零夜目 摩訶不思議な物語屋
世界のどこか遠い大陸にとても美しい王国―ルミナス王国があります。
その国のお姫様―第十七代国王の一人娘、ミレーヌ・メイア・ルミナスは民に愛され幸せに暮らしていたのですが、 ある時から、目をとじても眠ることができなくなってしまいました。
こまった国王は、 お姫様を眠らせることができる者を、 国じゅうからさがすことにします。
すると、「物語屋」という古めかしい本を片手にモスグリーンのスーツを身に纏った世にも美しい星空色の瞳の青年がお城へやってきました。
その男は自分ならば、 どんな物語でも話してきかせて、 お姫様を眠らせることができるというのでした。
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「今宵より、姫様にお仕えする物語屋のジャン・ロイズと申します」
物語屋は片手でシルクハットのつばを軽く持ちお辞儀をした。
「貴女がうわさの物語屋ね」
ミレーヌはその高貴な翡翠の瞳を向けて肩をかかっていた自身の自慢の金髪をその白魚のような手ではらった。
しかし、ミレーヌの返事は気のなさそうなものだった。
「姫様は御伽噺はお嫌いで?」
「いいえ、好きよ」
でも―とミレーヌは口籠る。
「御伽噺は本当にはありえないことだもの…」
ミレーヌは顔を俯けた。
ミレーヌは齢十七歳にして大人の色香を併せ持つ早熟な乙女だが、御伽噺に出てくるような、不思議な魔法が大好きだ。
天までとどく豆の木に、馬車に変わるカボチャ、奇妙なランプ………………。目をとじて想像すれば、 世界がきらきらとかがやき、ミレーヌは安らかな眠りにつくことができたのだ。
しかし、彼女は大人に近づくにつれて目をひらくと想像は消えてなくなることに気がついたのだ。
そう、ミレーヌはいつしか、お話の中の魔法世界が本当にはないということが悲しくて、眠れなくなってしまったのだ。
すると物語屋は、そんなお姫様の前に出てその手を取り身を屈めた。
「では、まるで魔法のようだけれど、本当にある話を毎晩お話ししましょう」
物語屋は口角を上げ、魅惑的な笑みを浮かべてミレーヌの手にそっとキスを落した。
はじめまして、玻璃花です。
お読みくださりありがとうございます!
4日後に期末試験を控える身ですので物語の更新は遅めになりそうです。申し訳ございません。




