33話 ー信じること ー
突如現れたバンシー・ルヴァンに一番驚いたのは他でもない西園寺だった。
現れる瞬間に発生した衝撃で、拘束されていたシルフとエルフはめいから解放されていた。
「バンシーちゃん!?なんで!?なんであなたがここに!?だってあなたは、、!」
「悪いなティータ。その話は後だ。そんなことより今はリベンジだろ。覚えているか?ここはあの日と、同じ場所だ。」
2008年、無敗のS4はこの街で最初で最後の『敗北』を喫した。
あの日から今日まで、
夢にも思わなかった4人の再会。
まさに今この瞬間に実現している。
「シルフ!エルフ!おまえらもやってくれるよな!」
戸惑いながらもバンシーの言葉に大きく頷く二人。
西園寺もとても飲み込みきれない状況に戸惑ったが、ゆっくりと立ち上がった。
バンシーは西園寺の目をしっかりと見つめた。
「ティータ、指揮をとってくれ。」
「え?」
「リーダーだろ。今度は逆らわねえぜ。無敵のS4ここにありだ。」
西園寺は思い出した。チーム最年少の自分が指揮をとり、世界中のプレットを討伐していたあの日々を。
機械のように育てられた自分にとって初めての友達ができた。
それがバンシーだった。
今なぜ彼女がここにいるのかわからない。
けれど確かに、今ここに彼女はいる。
「はい、、、いきます、、、!」
あの日から8年経った今でもS4の気持ちは一つだ。目の前の敵を倒すこと。
いつでも、どこにいてもそれは変わらない。
世界中の人々を魅了したのは、強さや華麗さだけではない。
彼女たちが互いを信頼し合い戦う姿そのものだ。
「フフフフッッ、光栄だなー。まさかあたしが天下のS4を相手にする日が来るなんてね。びっくり。
じゃあ、、全力で行かせてもらうわ。
さあ来な!負け犬ども!」
4人がは一斉にめいへ攻撃を仕掛ける。
動きが早すぎるため、右、左、上、また右と瞬間的に移動しているようだ。
それぞれ違う属性の魔法を使っているため、反応を起こし合い激しい爆発音が至る所で鳴り響く。
めいは攻撃を交わしつ攻撃を放ち互角に戦っているようにも見えるが、バンシーの攻撃がめいの体をわずかに掠めた。
「ハァ、ハァ、、さすがはS4、、思ってたよりやるねぇやっぱ、、。それに攻撃特化のバンシー。さすが、、。でも、、」
めいは一度攻撃を止めて気を溜めた。体からさらに黒いオーラを放ち始める。
そして4人へ次々と攻撃を仕掛け、その攻撃はバンシーの頬を掠めた。
「ほらね、一人のポテンシャルはあたしのほうが上なんだよ。」
一方でちあき、りお、つばさはその戦闘をただ目で追うことしか出来ずにいた。
今の自分たちにできることは何なのか。
それぞれが考えているが答えは出てこない。
悩んだ時も、何かを決める時も、いつも4人一緒だった。
ぽっかりと空いたその隙間。その隙間にいるべき大切な人は、いま敵として目の前にいる。
いずれにせよ、決断を急がねばならなかった。
そんな3人に気づいたのかバンシーは激しい戦闘の中、戦いながら全力叫ぶ。
「おい!!桐島りお!おまえの強さは光るものがある!その実力は一体いつのためにある!」
「武藤つばさ!おまえはティターニアの一番の弟子だ!師匠の前で恥ずかしい姿晒すつもりか!」
「国望ちあき!母親が誰でも関係ない!おまえはおまえなんだ!おまえがなりたいようになればいい!」
なぜバンシー・ルヴァンがそこまで自分たちの事情を知っているのかを考える時間は無い。
3人の中で何かが吹っ切れた。
バンシーのその言葉によって自分に決定的に足りなかったピースが揃った気がした。
そう。これは自分たちが招いてしまった結果だ。
どんな結末になろうとも自分たちで型をつけなければならない。
そして3人は奮起する。
「ちあき、りお、行こう。あいつを、『めい』を救うんだ。」
「あったりまえだぁ!待ってたぞーこの時を!」
「うん。わたしたち、いままで何をしていたんだろう。どんな状況でも戦い続けるって約束してたのに。この先も、ずっとずっと先も4人で笑っていたい。」
ー シャーーーーーーンッッ!! ー
3人は一斉にソルシエの姿へ変身をした。
道を切り開くのは自信と勇気。
いつだってそう心に誓って戦ってきた。
そして言葉にこそしなかった、自分たちの熱い思い。
それは、
ー 私たちは強い。 ー
不確かに心の奥で揺れていた言霊の光は、
この瞬間、確かな自信と勇気の光へと変わる。
続く




