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魔法少女☆ソルシエ  作者: Rio.K
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18話 ー宿敵ー


合宿を含めた、5日間の停学を終えた4人。

となれば今日は5日ぶりの登校だ。


朝ごはんの、目玉焼き、サラダ、スープ、パン。

そんなごく普通の食事がどれだけ幸せであったかをたった3日で感じることができた。

それはまるで、死の淵を体験したあとに「生きるって素晴らしい」と感じる心理ととても似ている。


3日間家を空けたことを忘れていたりおは、ふと思い立ちポストを確認する。



「わー、、結構たまってるなー。。んー、、?これはぁ、、、」



「あ、りおちゃんまた!ほんとりおちゃんはモテるねー。いいなー」



中等部でわずか2人しかいないダブルSのソルシエであるりお。

それだけで周囲の注目が集まるのだが、その気さくで少々ボーイッシュな性格からなのか学年上下関係なくとにかくモテる。

りおのポストにはいつの間に入れていくのか不思議なぐらい、度々ラブレターたるものが投函してあるのだ。



「全然よくないよー、、、。あー、、こういう時だけは女子校に入ってしまったことを考えさせらるなぁ。。共学だったらいまごろ、、、、。」



「なにを言ってるんだ馬鹿者。女にモテれば男にもモテるというわけではない!調子にのるな!」



こういう時もつばさは限りなく的確な注意をする。

男ウケと女ウケは違うものだ。もともとお調子者のりおだが、つばさがいなかったらこれ以上だっただろう。



「はは、、、はははは、、、。あ、そうだわたしもポスト確認しなきゃー、、あはははー、、、。」



そういうとちあきは自分のポストを確認し一通の手紙が入っていることを確認した。すると一通の手紙が入っていた。

宛先を記入していないところを見ると直接投函したものと思える。

そしてちあきはその中身を3人に気づかれないように確認した。



ー は!ぁ、ぁぁ、、、これは、、、、 ー



ちあきが何かに驚いてる様子も知らない3人だったが、つばさがなにかを思い出したようにきいへと話しかけた。



「そういえばきい、合宿前になにか考えがあるようなことを言っていたが、あれは何だったんだ?」



「ぁ、、ぁあ、、きょ、今日のひ、昼休みにでもは、話ましぇんか、、、」



ここに来てもまだタメるきいに、つばさとりおは顔を合わせて首をかしげた。

もうすでに登校時間ギリギリであったため、かなり気になりつつも通学路につく。


りおはポストの前で動かないちあきを呼び、再び歩き始めた。




「おーい!行くよーちあき!なにしてんのー!」



「ん!ぁ、ああ、そ、そうだねーー!!」




ー キーンコーンカーンコーン♪ ー



午前の授業が終わり、待ちに待った昼休みだ。

昼休みといえば、急いで購買へと走る者もいれば、作ってきた弁当を教室内で披露し合う者もいる。

そんな中ちあきたち4人は購買組だ。いつもはお目当ての数量限定チョコメロンパンが売り切れないよう

4時限目が終わった途端に凄まじい速さで走り出すのだが、今日はその人の波に巻き込まれて時間がなくならないように4人はコンビニでおにぎりやパンなどを買ってきていた。


特にこれといった会話もないまま4人は屋上へと向かった。



「で、きい。考えとは一体どういうものなんだ?」



つばさは早速切り込む。よほど気になっていたのだろうか、つばさは珍しく身を乗り出しきいの目を見つめている。



「ぇ、、ぇえっとでしゅね、、、ゴニョゴニョ、、、、ゴニョ、、、、」




きいの滑舌の悪さは周知の通り。よって要約を挟む。



『いままで自分たちは幾度となく過去の秋葉原へと向かって秋葉原改変を目指したが、

なにをどうやっても微々たる結果しか得られなかった。しかしここにきて、前々回の秋葉原作戦の時を境に明らかに流れが変わった。それはおおよそ半分本来の姿を取り戻した街の様子を見れば一目瞭然。

何によってその結果が齎せられたかはまだ定かではないが、少なくとも「制作会社ブリリアント」に目をつけてから急ピッチで事が進んだように思える。


ひいては、偶然ではあるがアニメ監督『洗崎護』に華を持たせたところ、今までとは比べ物にならない結果だ出た。

それなら、試しにまたさらに洗崎に華を持たせてみてはどうだろうか。

もし仮に洗崎が大きな鍵を持っているとすればまた何かが変わるはず。


しかしながら、一度懲罰を受けている以上は慎重に動かねばならない。これ以上何かやらかせば退学もありうる。

 

