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「ったく、ほんとに予想を裏切らないやつだよな……」
「ご期待に沿えたようでなによりでっす!」
「褒めてない!」
サーセン……。
エロ本探しをしてしっかり怒られた一香ちゃんです。アリーちゃんに誘われたから乗っただけなのに……(本気で探そうとは思ってたけど)
「ヒナタってば、そんなに怒ることないじゃない。エロ本ぐらいで」
「持ってないし怒ってるのはそっちじゃない!」
「まぁまぁ和泉くん、そんなカッカしてもあれだし、ちょっと座って落ち着きなよ」
「誰のせいだと……」
私たちのせいです。ゴメンね?
疲れた顔をしつつ飲み物を渡してくれた和泉くんにお礼を言いつつ、そういえば何でここまで来たんだっけと目的を失っていることに気付いてしまった。
「あの、ところで一体なんでこんなことに?」
「アリーが無理矢理連れてきたんだろ。こっちは真面目に話したかったっつーのに」
??何か話すことあったっけ?結構大事なことのような、そうでもないような……
「ワタシはね、イチカが気に入ったのよ!周りは自分がちょーっと年取ってるってだけで見下すようなやつばっかり。いつまでたっても子ども扱い。ワタシだってセイチョウしてるのよ!」
ぷりぷり怒りながら文句を垂れ流しているアリーちゃんだけど、どこからどう見ても子どもだもんねー。仕方ない気もするんだけどなぁ。
「こんなことに付き合わせて悪いな。アリーは誰かにレディ扱いされたことがないから、小鳥遊の反応が予想外に嬉しかったんだろ。なんか視えたのか?」
まぁそれは……ずるなような気もするけどね。内緒ですよ。
でも分かる気がするなぁ。この年代って、やたらに子ども扱いしてほしくないもんだよね。特に女の子は。
「いっつも女王様扱いだからな。普通のレディ扱いが珍しかったんだろうな」
前言撤回!わからないよ、女王様扱いって!
「……だからね、イチカならワタシのそばにいるのも許しちゃうっていうか!むしろいてほしいっていうか!お嫁さんにしてもいいかなって思ってあげてるのよ!」
あ、ほとんど聞いてなかったんだけど……お嫁さん?
「ダメよぉ~!一香ちゃんはひなちゃんのお嫁さんに貰うんだからぁ~!」
私が疑問を口にする前に、いつから聴いていたのか(むしろ最初っからだと思うけど)和泉くん母が話に割り込んできた。ってか突っ込み場所ちがくない?
「ヒナタにはそこら辺の女でも見積もればいいじゃない。なんならショウカイするわよ?」
アリーちゃんが紹介って、相手は同学年でしょ?いやぁーーロリコン疑惑が!
「俺にそっちの趣味はない!ってか小鳥遊もヒくな!」
あ、ごめん。お母様方のほう?
「ちげーっての!」
っていうか、大体にしてアリーちゃんは和泉くんのこと好きだったんじゃないの?なのになんで私?
「あら、確かにヒナタのことは好きだけれど、どっちかというとアコガレの方が強かったもの。こういう"オトコ"になりたいわっていう」
…………"オトコ"?"なりたい"?
「言ってなかった?ワタシの本名はアーロン。正真正銘の"オトコ"よ」
ふふっと可憐な笑顔で微笑むアリーちゃん。
え、え、えぇぇーーーーーっ!?