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「と、とにかく!和泉日向!ボクと勝負だっ!」
「………………」
「……………?」
「………………」
「……………い、和泉くん?どうした」
「ごめん、誰だっけ?」
『ピッシャーーン!』
お、久しぶりに見たわー。ショックで稲妻出してる人。中々こういう古典的な背景絵って出てこないんだよね。スゴイスゴイ。
「ななななな、ボボボボボクを知らないだって!?このボクをっ!?」
「あ~~……悪い、クラスメイトのことは覚えるようにしてるんだけど、他のクラスまではな……」
ぼっちだったもんねぇ、和泉くん。
「まさか、この学校でボクを知らない人がいるなんて……!」
いやいや、自分どんだけ知名度あると思ってんのさ。多分そこまでないと思うよ?確実に和泉くんよりは低い。
「名前ぐらい名乗んなよ。そしたら覚えてもらえるでしょ。」
なんで私が助け船なんか出さなきゃならないのさ……。
「…………影永泡沫。C組。獅子座のB型。身長は165㎝、体重55㎏、ウエストは」
「「誰もそこまで聞いてない!」」
どこまで個人情報垂れ流す気だこいつ!……ウエストはちょっと知りたかったけど。女子として。
「俺は和泉日向。それで、なんで俺と勝負したいんだ?」
「それは……」
??自分から挑んでおいて、言いにくいの?
「ち、近頃そこの巨神兵と仲が良いみたいじゃないか。あれだろ!たかさきさんを使って高橋さんと仲良くなろうって魂胆だろっ!そんなこと、させるもんか!」
「たかさきじゃないってーの!」
本当にいらっとする!ちゃんとクラスメイトを把握してる和泉くんを見習いなよ!
影永の焦りが出ているのか、さっきから象さんが鼻を振り回してるのも気になるし、隣で和泉くんのキリンさんも鼻息が荒くなってるのが分かってちょっと怖い。草食動物だけどそこはかとなく恐怖を感じる!
「影永、たかさきじゃなくて小鳥遊だ。それと、そうだな。確かに小鳥遊とは仲が良い。この高校で友達第一号だし」
「え?そうだったの?」
「え??違うのか?」
「いや、ヤスが友達第一号かと。」
「ヤスに頼んだのは小鳥遊だろ?それに、その前に小鳥遊と話したし。あ、それと、あの時ごめんな?壁に押し付けたりして。」
「!?かかかかべ!?」
「ほんとだよー。私の壁ドン初体験ー。しかもちょっと泣かされたしぃー。ショックだったなぁー。」
「ななななかされ!?」
「あれは俺のせいなのか……?まぁ悪かった。ずっと謝りそびれてて」
「まぁ許してあげなくもないよぉー?」
「そうか。ありがとな」
「ボクを…………ボクを無視するなぁーー!!」
そう叫んでいきなり走り出した影永。あ!象さん!象さん置き去りになってるよ!急いで追いかけて!
「なんだったんだ?」
「さぁ?」
後ろに動物を飼ってる人のことはよくわかりません。