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これが11月10日分です。またもや短いです……。

あの日―――和泉くんに私の秘密を話した日から数日。和泉くんはすっかりクラスに馴染んでいた。それはもう見事なまでに。

女子ならこんなあっさりいかないだろうと思うけど、男子はこんなものなのかな。取っ掛かりさえあればすぐ馴染む。

和泉くんの癖も、特に問題ないみたい。まぁ相手はのーんびりゆーったりのヤスだ。答えを急かされることはないし、それに周りも釣られてる。これで『孤高の王子様』は孤高ではなくなりました。めでたしめでたし。


……で話が終わればいいのにね。終わらないよ、そう簡単には。

和泉くんは何かと言えばヤスに構う。まぁ当然の反応だろう。何て言ったってこの高校初めての友達だしね。問題は、


「小鳥遊、次化学だぞ。」

「……うん、知ってるよ?ちゃーんと準備もしてあるよ?」

「そっか。じゃあ行くぞ。」

「なんで!なんで私まで行かなきゃいけないのさ!」


これ。和泉くんの中で私とヤスは同位置にいるらしい。絡んでくる絡んでくる。こっちの気もお構い無しに。思わず昔の動物図鑑でキリンのこと調べちゃったよ。

キリンは鯨偶蹄目きりん科。

犬要素は入ってないみたい。ヤスに懐く姿に犬っぽさを見出だしたんだけど、おっかしーなー。まぁいいや。


前述した通り、うちのクラスに和泉くんにご執心な人は少ない。だから今のところ何もないけど、これがあの二人に知られたら……面倒くさそう。

ニーにも他の女子にも生暖かく見守られながら和泉くんに連れ去られた。薄情者めっ!


「……和泉くん、私は化学係じゃない!」

「知ってる。でも他の係りも持ってないだろ?」

「うっ!」


うちの学校にはクラス毎に教科係があって、その係りになった人は教科の前に何か必要な物はないですかー?と御用聞きをしに行かなくてはいけない。つまりはパシリっ!でもそのおかげで先生と仲良くなったりとかもするから、必ずしも悪いことだけではないんだけどね。

そして和泉くん。素晴らしいことに、クラスメイトのことをよく知っているのだ。名前はもちろん、教科係とか部活とか。なんかイケメンって人のこと覚えないイメージが勝手についてたからさ、すごい意外だったんだよね。それも男子たちに受け入れられた要因となったみたいだけど。今はそれが仇となったがな!


「だからってわざわざ連れて来なくったって……」

「化学って無駄に荷物多いからさ、一人じゃ大変なんだよ。」


知ってる。だから手伝いたくなかったのに!

何が楽しいのか、キリンさんとパンジーはゆらゆら揺れてるし、和泉くんの機嫌も大変良さそう。……というか、結構このキリンさんって和泉くんの心境を表してる気がするんだよね。テンションMAXの時は首を回すし、嬉しい時は揺れてる。まだ怒った時と悲しい時を視てないから何とも言えないけど。まぁ大抵はムシャムシャしてるだけだけど。




二人で何に使うのか分からない機材を持たされて廊下を進む。話題はもっぱらヤスと対戦してるゲームについて。意外とゲーマーだったんだね。それをうんうん頷いて聞いているだけの私。ゲームはしないから分からないんだもん。


「んで、そこで出てくるガチャが、」

「うんうん」

「……聞いてないだろ」

「うんうん。聞いてないよ?」

「おま、ちょっとは歯に衣着せる言い方を」

「しない。興味ないんだもん」

「ドキッパリ言い過ぎじゃね?」


えー。だって和泉くんだよ?気遣いって必要なの?


「必要だろ!気遣い大切!」

「まぁまぁ落ち着きなよ」


キリンさんが顎ガクガクして怖いからさ。


「扱いが酷いよな、小鳥遊って……」

「それはあれだよ、あいじょーの裏返しってやつだよ」

「!!」


何そっぽ向いてんのさ。人が懸命に言い訳考えてるのに。

そんなアホなことを繰り返しながら歩いていると、


「和泉日向!このボクと勝負しろっ!」


なんか面倒くさそうな輩が目の前に現れた。えー……先に戻っててもいい?

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