以上を考慮した結果、時間遡行は最後の最後にあと一度だけ(できることならしないほうが良い)。それまでに米山の事前調査や身辺調査で着実に真相への間合いを詰めていってはどうか。』



 というのがきいの考えだった。


 話を聞いた3人はそのあまりの秀逸なアイディアに思わず拍手が出た。




「す、すごいよきいちゃん!」



「さすがきいだね!そーゆーとこ昔からすごいいよねー!ずるい!」



「おまえのその分析能力、羨ましい限りだ。」




きいは魔法のレベルではそれほど高くなく、滑舌こそ悪いが昔から空間把握能力と状況分析能力に長けている。

それもあってか、4人の中で何か問題が起こりそれが煮詰まってくると、最後には必ずきいがどこからともなく解決策やアイディアを持ってくる。

それによって4人は何度も試練を乗り越えてきたのだが、やはりここに来てもきいのその能力は大いに生かされることになった。




「は、はい、、でしゅのでま、、まじゅわ、、、しぇ、、しぇんじゃき、ま、まもるを、、

探るこ、ことがしぇん、しぇんけちゅ(先決)だと、おもいましゅ、、。」




3人はきいの意見を尊重し、放課後さっそく洗崎を尾行することが決定した。




「よーし!みんなー、、、、、」




ー おまえたち、こんなところで何をしている。昼休みはとっくに終わっているぞ? ー



突然後ろから聞こえるドスの効いた声に驚き振り返る。そこには鬼の目をした西園寺が立っていた。




ー キャァァァァァ!!すみませーーん!!!! ー



4人は足をタイヤのようにグルグル回し走り、教室へと戻っていった。



「あいつら、、、、。」


西園寺は不穏な表情で4人の後ろ姿を目で追っていた。





ー そして放課後 ー




「ちあきーどお?洗崎護の調べはついた?」



「う、うん!さっきちょっと調べたんだけどね、今は所属じゃなくてフリーなんだって!

ちなみに今日はもうすぐやるイベント登壇のリハーサルでお台場にいるみたい。」




ちあきの素早い調査で4人はすぐにお台場へ向かう。


普段お台場など滅多に行かない4人だったため、到着後1時間ほどあたりを歩き回った。

レインボーブッリジの見える海岸、フジテレビ、実寸大ガンダム。

THEお台場的な景色を堪能したあと、流れるように洗崎のいるダイバーシティへと到着。


そして関係者通用口が見える近くの物陰へとスタンバイする。




「ねーねー、やっぱなんかこういうのってドキドキだよね?」




「馬鹿者!集中しろ!見逃したらどうする!」




4人は通用口から出てくる人間を一人残さず確認する。

ちょっとでも似たような風貌の者がでてこようものなら、心臓が倍ぐらいの音を立てて鼓動しているようだ。


今か今かと待ち構える4人。そしてその時は訪れた。



「あ!ねえねえ!あれじゃない?絶対そうだよあれあれ!」



かき集めた写真頼りではあるが明らかにそれと一致する人物が出てきた。

その洗崎と思わしき人物はあたりを少し見回したあとに、通用口への外へと歩き出した。

そして出口を出た先で立ち止まり、再びあたりを見回している。



4人が固唾を飲んで洗崎の動向を伺っていたその時だった。

洗崎が誰かに手を振っている。その視線の先には、なんとシャルム学園の制服を着た一人の少女の姿だ。




「え!ちょっと待ってあれ、誰??うちの制服じゃん、、、。」



「おいちあき、洗崎の家族構成は?」



「うーん、、娘が一人いるとは書いてあったけどー、、、、」




予想外の展開にすっかり気が動転してしまう3人であったが、きいは冷静だった。

なんと双眼鏡まで持参していたのだ。


「ぁ、ぁあれは、、げ、げいしゅく、、しゃんでしゅ、、、」



「げいしゅく!?藝淑ってあのとなりのクラスの藝淑桜子!?なんで!?」




シャルム学園3年 藝淑桜子

中等部に2人しかいないダブルSのソルシエの一人。りおを目の敵にしている人物だ。


続く

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