詩
「落ち葉」
アスファルトの落ち葉から立ち昇る
耳覆わんばかりの合唱だ
その傍で新芽は何を夢見るか
「祈り」
旅行き 阻む
祈りの末の
ぬけがらの山に きみを見た
あのとき
悪意のないまなざしが僕に注がれ
微笑みに変わった
それ以来母は何も口にしなくなった
何度呼んでもその瞳には僕は映らない
そしてうなされたようにきみの名を呼んでいる
「 」と。
ある日を境に母は帰って来なかった――
母はきみのものになり
僕の前から消え失せた
そのたび僕はきみを愛するんだ
母のために
そしてきみを憎むんだ
僕のために
「またたび」
ねこの薄目が陽だまりを支配して
間延びしたあくびをひとつ
また 陽炎を刈る 刈る
帰宅後のねこの足から かすかに土がこぼれ落ちて
しばし何かをきざむ音
おこぼれを狙う
今日ものどかな日なり