1.あなたは勤勉な創作者か
2017年で、文章という媒体を使ってものがたりを作ることを趣味としてから丸10年経った。10年前の2月の自分といえば、大学受験が終わり(年がわかってしまうが)、ビーンズ文庫の人気作『彩雲国物語』を一気に読みながら、残りの高校生活を文字通りダラダラと家で過ごした。そうして大学に入学し、その4年後になにがなにやら大学院に進学し、さらにその後就職し、現在も「進むようなそうでもないような、形になるようなならないような大量の小説たちを書く日々」をダラダラと続けている。
その間いろんな方に出会ってきたが、小説を書くことを趣味としていることを話すと割と聞かれるこの質問。
「じゃあ、今、あなたはどんなの書いていますか?」
……私が「趣味で小説書いてます」とか話さなければいいんだが、これを聞かれるのは、困る。果てしなく困る。相手から見ればそれは軽いノリで聞いたものだろうが、答える側は頭にものっそい労力を使う。1)聞いた人の人となり、2)その人が知る私の人となり、3)書いているものの内容、4)その場の雰囲気、によっては場が凍りかねないからだ。
たとえば「直近で書いたものの中に、父親が実の娘を拷問するシーンがあります」とか(実話)カジュアルに言っちゃったら「え? 拷問?」と二度聞きされたうえで微妙な空気が流れそうだし。かといって「生まれて初めて書いた小説は、授業中に指が取れた話です」(実話)と……、あ、これは言えるか。三浦しをんの『まほろ駅前多田便利軒』にもあったし。
結局は「進むようなそうでもないような、形になるようなならないような大量の小説たちを書く日々」をダラダラ続けてきた結果である。
大体ものがたりを書き始めてから10年と書いたが、その10年の間自分が勤勉な創作者と聞かれるとそうでもない。それは私が「小説家になろう」に発表させている小説たちの進み具合の遅さを見ればわかることだ。小説書いている時間よりもツイッターやってる時間のほうが長いし、物語の内容を考える時間とフィギュアスケートを見る時間の長さは殆どイコールで結べる。パソコンに向かう時間よりもビーズとUVレジンをいじっている時間の方が長いし、そもそも文章ってなんだべと根本的なことを尋ねたい気分にもなる。ものがたりというか文章を書くのが苦手すぎて、友人に「お前は本編の小説よりもあとがきのほうがやる気があるのは何故だ」と逆に尋ねられたこともある。ほ、ほら。あとがきはいろいろ全開にできるから。
そんなわけで、この場を借りて創作活動と「小説以外」の日常を徒然なるままに書いていきたいと思う。
申し遅れました。ワタクシ、クロサキイオンと申します。生まれも育ちも北関東の蕎麦の街。好きな飲み物は牛乳とコーヒーと酒。好きなバンドはラクリマクリスティ。好きな言葉は「ネタくれ」
以後、よろしくお願い申し上げます。