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魔法少女☆ソルシエ  作者: Rio.K
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25話 ー 桐嶋守という男 ー


突然のりおの提案により、禁じられていた時間遡行を実行した3人。

きいが生きる未来を目指し全身全霊を込め計画へと臨む。


2004年の秋葉原へ到着後、3人は程無くしてりおの自宅へとやってきた。


父親の部屋を窓越しに覗くと、そこには幼い頃のりおと、父親の「桐嶋守」が何かを話しているところだ。


りおの手には お祭りでよく見かけるヨーヨーが結びつけられている。



「あ、、、あたし覚えてる。この時は確か、、、近所のお祭りに行った後にお父さんと、、

 えーと、、んーと、、、確か、、これから作るアニメの話をしてたんじゃなかったかなぁ、、? 」



りおはなんとなくうろ覚えな過去の記憶を思い返す。

そうこうしている間に子供りおが守の部屋から出て行ったのが見えた。


しかしここからどうするのかは全くのノープランだ。

なにしろ作戦を練る時間など毛頭無かったのだから。


3人はしばらく部屋を眺め考えていたが、突然りおが口を開いた。




「あたし、、、ちょっと行ってくる!」




「はぁ?行くってどこへ!?」




「どこって、お父さんと話してくるんだよ!」




「バカかおまえは!いま子供のりおと話したのにいきなり大人のおまえが行ったらめちゃくちゃだろうが!」




つばさの言う通りだ。いくらノープランとはいえもう少しマシな選択肢がありそうなものだ。

しかしもうその余地がない。おまけに時間も無い。

ちあきは激しく言い合う二人を見てただ慌てるしかなかった。




「大丈夫。『いま子供のあたしと話してたから』行くんだよ。」




ちあきとつばさはりおの突拍子もないアイディアに普段なら反対をしそうだが、

今回ばかりは任せるしかないのが現状だった。




「りおちゃん、、、なんかあったら必ず知らせてね、、。もしかしたらプレットが、、」




「うん!わかってる!じゃあ、、、行ってくるね!」




りおはそう言い残し一歩一歩家へと近づいていく。

そしてあと少しのところで立ち止まり、転送魔法で部屋の中へ入っていった。



部屋には守が一人。書斎の机へ向かっているところだった。

りおが部屋の中に入った直後、守は背後に気配を感じ勢い良く振り返った。

するとそこには見知らぬ少女が立っている。


一瞬言葉を失う守。だがすぐに正気になり、りおへ話しかけた。




「だ、、誰だ君は!いつのまに?どこからここへ!?」



当然のごとく守は困惑している。突然知らない少女が自分の部屋にいる。幽霊にしてはハッキリ見えている。

明はすぐに近くにあった電話を手にとろうとした。



「待って!あたし、、りおだよ!信じてもらえないかもしれないけど、、

 お父さんに会いに12年後の未来から来たんだよ!」




「はぁ、、?ちょっと君、、それは無理があるなぁ。あのねぇ、勝手に人の家に入ったら不法侵入っていう、、、」




外で会話を聞いてるつばさとちあきは『やっぱり』と頭を抱えていた。

りおのことだからすぐに信じてもらえると思ったのだろうと、

つばさは少しでいいからもっと作戦を練るべきであったことを後悔した。




「待って。お父さんたち、今日お祭り行ってきたんだよね?」




「あ、ああ行ってきたが、、、。て、なんでそんなこと知ってるんだ君が!?」




「覚えてるんふぁよ。お祭りで取ってもらったヨーヨーを持ってあたしは寝るために自分の部屋に行くけど、

