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魔法少女☆ソルシエ  作者: Rio.K
32/38

29話 ー たった一つの正解 ー (後)



もう全て分かった。微々たる隙も許されないため何度も確認を行った。

父を救うために必要な人物やシチュエーションを事細かに書き記す。


「桐嶋りお、、国望ちあき、、武藤つばさ、、、

あー、、あと藝淑桜子。

それから、、」


必要な駒を揃え、


「上原信之、、で、、ブリリアントに行って、、、、で、、街を取り戻す風に見せて、

、、、で、、、アイドルに視線を移させる、、、」



順序は間違えず抜かりなく、



「んー、、、、あ!国望ちあきのキーホルダー使える、、、あとは、、、

途中でパパに会っても絶対に目を合わせない、、、泣かない、、っと。

それからぁ、、、、。ここで一回あたしが死んどけばきっと、、、、」


いかに自分以外の力を巻き込み事を進めていく。

そうする事で、



「よし、、で、、そしたらこいつらは桐嶋守に会いに行くはず、、、。で、、、藝淑で、、安井で、、、

。あー、でもこうなってあーなったらー、、、ん〜〜〜、、、、 」



桐嶋りおを追い込むことができる。

万が一失敗しても、またやり直せばいい。



「パパ、、、、待っててね、、、、。」




そして今まで以上の渾身の思いを込め、最後の時間遡行へと旅立った。





ー 、、、ャー、ギャー、、、オギャー、オギャー! オギャー!ー



赤子の鳴く声が遠くから聞こえ、徐々にそれが近くなってくる。



「生まれた!生まれたぞ!おまえ、、、やったなぁ!、、ん?あれ?もう一人の、、、」



目の前で繰り広げられる見覚えのない光景。

一体これは何なのだろう。

めいの視界は白く霞んでいてうまく状況を把握できない。



ー 何かが、、誰かが、、生まれた? ー




「残念ですが、、」



「そんな、、、そんなぁ、、、、なんでェェェェ!」




ー なに?何がどうなってるの?誰が死んだの? ー



時間は刻々と進み、やがて病院を出、どこかの家の一室に景色は切り替わる。




「あなた、名前、どうしましょうか、、。」



「自分と引き換えにぼく達に命の大切さを教えてくれたあの子に、『めい』。

 そしてそれを忘れず共に生きれるようこの子は『きい』。これでどうかな、、。」



ー あたしが死んだ?じゃああたしは誰?きい?どういうことなの、、? ー



めいは困惑していた。しかし時が進むにつれ徐々に意味がわかってきた。


自分はめいの双子の妹、『きい』として出生した。

理由はおそらく、変えられない運命を幾度となく捻じ曲げたことによって生じたわずかな歪み。

その歪みによって洗崎護生存の軸を作り出した。

しかし護が生き残るには、実の娘の死という代え難い代償が必要となる。

となるとめい自身の意識の行き場が無くなってしまうことになる。

飽和状態になり、この世に無いはずの量子となっためいの意識は宇宙の法則を乗り越え、

『洗崎きい』という別の人間を作り出した。



ー ここだ。たどり着いたんだ、あたし。 ー



めいはすぐに『きい』として生きていく事でどんなメリットとデメリットがあるかを冷静に考え、

それをすぐに計画に反映した。

両親が離婚する際、涙を飲んで母に着いて行った。

その方が父との関係をちあき達に隠しやすくできるからだ。


もし協会の最新鋭の技術と魔力で、数多ある世界線から『洗崎めい』を捜索されていたとしても、

『東山きい』のデータはあるはずがない。



「き、、きいです、、、。んー、だーめだ、まだ魔力がどうしても閉じ込められない。

 ひ、ひひ、東山き、ききき、きいですぅ、、、、。だめ、、まだ出てる、、。もっと練習しなきゃ。」




今までとは違う、明らかに違う。信じて進むしか、道はない。



ー くるっくるのパーマにしてください! ー



ー すいません、これよりおっきなメガネありませんか?? ー



ー お母さん、あたし、シャルム学園に行きたい。ー




全ては、大切な人のため。理由なんてそれだけで十分だ。

自分はどうなってもいい。だから、、必ず、やり遂げてみせる。



<キーンコーンカーンコーン>


ー はーい!じゃあ一人ずつ自己紹介しましょう!シャルム学園でお友達100人作りましょうねー! ー

じゃあ、まーずーさーいーしょーはー、、、

東山きいちゃん!いってみよう!ー



「ひゃひゃ、ひゃい!!ひ、、ひひひ、、ひがしやま、ま、ままま、きき、、きい、、、きいでしゅ!お、、おねがい、、ししし、、しましゅ!!」







続く

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