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魔法少女☆ソルシエ  作者: Rio.K
9/38

9話 ー魔法少女VSアイドルー


「そーれーがー!調べたらラブレイブだけじゃなくてもう一つあったんだよ!」


「それって!?」



りおは大手を振り3人をあるところまで連れていく。

中央通りを末広町方面にまっすぐ歩き左に一本入ったところにそれはあった。



「じゃーん!これこれ!」


真っ先に気づいたのはきいだった。



「り、りおしゃん、、、こ、これは、、、」



りおが手を差し伸べる方向には大きなカフェ、そして大きなポスターがあった。

『マギアフロッシュ』。ラブレイブと同じく2013年に公開されたが、激売れしたそれとは対極の超マイナー魔法少女アニメだ。

制作時期や放送年、制作会社が同じだったため、マギフロは駄作、ラブレイブはヒット作と、何かと比べられる部分が多かった。

しかしおかしい。マギアフロッシュは本来超マイナーアニメのはずなのにこんなに大きな特設カフェまでできている。

そして驚くべきは、そのキャラクターの顔や髪の毛の色、瞳の色などまでが(自分達の知っている)ラブレイブの出演キャラクターと酷似している。



「これは、、すごい、、、なんで、、、。」



ちあきは唖然とした。自身もCDやグッズを何点か買うほどのラブレイブのファンだったからだ。

だが驚くべきはそのほかにもあった。

付け足すようにつばさが口を開く。



「ああ、それだけじゃない。スタッフを見てみろ。」



「か、か、監督、、せ、せ、洗崎、、ま、ま、護。」




「違うそこじゃない!ちあき!プロデューサーだ!」



そう言われちあきはオロオロしながらプロデューサーの欄を探した。

そしてちあきの目は綺麗な円を描いたように丸く大きく見開いた。



「上原、、信行、、、。」



そう、あのブリリアントの『上原信行』その人だった。

同姓同名ではないかどうかは、もうりおとつばさが確認済みだ。

これは穏やかではない。


爆発的ヒットを飛ばすはずのラブレイブがキャラクターの原案も変わり、

大きなセカンドコンテンツとなった音ゲーはコケ、

公開されるはずの映画もOVAに分散されている。

それに対してマギアフロッシュは2013年から現在に至るまで継続的にヒットを飛ばし、

特設のカフェや専門のショップができるまでに地位を確立している。


これはいったいどういうことなのか。



「完全に逆になってる、、、。りおちゃん、これはどういうことなの?」



「あたしもわかんない!なんか記憶が曖昧で、、、。でも、、こうなってくると少なからずお父さんも何か知ってることがあるかもしれないってことだから。ちょっと探ってみるよ!」


自分達が変えた過去に騙されそうになる現象が起きている。

逆に言えばそれだけ大きなことが起きているということだ。


気丈に振舞っているがりおの心境も穏やかではない。

なぜならラブレイブはりおの父親『桐嶋守』の最大のヒット作だったからだ。

そうなると、りおの周りや家庭内の環境が大きく変わってしまっている可能性も十分にあり得る。

3人は少し心配そうにりおを見つめる。



「ん??なになにどしたのみんなそんな顔して!あ、あたしは大丈夫だよ!別に全然!

