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魔法少女☆ソルシエ  作者: Rio.K
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19話 ー洗崎護という男ー



「げいしゅく!?藝淑ってあのとなりのクラスの藝淑桜子!?なんで!?」



「まあ慌てるなりお!落ち着いてしばらく見てみようじゃないか。」




りおは慌てふためいていた。理由は一つだ。

顔を合わせればいつもりおに食ってかかってくる桜子なのだが、今確認できる彼女は信じられないほど穏やかな笑顔をキメ込んでいるのだ。もはやいつもとは別人だ。


藝淑桜子の名を知らない者は学園ではおそらくいないだろう。

ダブルSという類い稀な実力もさる事ながら、りおが留学から戻るまでの2年間は中等部たった一人のダブルS。不動の地位を確立していた。


よって、りおが戻って来たことによって自分への視線が分散されてしまったのをとても嫌っている。


しかし未だ藝淑派のソルシエが多いのは、彼女が「時空魔法」の使い手というのが理由だ。

さらに言えばシングル以上のソルシエ、そしてソルシエールにおいて、時空魔法を使いこなす者は世界的にかなり珍しくもある。

彼女はそれを自覚していて、余程の自信があるのだろう、性格的にはかなり問題ありだ。



「あ!見て!どこかに行くみたいだよ!」



ちあきの声で3人は再度注意を払い、洗崎と桜子の動向を見守る。


およそ10分ぐらいだろうか。二人は海岸沿いにある小さなレストランへと入っていった。

4人はそれを確認すると今後の作戦について話し合うい始める。




「さーて。で、どうすんのこれから。ぜっんぜん予想外だよ!あたしたちがここで何かして、仮に桜子に見つかったら絶対学園にチクられるからね!」



「ああ、確かにそれは当たっている。だが一つわかったことがあるぞ。」




つばさは何かを確信したような笑みを浮かべていた。




「ちあきにキーホルダーを送りつけた人物、藝淑かもしれん。」



3人は一瞬戸惑ったが、その言葉にちあきよりも早くりおが反応する。




「な、なんで!?どしてどして!?」



「ちあきがキーホルダーを落としたのはほぼ確実にブリリアントのオフィス内だ。

それはその後の洗崎の活躍と実績を見れば明らかだ。

だからまず、送り主はブリリアントに関わり、もしくは周辺の人物に関わりがある者だ。

そして封筒に書いてあった宛名に寮の住所と部屋番が書いてあったのを覚えてるか?

寮の住所は公開されているが、誰がどこの部屋番かまでは公開されていない。

つまり、学園内の者しか知りえないんだよ。

以上を考慮して今一番怪しい人物、、、。奴しかいない、、、。」




考える必要すらないことだった。なぜならもう目と鼻の先にその人物がいるからだ。


あくまでもつばさの推測ではあるが信憑性はかなりある。

さらにつばさ曰くもう一つ重要な情報があるらしい。




「でもなんで!?なんで桜子がそのんなことを!?」




「あー、それはな、ちゃんと真っ当な根拠があるんだ。おまえが留学に言っている間の話なんだが、、、」




つばさはりおが留学している間の「秋葉原改変作戦」において、様々なことを調べていた。

いつものように秋葉原の近年の記録を調べていた時のことだった。

秋葉原再開発『反対派』による集会の記録があった。なぜそんなディープなことを覚えているのかといえば、地権者が名前を連ねる中、組織のリーダーで秋葉原の大地主である人物がシャルム学園生徒の父親だったからだった。