今からお腹が空いて冷蔵庫のヨーグルトを食べていいかどうか聞きに来るはず。だからいったん隠れるね。」



「お、おい!君!」




そういうとりおは守の部屋のウォークインクローゼットに入り姿を隠した。

するとその数秒後に子供りおが守の書斎へ入ってきた。




「ねーねーパパ、、お腹すいた、、。冷蔵庫のヨーグルト食べてもいい?」




「え!?あ、、、、あ、ああ、、、食べてもいいよ!はは!食べ過ぎはダメだぞ?ははは。」




「んー?なんか変なパパ。」



そして子供りおは守の書斎を出て行った。

それを確認したりおはクローゼットの中から姿を現した。

先ほどよりも困惑している様子の明を前にしてりおはすこしだけ強気で言った。



「どうかな?これで信じてくれたでしょ?」



「え?あー、、、い、、いやいや!君がりおに何か吹き込んだのかもしれないじゃないか!」




なんとも疑い深い父親だ。ファンタジーなアニメを作っているとは思えないくらいリアリストだ。

しかし実の娘からすれば、父親に自分の存在を信じてもらえないのは実に不思議な感覚だ。

ちあきもつばさも終始心配そうに見つめているが、りおは二人をみてニコっと微笑んだ。




「はぁ、、、用心深いなぁ、、。そんなこともあろうかともうひとネタありまぁーす。

このあとここ周辺は停電になります。そしてあたしはもう一度ここに来るけど、

その時ママも来まぁす。」



そう言ってりおは再びクローゼットの中へ。

守はさらに戸惑いを見せる。



「、、へ??そ、、、そんなことが、、、」




その時だった。部屋の電気が突然消えた。

守は急いで窓から外を確認する。『見知らぬ少女』がブレーカーを落とした可能性があるからだ。

ブレーカーを見て落ちていないことを確認し、もう一度窓の外を見る。

確かにここだけでなく周りのうちも皆停電しているようだ。


「そ、、そんな、、、!」


そして書斎のドアが開き、半泣き状態の子供りおと、りおの母親が入ってきたのだ。


停電は5分ほどで解消され、子供りおと母親それぞれの部屋へ戻っていった。


りおがクローゼットから姿を表し、守の前へ立つ。

そして守はついにその少女がりおであることを信じ始めた。



「きみは、、、本当に、、、りお、なのか?」




「だーかーらー、さっきから言ってるでしょーりおだって。」



さきほどの疑い深そうな表情とは打って変わって、

子供のように目をまるくさせりおを色々な角度から凝視する。




「あ、、、ああ、、よく見たらちゃんと面影が、、、。しかも、目の下のほくろも、、!」



「ちょっとあんまじろじろ見ないでよぉー!恥ずかしいよ!」




ちあきとつばさは外でほっと胸を撫で下ろした。

ただここからが正念場だ。いかにして桐嶋守の『仕事』へ言及するのか。

そしていかにその方向を曲げられるかどうかが勝負だ。




「あのねお父さん。一個聞いてほしいことがあるの。あと、一つお願いがあるの。」




「ああ!かわいい娘の頼みだ!なんでも言ってきなさい!」




大きくなった娘に感激しているのだろうか。

もはや大人であることも忘れてしまうほど興奮している様子だ。


そしてここぞとばかりにりおは思いの全てを守へぶつける。

12年後がどんな世界になっているか。アニメ、秋葉原、そのほか世論について全てを話した。



大切な友達であるきいの死のことも話した。



話し終えたあと守はすこし考え込んでいたが、すぐに整理がつき話し始めた。




「するとー、、簡単に言えばこういうことかな?

未来では僕の担当したアニメが主にアイドルアニメで。

そしてそのほとんどがヒットする。それが発端で世界を良からぬ方向へ変えてしまっているということだね?