別にラブレイブだけじゃないんだしさうちのお父さん。ははは!敏腕なんだからねー!」



「本当か?それならいいんだが何かあったらちゃんと言えよ。私たちがとった行動で色々なことが変わっ

 てしまっているんだ。こうなった以上はもっと慎重に考えて行動すべきだ」




確かにそうかもしれない。多かれ少なかれ過去を変えて今を変えるということは誰かの人生も変えてしまっているということになる。

良くも悪くもどちらとも考えられることだ。つまり、誰かの人生をとても華やかに変えているかもしれない。同時に、誰かの人生を崩壊させてしまっているかもしれない。


4人はそう感じていた。とはいえもう戻ることはできないところまで来てしまっているのも事実だ。

どこかで狂ってしまった歯車を知ってしまった以上それを見過ごすわけにはいかないのだ。

言葉が見つからず4人はその場に立ち尽くしていた。



ー その時だった。ー



マギアフロッシュ特設カフェから二人の男性が話しながら出てきた。



「しっかしほんとに神だよなーマギアフロッシュ。」


「あーほんとほんと。マギフロも神。洗崎さんも神。あの9人がラブレイブに使われてたらどうなってたと思うよ。

危ない危ない。見たくねーそんなとこ。」


「えーそうかー?俺は見たかったけどなーあのキャラでラブレイブ。

そうなってたら俺たちも今頃レイバーだったかもな」



「はははは!無い無い!」



4人は耳を疑った。キャラクターが違ってしまっていることを自分たち以外が知るはずが無い。

なのに何故。何かがおかしい。


真意を確かめなければならない。しかし見ず知らずの人にどうやって質問したらいいのだろう。

下手に聞いても新たに情報が漏れたら面倒なことになる。

しかし善は急げだ。ここで行くしかない。

りおは意を決して二人の元へ走った。


3人は止める間もなく走って行ってしまったりおを確認しつつ物陰に隠れた。


「あ、あのー、、お兄さん二人、、、」



「え?なになに?、、、ゲッ、、JK、、お散歩はいーよ。俺たちは行かないよ。」



「違います!ちょっと聞きたいことがあって。てかあたし中学生だし!」



「あ、、そう、、、なになに?」



りおはラブレイブ、マギアフロッシュ、そして監督やプロデューサーの生い立ちなどを事細かに聞いた。

ちあき、つばさ、きいの3人は少し離れた場所で心配そうに見つめている。



5分ぐらい経った頃だろうか、りおと男の3人は歩き出し、路地裏の建物へと入っていった。

その光景を目の当たりにした途端に急に焦り出す3人。




「つ、つ、、つばしゃしゃん!はは、はは、入っていっちゃいましたよ!!ど、ど、、どうしましょう!」



「ま、待て待て!そう焦るな!きっとすぐ出てくる!」




つばさも多少動揺しているが、りおはあー見えてダブルのソルシエだ。

なにかあってもどうにでもなる。

しかし30分経っても1時間経っても出てくる気配はない。



「つばさちゃん、、、」


「ああ。仕方ないな。行くぞ。」



中学生が男二人に連れられ建物に入り1時間以上出てこない。

これは完全に『事案』だ。

つばさは平静を装って歩いていくがその表情はもう憤りを超えている。

建物まであと数メートルのところだった。



「つ、つ、、、つばしゃしゃん!でで、で、出てきましたよ!」



急いで物陰に隠れる3人。

そして再び見張りを始める。




「いやー!ほんとにありがとう!ほんとにお礼とかいらないの?

 いやー感激だなーーー。写真もありがとうございました!

 サインまでしてもらっちゃって。大事にします!」



「い、いやいや、えへへ。。こちらこそありがとうござました。」



男二人は目を輝かせりおに手を振りながらその場をあとにした。

男が道を曲がり見えなくなった後に3人は急いでりおに駆け寄った。




「おい!りお!お前まさか、、

 おまえはバカだけどそんなことすると思わなかったぞ、、、

 いつもこんなことやってるのか?そのために秋葉原に行ってるのか!?」



「はぁ?なに言ってんのつばさ。」



「何っていまお礼とか写真とか!」



「ああ、情報を聞き出すためにあたしが『桐島守』の娘ってこと言ったの!

 で、それを証明するためにお父さんとの写真を見せたの!

 しかも最後<娘も有名になるはずだからって>私のサインまで求められて。

 なに変な勘違いしてんのバーカ。

 けど色々聞けたよ!根掘り葉掘りね!」



胸をなでおろすちあきときい。そして顔を赤らめるつばさだった。


パズルのピースが揃ったと自信に満ち溢れる表情のりお。

りおの提案で今日はいつものレーヴではなくいったん寮に戻って会議をすることになった。

なんでも、周りに人がいるところでは話ずらい内容らしい。

男達とりおがわざわざ路地裏の名もなき店に入ったのはそれが理由だったのだ。




寮へと戻って来た4人。そしてりおの部屋へと入る。


「さ、どうぞー!」


「、、、おい、、、なんだこれは、、、」



足の踏み場もないほど服やものが散乱し、座れないどころか前に進むことすらできないぐらいに散らかっている。

ある意味期待通りの部屋だがさすがにここで会議はできない。


「もういい!私の部屋に来い!」



つばさはそう言うと自分の部屋へと3人を招き入れる。

こちらも期待通りきっちり整理整頓されている。

無駄な物はなに一つない。少々女の子らしさに欠けるが、、、

机の横の壁になにやら貼ってある。


「つばさちゃん、あれってティターニ、、」



ーベリベリベリベリッ!ー


ものすごい勢いでポスターを剥がすつばさ。

「ぷッ」と笑うりお。知っていたのだろうか。

何事もなかったかのようにつばさは無言で会議スペースを作る。

共同リビングから椅子を持ってきて設置。これで完成だ。


正面にりおが一人座り、3人はそれを前方で聞くと言ったスタイルをとった。




「で、りお。あの二人からなにを聞いたのか。1から10まで全部話してもらおうか!」



「あったぼうよ!これできっと秋葉原が取り戻せる!」





りおは一体なにを聞いたのか。そして満ち溢れるその自信の根拠とは?





続く

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