて育ったオペラやバレエは決して嫌いではない。ないのである。
しかしだ。
「大体こんな感じ」「確かこんな曲がある」というほぼ睡眠学習もしくは門前の小僧学習で育った不良な私はオペラという舞台芸術を「気持ちよく寝るためのもの」として認識している節があり、オペラに行くと一幕目は割と寝てしまう。「あー、いい音。いい声。いい曲。……すぴー」みたいな感じで、大変失礼なことに下手すると半分以上非常に気持ちよく寝ている。まぁ、流石に数年前「サロメ」を見に行ったとき、全一幕のうち起きていたのが15分だけだったのは反省しました。でもサロメの踊りはちゃんと見ましたよ?
そんなサロメの経験を活かし、「起きてちゃんと見る」を自分の中で提唱し、何とか半分は起きていられるようになった。ちなみに今までちゃんと全幕起きていたのが「道化師/カヴァレリア・ルスティカーナ」(レオンカヴァッロ/マスカーニ)と、「イェヌーファ」(ヤナーチェク)のみ。まぁ、道化師もカヴァレリア・ルスティカーナも一幕ものだから(サロメの経験を活かし)起きていられたし、「イェヌーファ」はアリアがなく、ほとんどオペラというか演劇だったから見ていられたのだろうか。(でも演劇も結構寝る)
そんなわけで次にオペラを見に行くとしたら今まで通りの変わらない目標を提唱する。……あ、今ジゼルが終わった。
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Q.オペラを子守歌にするとどうなりますか?
A.子守歌でも意外に曲と内容は覚えます。でも実際に舞台を見に行って寝るようになっても、私は責任持てません。