で、それをそっくりそのまま無かったことにしたいと。こういうことかな?」



どうやらバッチリ理解してもらえたらしい。限りなくザックリではあるが

的を射てることは間違えない。




「そう!そうそうそう!さすがお父さん!バッチリ!それでね、、、もう一個お願いが、、、、」




「、、僕にアイドルアニメを作らないでほしいんだね?」




守はりおが打ち明ける『お願い』を先読みし先手を打った。

その表情にはわずかながら笑みが感じ取れる。

父親だからこそできる早業だった。


守本人からすれば到底『まだ見ぬ未来』だ。

正直なところ何とも言えないはずなのだが、

自分の実の娘がわざわざ未来からやってきたことがわかったのだ。これは穏やかではない。


しかし、守の口から出て来た言葉は、少々意外なものだった。



「うん、、。娘の頼みだ、、。僕個人はそうしたいよ、、。だけどね、もうこれは僕だけの問題じゃないんだ。

多くの大人たちが関わっている一大プロジェクトなんだよ。」




「え?一大プロジェクト?あ、、、そういえば、、お祭りのあとにお父さんは確か、、、あ、、、あたし、、、」




「その様子だと、思い出してきたかな?そう、僕はある人物からアイドルアニメ文化の普及を提案されたんだ。

僕のとても大切な人から。僕はその輝く瞳の向こうにとても大きな未来を感じたんだ。

だから僕は死に物狂いでプロデューサー界の大御所、『保井元』とのコンタクトを成功させた。

彼とはたくさん話した。そして10年かけて『アイドル文化』と『アイドルアニメ文化』を反映させ、

言わば内外の相乗効果で『アイドル』を絶対的な地位まで向上させようというところまで話は進んで、

今そのプロジェクトの真っ只中だ。

きみはもう気付いているね。

僕に最初に提案した人物、それは、『君』なんだよ。りお。」



「そんな、、、」



りおは言葉を失った。目の前が一瞬真っ白になった。

まさかこの悲劇の発端が、幼い頃の自分の発言だった。


『秋葉原が変わってしまったこと』『様々な事件が起きたこと』



ー きいが死んでしまったこと ー



すべては自分の無責任な発言のせいだった。


りおはしばらく黙り動けずにいた。

一体なんと言えばいいのだろう。

父にも、ちあきにもつばさにも。そしてきいにも。


いつもの剽軽なりおはもうそこにはいなかった。


それでも、自分には必ずやりとげなければいけないことがある。

その第一はきいの命だ。

まだ取り返しはつくはずだ。



ー そのためだったら、何だってする。 ー




「、、、うん、、、、。でもあたし、、、未来を変えたい!変えなきゃいけないの!自分が言い出したことだけど、、、でも変えたい!だからお願い!

お父さん!そのプロジェクトから外れてほしいの!」



必死に訴えるりおの姿を真剣な表情で見つめる守。

すると守は書斎の机の引き出しからメモを取り出し、何かを書き始めた。

そしてそのメモをりおの手に託す。




「りお、これは安井さんの会社の住所だ。おそらくこの時間ならまだ事務所にいるはずだよ。

僕が行くより君達が行ったほうがいいだろう、、。君は、、不思議な力を持っているようだしね。

僕からは中止に至った内容をまとめてコンタクトをとってみるよ。」



そういうと守はにこりと笑い、りおの肩を叩いた。




「お父さん、、、ありがとう、、、、。ありがとう!」



りおは大きな声をあげ、守に抱きついた。




「お、おいおい、、、嬉しいけど、、今ママが来たら大変なことになっちゃうぞ?」



それもそうだ。自分の夫が見知らぬ中学生と書斎でイチャイチャしてたら大惨事だ。


守は快くりおを送り出してくれた。

りおも笑顔で父親に別れを告げる。「12年後にまた会おう」。

その言葉を残し、りおは桐嶋邸を後にした。


書斎に残った守は一人、大きくなった娘の姿を思い返していた

娘を思い、自分の描いた未来を願い、決断した一大プロジェクト。

それが奇しくも同じ娘によって打ち砕かれてゆく。


そして、


「あの制服は、、、、シャルム学園、、、。噂は本当だったのか、、、。

よーし!これからもっといい作品を作るぞ!!

アイドルじゃない、それに代わる何かを探さなければ!」




桐島守。彼は類稀な才能を持った人間だ。一つのコンテンツに頼らなくとも、その確かな腕と底知れぬ情熱によって作品に『魔法』をかけることができる。

りおが優秀なソルシエになれたのは、その魔法が一役買っているのかもしれない。

きっとこの先も、そのさらに先も、彼はその名前を轟かせるだろう。

同じ魔法を心に宿した『洗崎護』と共に。




続く

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