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sideA  作者: lui
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4話

俺の名はサ・バーブ。

たくさんの女を救ってきた。

ただの一度も男を救った事はない。

男は嫌いだ。

男を好きな男なんてマイノリティだ。

女が好きだから、救う。

ただそれだけだ。

この前なんかも・・・、

「ねえ、おじさん。」

そう、あれは美人じゃないけど愛嬌のある、

「紫のおじさん。」

どこからか声がする。確かに俺は紫のジャケットを着ているがおじさんじゃない。

「足下見てよ紫おじさん。」

女の話をやめ足下を見てみる。

白い髪。大きな赤い目。

「やっと気づいた。さっきから話しかけてるんだけど。シカトしないでくれる?」

背は俺の腰より低い位か。小さな白い生物がそこにはいた。

女の子・・・?

「なにボーっと見てんのよ。突っ立ってないで、しゃがんで私の話を聞きなさい。」


それが彼女との出会いだった。



彼女は言った。

「色んな所で女の人を助けてる紫ジャケットを着た男がいるって話を前聞いてたの。そしたらあんたが見えたからもしかしてって思って。ねえ、私を助けてくれない?」

俺は女を助けてきた。しかし女の子は専門外だ。さっさと家に帰れ、そう伝えた。

「家に帰れるなら帰ってるわよ。帰れないの。私。迷子。」

迷子の受付は迷子センターに行ってほしい。

「そんなもんこの国にはないの知ってるでしょ。ていうか、私この国の人間じゃないの。」


彼女の話を聞くと、ある国から電車に乗ってきたらしい。が、その道中で親とはぐれ迷子になってしまったと。

行くあてもなくフラフラしていたところ、今に至るとの事だった。

親とはぐれたって、電車じゃなかったのか?

はぐれるにしても国をまたぐなんて。

「一人で電車の中を探検してたら放り出されたのよ。あの電車欠陥だらけでしょ?それに行く先も教えてもらってなかったの。だから、とりあえず家まで送ってよ。」

電車。世界中を横断していると聞く電車だが、あの電車には欠陥がある。

運転手が雑なのだ。

ドアの開閉等は運転手が行うが、そのドアが全て同じ出口に繋がっているとは限らない。

一両目の出口と二両目の出口で到着する国がまるっきり違うこともある。

それだったら良い方で、稀に隣の両に移ったら外だった、ということもあるらしい。

なんというあり得ない電車。

それが世界をつなぐ唯一の電車、「ヨグ・トース」である。

「ね。その珍しい事故の被害者が私。で、子供だから国の外も危険でしょ?あなた腕が立つのよね?噂は聞いてるわよー。紫ジャケット。だからお願い、助けて。」

どうするか・・・。

育てば美人になる可能性はある。

が、今は何の恩恵もない。しかし、自称迷子をこの国に放っておくのも・・・。

仕方ない。俺は女に弱いのだ。それが子供でも。

「え!?いいの!?やったー!」

ただし。

「俺はおじさんじゃない。お兄さんだ。」



「サ・バーブ?変な名前ー。バーブなんて赤ちゃんじゃない。」

失礼なことを言う。

「そういうお前の名前はなんなんだ?」

「・・・言いたくない。」

は?自己紹介もできないのかこの娘は。

「俺の世話になるんだろう?名前くらい教えろ。」

しばらくの押し問答があった。

曰く、名前がばれると自分の国に損害があり、教えられない。私を狙う者がいるかもしれないとのこと。

どこのお姫様なんだ。

まあ、嘘だろうが、子供のたわごとだ。信じてやろう。

「じゃあなんて呼んだら良い?」

「んー、呼びたいように呼んで!名前つけて!」

少女は大きな赤い目でこっちを見る。

名前・・・。

「ビア。」

「えっ。」

「お前のことをビアと呼ぶ。それでどうだ。」

少女は大きな目を見開いた後、どこまでも明るく、笑った。

「センスないねー!いいよ、ビア!私はビア!何でビアなのー?」

少女は笑いながらこっちを見てくる。

「俺はビールが好きだから。ビールはどこかの国の言葉ではビアと言うらしい。だから、ビア。」

「えーっ、何それー!子供にお酒の名前なんてつけるーふつー?」

笑いながらも、少女は今つけられた自分の名前を何度も呟き、鼻歌交じりで歌にする。

気にいってもらえたようだ。

さて、本題だ。

「で、お前の国はどこなんだ?」

「えっとねー、」



やめとけばよかった・・・。

とんでもなく、遠い。

しかも電車と逆方向だ。

電車に乗って適当な車両で降りることを繰り返す、という運に任せた方法でも良いが、確率は低い。

この世界に国がいくつあるかなんて、誰も知らないのだ。

だから、ワケのわからない国におろされるよりは、地道に歩いて行った方がましである。

ただ、幸運だったのは少女の国に俺も行ったことがあったことだ。

なので、場所はわかる。

はあ・・・。

「一回引き受けるって言ったんだから、責任持ってよね。」

わざとすごく嫌そうな声で返事してやった。

そうしたら、少女微笑みながら、

「よろしく、バーブ!」

そう言った。

この、生意気で妙に人懐こい少女、ビアとはしばらく一緒になりそうだ。

「紫暗のサ・バーブ、見事あなたを救ってみせましょう。」

いつも通りそう言って、俺は「紫ジャケットの内の暗闇」をビアに見せた。

「おおおーー!噂通りね。頼りにしてるわよー!」


彼女との旅が、始まった。

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