19.大好きです、森若さん!
森若さんが好きだ。
どちらの森若さんですかと聞かれたら、演歌歌手の森若里子さんではなく、天天コーポレーション経理部の森若沙名子さんである。
森若さんは、集英社オレンジ文庫から刊行されている青木祐子著『これは経費で落ちません!』シリーズの主人公である。1巻時点で27歳。経理一筋5年。適正かつ迅速な仕事ぶりで上司、同僚からの信頼も厚く(一部では恐れられている)、不正もちょっとしたミスも見逃さない。座右の銘は「ウサギを追うな」で、仕事の姿勢はイーブン。隙の無い仕事の反面、職場の人間とは一定の距離を保つ。必要のない飲み会もいかなければ、なんだったらLINEも私用メールも職場の人間には教えない。ううん。凄い。いらない飲み会にノーと言える。その歪みなさがほしい。このお話はNHKでドラマにもなり、多部未華子さんが森若さんを好演している。
そんな森若さんの何が好きかというと、迅速な仕事ぶりや相手に対してイーブンであることとほかに、一番は「労働の対価を自分のために惜しみなく使う」姿勢である。
森若さんの私生活は素敵だ。仕事から帰って夕飯の支度をする。一人暮らしの森若さんは、自分の生活を充実させることに労力をかけている。自分のためのご飯をつくり、その間や食事中も好きな映画をかけ、自社商品の入浴剤をいれた風呂に入る。同期の友人が開発した入浴剤だ。風呂後はゆっくりと紅茶やアイスを楽しむ。映画のほかの趣味はネイルで、たまに可愛い猫のネイルを塗っている。休日は家事をこなし、制服にアイロンをかけ、弁当や日々の作り置きのおかずを冷蔵庫に詰め、それ以外はしっかりと読書をしたり映画を見たりすることで、自分自身の休養や趣味に時間を当てている。巻が進むごとに太陽君という恋人ができるのでそうもいっていられなくなるのだが(森若さんの恋愛描写は秀逸だ、と主張したい)この生活に唸る。年間の被服計画を立て、忙しい時期は食生活を野菜重視にし、疲れた時はおいしいお寿司を食べる。凄い。理想的な会社員の姿だと思った。
森若さんは出世欲があるわけでも、仕事や人生に対して野望を持っているわけではない。彼女にとって仕事は「たかが仕事」だ。だが、日々働き対価を得て生きる姿は、賭けるものがなくてもとても綺麗だ。
そんな私が何が言いたいのかというと……沙名子さん!太陽君と別れて!!私と付き合ってください!!!
クロサキイオンは『これは経費で落ちません!』の森若さんを応援しています。