その大地主の名前というのが、



「藝淑城太郎。藝淑桜子の父親だ。」



「はっはーん、、、なーるほーどねー」



「理由は不明だが、藝淑家を筆頭にその他関係者たちは秋葉原の発展を望まず、再開発を阻止したかったようなんだ。

最終的には丸め込まれて、再開発は実行へと移ったのだが、秋葉原の中央に住居マンションを建設するという条件付きでの承諾だった。

であればだ。桜子にとってこれ以上秋葉原をいじくり回されるのは非常に面白くないはずだ。

私たちの計画を潰しにくることや、りおを敵対視することにも辻褄が合う。」




4人は、これで点と線がつながったように感じていた。

ようやくこの物語の全貌が見えそうな気配がしている。

4人は数年間の苦労を思いながら、洗崎と桜子のいるレストランに視線を送る。



「ぁ、、ぁぁふ、ふたりが、、出てきたで、、、でしゅ、、、、」



間もなくして2人はレストランから出てきた。

どうやら桜子には迎えの車が来たらしい。

洗崎も近くの駐車場に車を停めてあるのでそこに徒歩で向かうようだ。



それを確認したつばさはとっさにある提案をした。




「みんな、ここは二手に分かれてやつらを追おう。組み合わせはー、、、」



「グットパでいこうよ!」



つばさが思わずいつものりおつば、ちあきいでいこうとしたのだが、

りおが突拍子のない提案でグットパで決めえることになった。



ー 最初はグー!グットッパ!! ー



そして決まった組み合わせは、りお&きい、ちあき&つばさ。

見事に『懲罰合宿ペア』の復活だ。


どのペアが誰を追うかは、つばさの判断で前者が洗崎、後者が桜子となった。

その理由はりおがは桜子に思いっきり顔が割れているからだ。

もちろんりお以外の3人も面識はあるが、変な気配を察知されないよう念のためそうしておくのが無難だ。



ちあきとつばさはタクシーに乗り込み桜子の車を追った。


一方りおときいは歩く洗崎を徒歩で追う。

そして10分ほど歩いたところで洗崎は駐車場で車に乗った。

それを確認したりおときいもタクシーに乗り洗崎の車を追う。




「ねえねえきい、あたし一度言ってみたかったんだよねー。『前の車を追ってください!」てさー。」



「しょ、しょなんでしゅね、、、」




案の定なんの緊張感も無く呑気なりおに対して、きいはというと緊張の面持ちだ。

そんなきいだったが、しばらくするとうつむいていた顔をそっと上げ、ゆっくりと口を開いた。




「り、りおしゃん、、、」



「んー?どうしたー??」




「しぇ、しぇんじゃきしゃ、しゃんのこと、、、りお、りおしゃんのお、お父しゃんに、、なにかき、、聞け、、ないのでしゅか?」



洗崎はかつてりおの父『桐嶋守』と度々タッグを組んで作品を発表し続けていた仲だ。

彼しか知らない洗崎の情報があるはず。

尚且つりおにとっては肉親であるため、情報を伺う上でリスクが少ない。

それを利用しない手なは無いはずなのだ。

しかしりおは微妙な反応を示した。




「あ、あー、、ははは、それができればとっくにしてるんだけどね。。お父さん今例のほら、

 ラブレイブの件で相当大変みたい。元々そんなに家にいる人じゃなかったんだけど、

最近はほとんど家に帰ってこないで仕事してるみたいなんだぁ、、、。」



「しょ、しょうでしたか、、、。しゅ、、しゅみましぇん、、、。」




「ははは、いいよいいよ気にしなくてー。」




自分たちのしてきたことで秋葉原は元に戻りつつある。

しかしよくよく考えれば大きな犠牲を払っていることは事実。

桐嶋守の実績やステータスだ。

これは家族のりおからしてみればかなり影響が出ているはずなのだ。



「なんかでもさ、、たまに怖くなるんだよね、、。秋葉原が元に戻っていくのは嬉しいんだけど、

考えすぎだと思うんだけど、例えば秋葉原を変えてしまった大きな要因が洗崎護じゃなくてお父さんにあるとしたらとか、

もしそうだとしたら私たちはお父さんを、、、んー、、色々考えすぎか!ははは!」




「り、りお、しゃん、、、」



そうこうしてる間に洗崎の車が停車するようだ。

洗崎は再び駐車場に車を停めている。



「あ!止まるよ!止まるよ!えーっと、、、ここは、、、あれ?なんかどっかで、、」



「ブ、ブリリアントでしゅ、、、、」



「なな、なんと!でもなんで!?退社してるのに??」



まさかブリリアントに来ると思ってはいなかった二人。

そしてその一瞬の隙に洗崎から目を離してしまった。

車にはもういない。しかしブリリアントの社内にいるのはほぼ確実だ。


と同時になにか核心に迫れるかもしれない期待感がこみ上げてきた。

キーホルダーのことや例のミラクル☆ソレイユ騒ぎのことも知れるチャンスだ。



とその気だった。



ー ポンポン、、、ー



りおは後ろから誰かに肩を叩かれたのだ。嫌な予感だ。場所的にもデジャヴだ。

そしてその予感は的中する。




「あのー、君たち?」




ー 洗崎護ぅぅぅ!しまった見つかってしまった!!! ー



二人は心の中で叫んだ。必死に平静を装うとするが洗崎はさらに質問をしてきた。




「君たち僕のことお台場からずーっとつけてたよね?どうしてかな?しかも君たちのその制服は、シャルム学園の子達だね。」




「いやぁ、、、わたしたちそのーー、、ミラクルソレイユの、、、、」




「ははは、大丈夫だよ。尾行が下手なシャルム生。さては君たちだね?15年前にここに来て

動画に落書きしたりキーホルダーを置いていった『魔法少女』は。」




ー え?いまなんて、、、? ー




二人は耳を疑った。疑ったなんてもんじゃない。自分たちが魔法少女であることを一般人は知りえない。


もし知られてしまったのならそれは、魔法史史上始まって以来の大惨事だ。



続く

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